ウエストパックスタジアムを埋め尽くす約3万9000人が熱狂した激闘は、勝者は生まれなかったが、両チームに大きな拍手が送られた。6月27日、ニュージーランドに遠征中のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズがウェリントンでハリケーンズと対戦…

 ウエストパックスタジアムを埋め尽くす約3万9000人が熱狂した激闘は、勝者は生まれなかったが、両チームに大きな拍手が送られた。6月27日、ニュージーランドに遠征中のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズがウェリントンでハリケーンズと対戦し、31-31で引き分けた。
 スーパーラグビーの前年王者であるハリケーンズは14点ビハインドから同点に追いつき、ライオンズの方は終盤はやや押され気味だったが懸命に耐え、こちらも試合終了の笛が鳴るまで勝利への執念を見せた。最後は赤いジャージーのダン・ビガーがドロップゴールを狙ったが、届かず、好ゲームはドローに終わった。

 ライオンズのツアー成績はこれで4勝1分3敗。残りは2戦で、7月1日と8日にオールブラックス(ニュージーランド代表)と対戦する。
 
 PGで先制したライオンズは前半17分、SHグレイグ・レイドローが自陣22メートルライン内でインターセプトして大きくゲインし、WTBトミー・シーモアにつないで最初のトライを挙げた。さらにSOビガーのゴールキックで得点を重ね、13-0とリードする。

 対するハリケーンズは27分、ゴール前のパワープレーでFLカラム・ギビンズがトライ。

 しかし、ライオンズはすぐにPGで加点し、35分にはビガーのハイパントから空中戦で支配されなかったボールをLOイアン・ヘンダーソンが確保してWTBジョージ・ノースにつなぎ、ゴールに持ち込んで、23-7で前半を終えた。

 早めに点差を詰めたいハリケーンズは後半開始早々、オールブラックスから一時的にリリースされたWTBジュリアン・サヴェアが切り込んでCTBンガニ・ラウマペにつなぎ、トライを挙げる。FBジョーディー・バレットのコンバージョンキックも決まり、49分(後半9分)にはPG成功で、23-17となった。

 しかし、50分にハリケーンズのSHテトイロア・タフリオランギにイエローカードが出て、流れが変わる。
 PGで3点を加えたライオンズはさらに54分、ゴール前中央のスクラムから攻め、左への展開からWTBシーモアがフィニッシャーとなり、31-17、14点差となった。

 だが、ライオンズペースは長くは続かなかった。
 65分、この日攻守にわたって好プレーを連発していたLOヘンダーソンが危険なタックルで10分間の退出となり、数的有利となったハリケーンズが息を吹き返す。
 直後、敵陣深くでの右展開からWTBウェス・フーセンのトライ(コンバージョン成功)で7点差としたハリケーンズは、70分にもゴール前中央に迫り、密集でピックアップしたFLヴァエア・フィフィタがインゴールに飛び込んだ。キックも決まって31-31と追いつく。

 押せ押せムードのハリケーンズは76分、フェイズを重ね再びゴールに迫った。が、ここはライオンズが懸命に守り、ノックオン。
 79分、自陣で守る側だったハリケーンズが接点でターンオーバーし、果敢にアタックすれば、81分過ぎに今度はライオンズがターンオーバーでボールを奪い返す。そして、ポスト正面、10メートルライン後方の位置からSOビガーが約45メートルのドロップゴールを狙ったが、わずかに届かず、直後、激闘の終わりを告げるノーサイドの笛が鳴った。

 ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズは次、7月1日に今日と同じウエストパックスタジアムで、オールブラックスとテストマッチ第2戦をおこなう。4年前のオーストラリア遠征に続いてテストシリーズ勝ち越しを狙うライオンズだが、6月24日におこなわれた第1戦はオールブラックスが制しており、負けられない戦いとなる。