元ロッテ投手コーチの川越英隆氏「昔の遊びは理にかなっている」 昔ながらの遊びや練習に野球上達のヒントがある。オリックスと…
元ロッテ投手コーチの川越英隆氏「昔の遊びは理にかなっている」
昔ながらの遊びや練習に野球上達のヒントがある。オリックスとロッテで通算54勝をあげ、引退後はロッテで投手コーチを務めた川越英隆さんは、少年野球の子どもたちに鬼ごっこと壁当てを勧める。コントロールに悩むプロの投手も壁当てを取り入れているという。
昨年までロッテで11年間投手コーチを務めた川越さんは、データを活用した今の時代の野球を積極的に学んできた。ただ、昔ながらの練習や指導法にも良さがあり、今と昔を融合させた指導を理想としている。
子どもたちに勧めるのが鬼ごっこ。真っ直ぐ走るだけではなく、加速や減速、曲がったり止まったりする動きが自然と入る昔ながらの遊びは、目や脳を働かせながら走るため走力以外も養われる。野球では打者も投手も走者を視界に入れながらプレーする。守備ではスピードや方向を調整しながら走る。川越さんは「鬼ごっこをはじめ、昔の遊びは理にかなっていて、野球に生きる動きが多いです」と説明する。
野球では、小、中学生の頃に複数のポジションを経験する大切さを説く。動きのバリエーションを増やすためだ。川越さんは「投手は専任になりがちですが、内野手で指先の感覚やステップを身に付けたり、外野手で体を大きく使ったり、様々な動きを習得すると投球にも生きてきます」と語る。
複数ポジションの経験を推奨…制球に苦しまない投手の共通点
体が成長すれば体の使い方が変わり、投球フォームを修正していく。その時、思うように体を動かせないと可能性を狭めてしまう。川越さんも高校生までに捕手以外全てのポジションを経験したことが、プロ入りにつながったと考えている。
内野や外野を経験した投手は比較的、コントロールに悩まないと感じている。少年野球の子どもたちから制球を安定させる方法を問われると、勧めているのが壁当てだ。子どもの頃から、自宅の前や公園で的を目がけて球を投げるのが日課だった。壁当てはロッテの投手コーチになってからも、コントロールに苦労する選手に勧めていた。
「コントロールの良い選手はリリースポイントが安定しています。小さい的を目がけて投げていると、球がずれた時に修正点が見えてきます。今は壁当てができる場所が少ないかもしれませんが、5メートル、10メートルの距離でも十分な練習になると思います」
パフォーマンスを向上させる方法はストイックな練習や最新の知識だけではない。昔ながらの遊びにも野球が上手くなる要素が詰まっている。(間淳 / Jun Aida)