栃木・寺内監督が優しくアドバイス「緊張を楽しむ」「ワースポ×MLB」でキャスターを務める菊池柚花さんが念願の始球式を務め…

栃木・寺内監督が優しくアドバイス「緊張を楽しむ」

「ワースポ×MLB」でキャスターを務める菊池柚花さんが念願の始球式を務め、夢を叶えた。4月22日、ルートインBCリーグ・栃木と巨人3軍との試合前に始球式に招かれ、見事に“ストライク”投球。可愛らしい笑顔が弾けたが、数日前まではそんな姿は想像もできなかった。重ねた練習と元巨人・寺内崇幸監督の優しさあふれるアドバイスがあった。元NPB戦士たちも驚いた投球を披露した菊池さんの手記を公開。Full-Count・YouTubeでは、舞台裏に密着した。

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 見上げると雲一つない青空、見渡すと豊かな自然。故郷の大地に見守られながら、温かい陽の光が照らしたマウンドに私は立った。「始球式に出たい」という念願の夢が、ついに現実になった瞬間だ。

 4月22日、栃木・小山運動公園野球場。いつかこの日を夢見てピッチング練習に励んできたが、まさか本当に叶うとは……。地元・栃木での大舞台に、胸の高鳴りが収まらなかった。

 始球式の数日前に一足先に球場を訪れ、栃木の寺内監督から直々にレクチャーをしていただけることに。キャッチボールをしながら、始球式の心得を教えてくれた。改善すべき点がある私の投球フォームだったが、あえて監督は技術面に関して多くは指導しなかった。

 始球式を直前に控えて緊張する私に対して、困惑させないようとする監督の配慮だったのだろう。自分を信じて臨んでほしいという監督の想いがすごく温かかった。むしろ「その調子!」と褒めてくれる、監督の優しさに触れ、少し不安もあったが、自信を取り戻した。

 そして寺内監督に言われたもうひとつの言葉。「その瞬間を、緊張をも楽しむ」。投げることに頭がいっぱいになっていた私にとって、最も必要な言葉だったかもしれない。意外にも忘れてしまいそうだった大切なことを思い出させてもらった。改めて素敵な監督が率いるチームでの始球式が、より一層楽しみになった。

いよいよ本番、打席にはロッテのエース左腕だった成瀬善久投手兼コーチ

 いよいよ始球式当日。朝から緊張でガチガチだったが、チームの皆さんからの温かいエールと寺内監督からの助言を胸にマウンドへ。近づくほどに胸の鼓動が速くなる。スタンドから熱い視線も感じつつ、球場が静まり返った中で「プレーボール!」の声が響き渡った。自分の投じた球は山なりながらに、いつの間にかキャッチャーミットにすっぽりと収まっていた。

 実は投げた時の記憶はあまりないのだが、その瞬間「おぉー!」というどよめきが一気に聞こえてきたことは覚えている。今までに感じたことのないような快感。大きな緊張感が、一瞬にして高揚感に変わった。その時間を全身で堪能し、空間を目に焼き付けた。

 投球後、打席に立ってくださった元ロッテの成瀬善久投手兼任コーチ、MLBでも活躍した川崎宗則内野手などチームの皆さんが「ナイスピッチ!」とグータッチで称えてくれた。記念すべき初登板は一生の宝物。私の夢を叶えるために尽力してくれた関係者の皆さんには改めて感謝したい。いつかまた次回登板で起用してもらえるよう、さらなるトレーニングに励んでいく。次なる目標は打者のインコースを突く豪速球。お披露目できる日が今から楽しみだ。

○プロフィール
菊池柚花(きくち・ゆうか)2000年1月19日、栃木県宇都宮市出身。明治大学法学部卒。大学在学時、明治神宮野球場で東京六大学野球の試合を観戦したことをきっかけに野球の虜に。大学を卒業後、2022年4月からNHK BS1『ワースポ×MLB』の土日キャスターを務める。趣味はキャンプと書道。(菊池柚花 / Yuuka Kikuchi)