高卒1年目ながら開幕マスク、完全試合…怒涛の1年を過ごした松川虎生 今季も、“新星”の登場が待ち遠しい。プロ野球の202…
高卒1年目ながら開幕マスク、完全試合…怒涛の1年を過ごした松川虎生
今季も、“新星”の登場が待ち遠しい。プロ野球の2023年シーズンが、3月30、31の両日に開幕する。野球専門メディア・Full-Countでは「BEYOND(~を超えて)」をテーマに、今季注目の選手たちの挑戦を追う連載企画を展開。最終回は、昨季ルーキーながら開幕マスクを経験し、2年目のシーズンに臨むロッテ・松川虎生捕手に迫った。
2022年3月25日、楽天生命パークでの開幕戦。ロッテの扇の要としてキャッチャーズボックスに腰を下ろしたのは、若干18歳の青年だった。プロ野球史上3人目、16年ぶりとなる高卒ルーキーの開幕マスクで、無失点リードでデビュー戦を白星で飾った。
終わってみれば、チームトップの70試合でスタメンマスクを被った。しかし、2021年に2位だったチームは5位に転落。開幕戦こそ勝利したものの、直後にチームは4連敗。その後もなかなか順位を上げることができなかった。“正捕手”として「凄く責任を感じましたし、悔しいところがありました」と唇をかむ。打撃でも苦しみ、打率.173、0本塁打に終わった。
「勝てない時期も続いて、メンタル的にもしんどいなと感じた時もありました。開幕スタメンでいいスタートを切れましたけど、振り返ってみると悔しいシーズンでした」。高校とは違い、プロ野球は毎日試合が行われる。想像以上の疲労とともに、勝敗に直結する捕手というポジションの重責を、18歳は必死に受け止め続けた。
開幕直後に完全試合をリード「1人1人集中した結果」
昨年4月10日には、NPB史上28年ぶりとなる佐々木朗希投手の完全試合をリードした。松川にとってはまだ7試合目のスタメンマスクで、“朗希さん”のボールを受けることで精一杯。「捕ることに必死でした。捕らないと1軍で使ってもらえないので」。佐々木朗のフォークは真っすぐ落ちることもあれば、スライダー気味に曲がることもある。投げてみないと分からない、まさに“魔球”を必死で掴んでいた。
4回には日本新記録となる10者連続三振を奪い、その後13者連続まで記録が伸びたが、記録のことは頭になかったという。「13者連続三振の時も分かってなかったんで、ベンチからボールを要求されたんですけど、『なんですか?』という感じでしたね」とすっとぼけた表情。「先を見ずにやった結果がああいうふうになったんかなと思います」。とにかく目の前の打者を打ち取ることだけに集中していた。
毎試合反省を繰り返し、寝て起きればまた試合がやってくる。試合での落ち着きぶりから、周囲からは「高卒1年目とは思えない」との声もあるが、その心中は必死の1年だった。
高校時代のプレースタイルから打てる捕手としての期待も高いが、まず求めるのは“勝てる捕手”になること。完全試合を導こうが、1勝の価値は同じ。オフにはヤクルトの中村悠平捕手らと自主トレを行い、スローイングや打撃を磨いてきた。昨季のプロ1号はお預けとなったが「自分のポイントで打てれば、いずれ出ると思う」と手応えも口にする。
18歳にして1年間1軍に同行し、酸いも甘いも味わったことは、またとない経験となるはずだ。「去年リーグ5位だったので、今年はチームのピースとしてハマれるように。ファンの皆さんと最後、笑って終われるようにしたい」。プロ野球人生はまだまだこれから。がっしりとした分厚い体に、捕手としての“厚み”も加えていく。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)