好調ロッテは失点率が唯一2点台、本拠地で強さ発揮 今年のプロ野球でスタートダッシュに成功した選手をデータで探り出し、「月…

好調ロッテは失点率が唯一2点台、本拠地で強さ発揮

 今年のプロ野球でスタートダッシュに成功した選手をデータで探り出し、「月間MVP」をセイバーメトリクスの指標で選出してみる。選出基準は打者の場合、得点圏打率や猛打賞回数なども加味されるが、基本はNPB公式記録が用いられる。打点や勝利数といった公式記録は、セイバーメトリクスでは個人の能力を如実に反映する指標と扱わない。そのため、セイバーメトリクス的にどれだけ個人の選手がチームに貢献したかを示す指標で選べば、公式に発表されるMVPとは異なる選手が選ばれることもある。

 3、4月のパ・リーグ6球団の月間成績を振り返る。

○オリックス:14勝10敗
得点率3.50、打率.256、OPS.704、本塁打22
失点率3.32、先発防御率3.30、QS率45.8%、救援防御率3.03
○ロッテ:14勝10敗
得点率3.33、打率.226、OPS.630、本塁打11
失点率2.93、先発防御率2.71、QS率54.2%、救援防御率3.35
○ソフトバンク:12勝10敗
得点率3.32、打率.239、OPS.649、本塁打11
失点率3.16、先発防御率3.11、QS率36.4%、救援防御率2.47
○西武:13勝11敗
得点率3.63、打率.254、OPS.706、本塁打22
失点率3.01、先発防御率3.05、QS率66.7%、救援防御率2.94
○楽天:9勝14敗
得点率2.83、打率.205、OPS.627、本塁打21
失点率3.90、先発防御率3.38、QS率43.5%、救援防御率3.82
○日本ハム:9勝16敗
得点率3.70、打率.221、OPS.627、本塁打15
失点率4.00、先発防御率4.55、QS率44.0%、救援防御率3.09

 13年ぶりに4月首位となったロッテ。失点率がパ・リーグ唯一の2点台と投手陣の奮闘が目立った。開幕3連戦はPayPayドームで3連敗を喫したが、本拠地のZOZOマリンスタジアムでは10勝2敗と大きく勝ち越している。

 ロッテとオリックスが首位で、ソフトバンク、西武と続くが4チームのゲーム差は1。1位から最下位までも5.5と、混戦状況でスタートした。各チームの得と失点の差を見ても5球団が1以下で、楽天でも1.03となっている。

佐々木朗希の直球平均は159キロ、進境著しいオリックス・山下舜平大

 パ・リーグのセイバーメトリクスの指標による3、4月の投手月間MVP選出を試みる。投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す「RSAA」を用いる。

 RSAAの上位ランキングは以下の通りとなった。

佐々木朗希(ロッテ)RSAA8.44、登板4、イニング27、防御率1.00、WHIP0.63、奪三振率12.67、奪空振率22.4%、QS率100%、HQS率50%
山本由伸(オリックス)RSAA6.72、登板4、イニング25回1/3、防御率1.78、WHIP1.11、奪三振率10.30、奪空振率15.4%、QS率100%
高橋光成(西武)RSAA5.17、登板5、イニング36、防御率1.50、WHIP0.78、奪三振率8.25、奪空振率9.2%、QS率80%、HQS率80%
金村尚真(日本ハム)RSAA4.73、登板3、イニング18回1/3、防御率2.45、WHIP0.98、奪三振率9.82、奪空振率14.8%、QS率100%
藤井皓哉(ソフトバンク)RSAA4.15、登板4、イニング21回2/3、防御率2.49、WHIP1.06、奪三振率11.22、奪空振率12.2%、QS率25%
山下舜平大(オリックス)RSAA3.58、登板3、イニング17回1/3、防御率0.52、WHIP0.87、奪三振率12.98、奪空振率16.8%、QS率33%

 上記のランキングに掲載されていないチームのRSAA上位の選手は以下の通り。

松井裕樹(楽天)RSAA2.68、登板7、イニング8、防御率0.00、WHIP0.75、奪三振率14.63、奪空振率18.5%

 佐々木朗希はシーズン初登板から3試合無失点。4試合目のオリックス戦(4月28日)は7回3失点だったが、この4試合のストレートの平均球速は159キロだった。28日のオリックス戦では165キロを4度計測。スイングされた時の空振り率を示す「Whiff%」は42%で、山本由伸(オリックス)の30%を大きく引き離す。他の投手を圧倒する内容の投球だったとし、佐々木朗希をセイバーメトリクス目線で選ぶ3、4月の月間MVPに推挙する。

 オープン戦から注目してきたオリックスの3年目20歳、山下舜平大は開幕投手に抜擢されるなど登板3試合でWHIP0.87、防御率0.52、奪三振率12.98。山下のWhiff%は山本由伸を超える32%を記録している。

39歳・中村剛也がOPSでリーグ1位、本塁打&打率は2位

 次は打者部門の月間MVP選出を試みる。打者評価として、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合よりも、どれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。

 wRAAの上位ランキングは以下の通り。

中村剛也(西武)wRAA12.28、75打席、OPS1.154、打率.364、本塁打7
森友哉(オリックス)wRAA11.39、97打席、OPS1.020、打率.317、本塁打5
柳田悠岐(ソフトバンク)wRAA10.18、94打席、OPS.993、打率.373、本塁打2
外崎修汰(西武)wRAA7.25、96打席、OPS.906、打率.313、本塁打5
杉本裕太郎(オリックス)wRAA7.24、98打席、OPS.894、打率.261、本塁打8
中川圭太(オリックス)wRAA6.19、100打席、OPS.815、打率.295、本塁打2

 上記のランキングに掲載されていないチームのwRAA上位選手は以下の通り。

藤原恭大(ロッテ)wRAA6.04、91打席、OPS.828、打率.298、本塁打2
万波中正(日本ハム)wRAA5.02、90打席、OPS.835、打率.250、本塁打4
太田光(楽天)wRAA3.95、25打席、OPS.949、打率.294、本塁打1

 上位には各球団のスラッガーが名を連ねているが、上位6位のうち3人がオリックス勢だった。最もwRAAが高かったのが22年目の西武・中村剛也。4月11日から4番を任され打率.364、本塁打7はどちらもリーグ2位。OPS1.154はリーグ1位だ。本塁打7本はすべて右投手からで、対右投手の打率は.457、OPSは1.488。対左投手は打率.150、OPS.377となっている。長年に渡り西武打線の中核を担う中村を月間MVPに選出する。鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修や、「AKB48選抜じゃんけん大会」の組み合わせなどエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。