「ジ・アスレチック」のエンゼルス番、サム・ブラム記者が語る展望 大谷翔平投手が所属するエンゼルスは7日(日本時間8日)現…
「ジ・アスレチック」のエンゼルス番、サム・ブラム記者が語る展望
大谷翔平投手が所属するエンゼルスは7日(日本時間8日)現在、ア・リーグ西地区3位、ワイルドカード争いではポストシーズン出場圏内のチームと3.5ゲーム差で5位にいる。勝率5割以上をキープしているものの、上位に食い込むことが叶わない現状でささやかれるのが大谷のトレード。米メディア「ジ・アスレチック」でエンゼルス番を務めるサム・ブラム氏記者は「この組織が正しい方向に向かっていることを証明する重要な時期だ」と厳しい目で見つめている。
投手として9勝、打者として46本塁打と歴史的な活躍でリーグMVPに輝いた2021年、エンゼルスは77勝85敗の借金「7」で地区4位に沈んだ。最終登板後、大谷は「ヒリヒリする9月を過ごしたいですし。クラブハウスの中もそういう会話で溢れるような9月になることを願っています」。低迷するチームについて、本音を打ち明けたことがあった。しかし、2022年も借金「16」で3位に。ブラム記者もそんな大谷の心境を慮る。
「チームは思っていた結果を出せていない。勝ち越せてもいないし、それについては惜しくもなかった。彼が2シーズン、MVP級の活躍をしたにも関わらず、今までの誰のどのシーズンと比べても屈指の活躍だったのに、だ。オオタニだったら、自問自答しなければならない。ここに未来があるのか、と」
そんな中、エンゼルスは今季、ジオ・ウルシェラ内野手、昨季28本塁打を放ったブランドン・ドルーリー内野手、ハンター・レンフロー外野手ら続々と大型補強を敢行した。その影響もあり、勝率5割をキープする一方で、上位チームになかなか勝ちきれない。ここまで地区首位を走るレンジャーズに1勝2敗、2位のアストロズには2勝5敗と分が悪い。2日(同3日)の敵地アストロズ戦では、大谷とバルデスのエースの投げ合いにも2-6と力負けした。ここまで貯金は「3」と健闘しているが、ワイルドカード圏外だ。
大谷にとって重要なのは「チームがずっと成功する姿を想像できるか」
ブラム記者は「まだ貯金があるから、チームが悪い状態とは言わないが、今彼らがプレーオフ圏内にいないのは、主に守備と投手陣が原因だと思う」と問題点を挙げる。失策数36はリーグワースト2位タイ。先発でも大谷以外は規定投球回に到達していない。「守備が素晴らしくないことが先発投手陣の早期降板につながっている。そうなるとブルペンにやや負担がかかることになる」と悪循環を指摘した。さらに、得点圏打率の低さも問題視。チーム打率は.257でメジャー10位につけるが、得点圏になると.246で20位まで下がる。ブラム記者も「大きな問題だ」と厳しい見方をする。
トレード期限の8月1日(同2日)まで2か月を切った。FAになる前に”対価”を得られるトレードによる放出があるのではないかという憶測は絶えないが、ブラム記者は可能性は低いとみている。「完全にプレーオフ争いから脱落しない限り。(トレードが起きるには)それしかないと思う」。一方で、今後低迷した場合は「チームは何が得策かを再考する必要があるかもしれず、彼のトレードにつながるかもしれない」とゼロではないことも示唆した。
「今季終了後にFAになるし、彼にとって重要なことは、エンゼルスが今季だけでなく今後もずっと成功を収めると、その姿が想像できるかどうかだ。エンゼルスにとっては、この組織が正しい方向に向かっていることを証明する重要な時期だと思う。ある意味、それができていると思うが、常勝チームになることを証明できているかといえば、多くの意味でまだ十分ではない」
トレード、そして今オフのFA――。去就に注目が集まる大谷がエンゼルスに残るためには、いずれにせよチームが勝つことが必要不可欠だ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)