外野芝生部分まで下がって守り、痛烈なゴロをさばいた二塁・山口真之介内野手(3年) 東大は21日、東京六大学春季リーグの法大2回戦に0-2で惜敗し、11試合0勝10敗1分でシーズンを終えた。今季は2017年秋以来11季ぶりの勝ち点“奪取”と、…
東大は21日、東京六大学春季リーグの法大2回戦に0-2で惜敗し、11試合0勝10敗1分でシーズンを終えた。今季は2017年秋以来11季ぶりの勝ち点“奪取”と、1997年秋以来51季ぶりの最下位“脱出”を目標に、造語の「奪出」をチームスローガンに掲げて臨んだが、どちらも達成できなかった。実りの秋へ向け、得点力アップが避けて通れない課題となる。
今季を象徴するような試合だった。東大先発の松岡由機投手(4年)は7回を投げ、法大・姫木陸斗外野手(3年)のソロと藤森康淳内野手(1年)の適時打による2失点に抑える好投。2番手の平田康二郎投手(3年)も2回無失点で乗り切った。しかし、野球は点を取らなければ勝てない。打線は法大先発の左腕・尾崎完太投手(4年)からわずか2安打しか放てず、リーグ戦初完投・初完封を許した。
東大の主将・梅林浩大内野手(4年)は「昨年まではエラー絡みの失点が多く、投手も苦しくなって大量失点するというのが、よくある負けパターンだった。今季は投手陣を中心とする守りで、序盤に均衡をつくれる試合が多かった。それは収穫だと思う」と振り返りつつ、「課題は攻撃力、ということははっきりしている。鍛えてレベルアップを図りたい」と語った。
梅林自身、開幕4番を張りながら、打撃不振で後半の立大1回戦からスタメンを外れ、最終的に打率.056(18打数1安打)に終わった。チームとしては昨秋に比べ、1試合平均失点が6.83点から6.45点(11試合71失点)に減ったのは収穫だが、1試合平均得点も2.42点から1.64点(11試合18得点)に減ってしまった。
打力不足をカバーしようと、シーズン前半には持ち前の機動力を駆使し、功を奏する場面もあったが、次第に相手に研究、警戒された。この日も3回先頭の山口真之介内野手(3年)が右前打で出塁し、1死後、投手の松岡の打席でカウント1-1から二盗を仕掛けたが失敗。6回2死から四球を選んだ1番・酒井捷外野手(2年)も、続く矢追駿介外野手(4年)の初球に二盗を試みて刺され、少ないチャンスを広げることができなかった。
一方、守りの乱れで試合を壊すケースは確かに減った。特に今季デビューした遊撃の青貝尚柾内野手(2年)と二塁の山口の守備力は高く、他大学に引けを取らない。
データを駆使し相手打者の傾向に応じた守備シフトにも、持ち味が表れていた。この日、法大の4番・内海貴斗内野手(4年)が左打席に入ると、セカンドの山口は内野のアンツーカーよりも約1.5メートル後方の外野芝生部分まで下がった。初回2死三塁のピンチで、内海が一、二塁間へ痛烈なゴロを放つと、あらかじめ深く守っていた山口は回り込んで好捕。一塁送球はワンバウンドとなったが、見事アウトにした。
79歳の井手峻監督の病気療養を受けて今季采配を振るった大久保裕監督代行(助監督)は「内海選手はプルヒッターで強打者なので、ウチの投手との力関係から見て、甘い球は右側へ持っていかれると思った。(送球がワンバウンドになり)少し深すぎた気もするが、思い切った守りができて良かった」と笑みを浮かべた。
懸案の得点力不足については「速い球には振り負け、キレのいい変化球にはくるっと回ってしまう。総じてタイミングがうまく取れていない。(打撃フォームに)無駄な動きがあるため、ミートポイントまでバットが遠回りしてしまうのが原因ではないか」と指摘する大久保代行。課題克服の夏を経て、秋にはもう1度目標達成に挑む。
(Full-Count 宮脇広久)