2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリー・イタリア サルディニアは現地3日、3日目のデイ3が行われ、ヒョンデのティエリー・ヌービルが逆転の首位に。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ…

2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリー・イタリア サルディニアは現地3日、3日目のデイ3が行われ、ヒョンデのティエリー・ヌービルが逆転の首位に。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラが3位につけている。

◆【実際の映像】水たまりでダメージを負いつつも激走を見せるオジエ

■一時首位のオジエはデイリタイヤ

初日、2日目と首位だったヒョンデのエサペッカ・ラッピは2位に。前日2位についけていたトヨタのセバスチャン・オジエは一時、首位に立ったものの、悪天によりマシンを傷め、さらにコースアウトしデイリタイヤ。勝田貴元もオジエ同様にウォータースプラッシュでマシンにトラブルを負いデイリタイヤとなった。

ラリー・イタリア サルディニアのデイ3は、サルディニア島北東部のオルビアに置かれるサービスエリアの南西エリアで、4本のステージを各2回走行。その合計距離は133.62kmと、前日のデイ2に匹敵する長い一日に。天気は、午前中は晴れ間も見られたが、午後は激しい降雨があり、非常に滑りやすい路面コンディションでの厳しい戦いとなった。そして、これが波乱を生んだ。

デイ2で首位と僅か0.1秒差の総合2位につけたオジエは、ラッピと激しい首位争いを展開。午前中の4本のステージが終了した時点で、総合2位のラッピに18.2秒差をつけトップに立った。

しかし、午後最初のSS12でウォータースプラッシュを通過した際、クルマに大きな衝撃を受け大幅にタイムロス。その影響により、続くSS13でも遅れをとり、それでも4.3秒差で首位の座を維持。その時点からステージでは強い雨が降り、路面の一部は泥に覆われ、水溜まりもできるなど非常に滑りやすいコンディションに。そしてオジエは、SS14の左コーナーでコースオフ。ステージに復帰できずデイリタイアを喫した。

オジエに代わり3位に浮上したロバンペラ (C) Red Bull Content Pool

ドライバー選手権首位のロバンペラは、デイ2で終日不利な先頭スタートを担い大きくタイムロス。それでも、雨に見舞われ路面が滑りやすくなった最後のロングステージを最速で走りきり、総合4位にまで順位を上げた。デイ3でのロバンペラは、オープニングから5本目のSS12まで安定して3、4番手タイムで走行。SS13では2番手タイムを刻み、SS14ではオジエのリタイアにより総合3位に浮上。表彰台獲得に向け順位を上げ長い一日を終えた。

デイ2で総合5位につけた勝田は、デイ3最初のSS8でウォータースプラッシュを通過した際、クルマに大きな衝撃を受けてタイムロス。SS8は何とか走りきったが、競技を続けることが難しい状態となりデイリタイア。勝田はデイ4での再出走を予定している。

■ラリー・ジャパン以来の優勝を目指すヌービル

首位に立ったヌービルは「とにかく走り切ってほっとしたよ。非常にタフな1日だったけど、マシンの感触はどんどんよくなっている。我々は多くを学んだが、まだ完璧じゃない。明日は短いがトリッキーな日だ。賢明なドライビングを心がけて1-2フィニッシュと行きたいね」と昨年ラリー・ジャパン以来の勝利を目指し前を向いた。

3位につけたロバンペラは「今日はいい一日でしたし、とても賢く戦うことができたと思います。今朝は、必要なときにいいペースを発揮することができました。昨日よりも良い出走順を確保できたのでとても順調でしたが、何人かが脱落したことで路面を少しクリーニングする役割が再びまわってきてしまいました。午後は本当にトリッキーで、かなり使い込んだタイヤで走らなくてはならなかったので、できる限りのことをしました。トラブルに遭遇しないようにクリーンな走りを心がけ、順位をひとつ上げることができましたが、チームメイトのトラブルによりポジションを上げるのは、決していいことではありません。明日は自分たちのタイヤのパッケージがコンディションに合っていることを願っていますし、どうなるか状況を見たいと思います」とレースの難しさを口にした。

デイリタイアを喫したオジエは「今朝は最初の2本のステージでペースが少し足りなかったのですが、それに続く、デイ3最長でおそらく最も難しいステージで挽回することができました。少しでもタイムを縮めようとハードに走ったので、リードを少し築くことができたのは良かったです。しかし残念なことに、午後は波乱の展開になってしまいました。ウォータースプラッシュで、フロントにダメージを負ってしまったのがその始まりで、それを直して走り続けるのは大変でした。そして、午後3本目のステージに臨む直前、泥道でタイヤ交換をすることになったのですが、ステージ開始後ブレーキペダルを踏んだ時に泥で足が滑ってしまい、コーナーを曲がりきれませんでした。かなりアンラッキーでしたが、これもラリーの一部です。今日のことは忘れ、前に進まなければなりません」と挽回を期した。

このウォータースプラッシュでダメージを負ったオジエ (C) Toyota Gazoo Racing WRT

TGRチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ は「非常に難しいコンディションにより、困難な一日になってしまいました。午前中が終了した時点で状況はかなり良かったのですが、その後天候の変化により、急激に状況が変わってしまいました。これもラリーの一部です。過去にもこのラリーでは雨が降ったことがありますが、今回のように毎日降るようなことはありませんでした。その結果、ウォータースプラッシュはかつてないほど水深が深くなり、セブはそのひとつで問題を少し抱えてタイムを失いましたが、それでもいい位置につけていました。しかしその後、不運にも道から滑り落ちてしまったのです。このようなコンディションでは、そのようなミスをしやすいものです。その結果、カッレは表彰台圏内に入り、明日もポジションを維持することができたならば、それは彼にとって非常に良いことです。チームとしてはカッレとエルフィンの2人が最後まで走りきることが重要ですが、パワーステージでのポイント獲得も期待したいところです」とポイント獲得に意欲を示した。

ラリー・イタリア サルディニア 提供:TGR/WRC

競技最終日となる4日のデイ4は、2021年大会とほぼ同じステージ設定。サービスパークを起点に島北部の「コスタ・スメラルダ」エリアで2本のステージを各2回走行。そのうち、SS17の再走ステージとなるSS19「サルディニア2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全4本で合計距離は46.02km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は255.50km。

■ラリー・イタリア サルディニア デイ3の結果

1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 3h10m36.9s 2 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +36.4s 3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m50.7s 4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +5m36.5s 5 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +6m27.9s 6 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Fiesta MkⅡRally2) +8m11.7s 7 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m37.4s 8 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally2) +10m46.4s 9 エミル・リンドホルム/レータ・ハマライネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m08.3s 10 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia Rally2 evo) +11m40.5s

18 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +19m46.9s

◆第6戦ラリー・イタリア サルディニア トヨタは今季5勝目目指す、焦点はロバンペラ vs. オジエか

◆第5戦ラリー・ポルトガル 昨季王者トヨタのカッレ・ロバンペラが今季初優勝、ランク首位に 

◆世界ラリー選手権2023年シーズン特集 トヨタは3年連続3冠獲得なるか、カッレ・ロバンペラの連覇は… 速報・結果一覧

文●SPREAD編集部

生ける伝説オジェ
ヌービルからプラス4.7秒でフィニッシュ!
ウォータースプラッシュのタイミングが
やや合わなかった模様…

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