早大は27日、東京六大学春季リーグの慶大1回戦に5-3で逆転勝ち。2万6000人の観客の前で、伝統の早慶戦第1ラウンド…
早大は27日、東京六大学春季リーグの慶大1回戦に5-3で逆転勝ち。2万6000人の観客の前で、伝統の早慶戦第1ラウンドを制した。エースの加藤孝太郎投手(4年)は初回に2点を先制されたものの、2回以降は驚異的な粘りの投球を披露。打線は4回に追いつき、7回には代打の島川叶夢(かなむ)内野手(4年)が左翼席中段へ値千金の勝ち越し3ランを放った。
今季の東京六大学は、明大が3季連続優勝を決めたのをはじめ、早慶以外の4大学の順位がすでに確定。あとはこのカードで勝ち点を取った方が3位、敗れた方が4位となる。それでも早慶戦となれば、双方一歩も引けない、独特の熱い雰囲気に包まれる。早大先発の加藤も、立ち上がりの初回こそ相手の4番・栗林泰三外野手(4年)に先制2ランを浴びたが、2回以降は粘りに粘った。

特に4回は、2四球と味方のエラーで無死満塁の大ピンチに。そこから、前の打席で一発を食らった栗林泰を浅い右飛、続く斎藤來音外野手(4年)を浅い左飛に打ち取り、宮崎恭輔捕手(4年)も中飛に仕留めて無失点で切り抜けた。エースの熱投を受けて味方打線もその裏、小澤周平内野手(2年)がセンターオーバーの同点2点二塁打を放って追いついた。
加藤は2回から4イニング連続で得点圏に走者を背負いながら、結局追加点は1点たりとも許さなかった。小宮山悟監督は「加藤がピンチをしのいでくれたお陰で、後半にこちらへ流れが来ることはある程度予想できました。(同点の状況だった)5回終了後のグラウンド整備の時、おそらく勝てるだろうと思っていました」と明かした。
加藤は6回までに9安打を浴びながら、2失点のまま降板。そして7回の攻撃。1死一、二塁の好機で、小宮山監督は2番手投手の斎藤正貴(4年)の代打に島川を指名した。右打席に入った島川はカウント1-1から、慶大2番手の左腕・森下祐樹投手(4年)が投じた真ん中高めの球を振り抜き、バットがボールをとらえた次の瞬間には、もう本塁打を確信して誇らしげに右手を挙げていた。

島川は昨年春にリーグデビューし、通算19試合出場、27打数7安打(打率.259)。本塁打は昨春の法大2回戦で、代打として与えられたリーグ戦初打席で放って以来2本目だ。「自分は決してホームランバッターではなく、練習でも打てません。それでいて神宮で2本も出てしまっているのは……いいなと思います」と夢見心地だった。
熊本・済々黌高を経て早大に進学した野球キャリアは、現阪神の左腕・大竹耕太郎投手と同じコースである。「自分は大竹さんが甲子園で活躍された姿を見て済々黌に入り、さらに大竹さんが早稲田に進学して活躍されたから、早稲田に憧れを抱きました」と明かす。その大竹が奇しくもこの日、甲子園球場で行われた巨人戦に先発し、7回無失点の快投で最多勝争い単独トップに立つ6勝目を挙げたのだから、島川も不思議な運を持っているようだ。
卒業後には「一般就職を考えていて、野球は大学で終わりにしようと思っています」。名前が「叶夢」とあって、試合後の記者会見では「早慶戦での一発で夢が叶ったのでは?」との質問が飛んだが、「いや、まだです」と言い切った。「夢は、優勝して日本一を獲ることです」とボルテージを上げる。島川にとって最後のシーズンとなる今秋、リーグ優勝とその後の明治神宮大会制覇は、早大ナイン共通の目標となる。
(Full-Count 宮脇広久)