現代のサッカーにおいて、サイドバックの重要性は増している。Jリーグにも個性的なサイドバックはおり、チームにも大きな影響…
現代のサッカーにおいて、サイドバックの重要性は増している。Jリーグにも個性的なサイドバックはおり、チームにも大きな影響を与えている。日本代表にも通ずるテーマであるサイドバックの扱い方について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■安定感を示す浦和
J1リーグ第6節の柏レイソル戦に3対0で勝利した浦和レッズ。開幕2連敗の後、4連勝して順位も一気に3位まで上昇。4月末からのAFCチャンピオンズリーグ決勝を前に調子を上げてきたようだ。
昨シーズンは良い試合と悪い試合のバラつきが大きかった浦和だが、2023シーズンの浦和は安定感を増している。
昨年まで指揮を執ったリカルド・ロドリゲス監督は、相手によって、試合によって戦い方を変えることが得意だった。そのため、メンバーを固定できなかったのだが、今シーズン就任したマチェイ・スコルジャ監督は目先を変えることよりもチームの根幹を確立することを優先しているようだ。
その結果、戦い方が早くもチーム全体に浸透してきている。ボランチの岩尾憲が最終ラインに下りてトップ下の小泉佳穂が中盤に下がり、両サイドバック(酒井宏樹、明本考浩)が高い位置まで張り出すといった戦術的な変化が非常にスムーズになり、バランスを崩すこともなくなった。
そうなれば、前線で完全復活した興梠慎三やダイナミックな動きが衰えない右サイドバックの酒井など、タレントも豊富なだけにチーム力は大幅にアップすることになる。
■完成度向上の証拠
第6節の試合では、ここまで低迷している柏も若いDFが頑張ってサイドにボールを送り、MFの小屋松知哉の前線に駆け上がるフリーランニングも生かして前半の早い時間帯からチャンスも多く作っていた。
だが、前半終了間際の44分にアレクサンダー・ショルツからのロングボールを左タッチライン沿いで明本がヘディングで落として関根貴大が持ち込み、パスを受けた興梠がワンフェイクを入れて相手DFのタイミングをずらすテクニカルなゴールを決めて先制。
後半も柏が同点を狙って攻勢を強めていったが、それを跳ね返し続けた浦和は交代カードを切りながら戦力アップ。75分には今季まだリーグ戦では出番のなかったアレックス・シャルクがチーム2点目を決め、さらに82分には明本が華麗なジャンピングボレーでダメ押しの3点目を決めた。
交代選手を次々と投入してもコンビネーションが乱れず、フレッシュな選手を入れることでギアを上げて勝負を決められたのは、チームの完成度が上がっている証拠だ。
■捕まえづらい明本
左サイドバックの明本がゴール正面にまで進出して決めた3点目は、自らボールを動かして崩し切り、さらに自身の技術が噛み合う素晴らしいゴールだった。
自陣で起点となった明本は、大久保智明やシャルクが左サイドでパスをつないで相手陣内深くまでボールを運んでいる間に、するすると最前線まで攻め上がっていた。終盤になって足が止まり始めていた柏の守備陣は、その明本をまったく追い切れなかった。
明本はサイドバックとはいっても、もともと多くのポジションをこなすユーティリティー・プレーヤーであり(実際、柏戦でも自身のゴールで3点差とした後は、荻原拓也がサイドバックに入って、明本は1列ポジションを上げた)、浦和でもFWとしてプレーすることもあるだけに高いシュート技術を持つ選手だ。相手としては、捕まえづらい選手ということになるだろう。