J1全18チームの主要フォーメーションと戦いぶり 中編前編「川崎フロンターレほか6チーム紹介」>>後編「セレッソ大阪ほか…

J1全18チームの主要フォーメーションと戦いぶり 中編

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Jリーグ開幕3節終了時の、J1全18チーム主要フォーメーションと戦いぶりを紹介。昨季優勝の横浜F・マリノスやJ1昇格組の横浜FC、アルビレックス新潟など、ここでは6チームの状況を見ていく。

【連覇へ向け順調なスタート】

横浜F・マリノス


FW/エウベル(ヤン・マテウス)、アンデルソン・ロペス(マルコス・ジュニオール)、水沼宏太(井上健太)

 
MF/西村拓真 
MF/渡辺皓太、喜田拓也(藤田譲瑠チマ) 
DF/永戸勝也、角田涼太朗、畠中槙之輔、松原健 
GK/オビ・パウエル・オビンナ(一森純)

 第3節サンフレッチェ広島戦で1-1と引き分け、開幕3連勝こそならなかったが、3節終了時点の成績は2勝1分けの勝ち点7で2位。今季J1の優勝候補筆頭が前評判に違わぬ強さを見せている。

 昨季からメンバーが入れ替わったのはGKくらいで、すでに連係面は確立済み。完成度の高いコンビネーションからスピード感あふれるパスワークを展開するばかりか、守備への切り替えも早く、常に敵陣で試合を進める様子は昨季から見られたものだ。

 しかも先発メンバーだけでなく、交代選手がギアを一段上げられる強さも備えており、対戦相手にしてみれば、仮にリードする展開になったとしても90分間気を抜けない。昨季MVPの岩田智輝をはじめ、戦力の流出があったにもかかわらず、ベンチも含めた選手層は他クラブ垂涎の厚さを誇る。

 退場者を出し、10人になってもなお、次々に攻撃的な選手を投入した広島戦は、横浜FMならではの積極策だった。

 J1連覇へ向け、昨季王者は順調なスタートを切ったと言っていいだろう。

【勝利なく苦境のなか、小川航基の活躍が希望】

横浜FC


FW/小川航基

 
MF/坂本亘基(山下諒也)、井上潮音(カプリーニ)(長谷川竜也)、近藤友喜(山根永遠) 
MF/三田啓貴、ユーリ・ララ 
DF/和田拓也(橋本健人)、ガブリエウ(岩武克弥)、ンドカ・ボニフェイス、中村拓海 
GK/永井堅梧

 ボールを保持して攻撃を仕掛け、敵陣でのプレスで相手を押し込む。J1復帰1年目の今季、そんなアグレッシブなスタイルを目指す姿勢はうかがえるが、残念ながら結果につながっていない。

 開幕から3節を終え、1分け2敗とまだ勝利がなく、最下位に沈んでいる。

 主力のなかに永井堅梧、ンドカ・ボニフェイスなど、今季がJ1デビューとなった選手もおり、能力、経験の両面で潤沢な戦力が整っているとは言い難いばかりか、今季新加入の選手が数多く、組織的な整備も道半ば。

 その上、新キャプテンのガブリエウがヒザに重傷を負い、戦線離脱したとあって、かなり状況は苦しい。1年でのJ2降格を免れるためにも、早く勝利を手にし、流れを変えたいところだ。

 そんななか奮闘が目立つのは、昨季J2得点王の小川航基。3節終了時点でチームの全得点となる3ゴールを決め、J1得点ランキングでもトップに立つ。苦境にある現在、背番号18の活躍が横浜FCの希望となっている。

【積極プレーの強度アップ。今季は一味違う】

湘南ベルマーレ


FW/大橋祐紀(阿部浩之)、町野修斗(山下敬大)

 
MF/平岡太陽(タリク)、小野瀬康介 
MF/畑大雅、永木亮太(山田直輝)、石原広教(岡本拓也) 
DF/杉岡大暉、大岩一貴、舘幸希 
GK/ソン・ボムグン

 昨季後半戦の勢いを持続させ、うまく新たなシーズンに突入した印象だ。

 すでに昨季から見られていた積極的な姿勢、すなわち前線から相手に圧力をかけ、敵陣で攻守を繰り返す戦い方は、今季に入ってさらに磨きがかかった。

 技術的なミスでチャンスをフイにすることも少なくないが、常にゴールへと向かう前向きなプレーは、その強度を増している。これまでの3試合で奪った8ゴール(現J1最多タイ)は、その成果だろう。

 そんなチームにあって、昨季はなかった新たなアクセントとなっているのが、今季新加入の小野瀬康介。ウイング的素養を備える彼が右インサイドMFに入ることで、湘南の攻撃に幅と厚みを生み出している。

 開幕戦でサガン鳥栖に5-1と大勝したのをはじめ、3節終了時点で無敗の6位。好調・大橋祐紀のケガは気になるところだが、残留争いを強いられた昨季が開幕からの8節で3分け5敗だったことを考えると、その違いは明らかだ。

 今季は一味違う湘南を予感させる。

【崩しの際の多彩な連係はJ1屈指】

アルビレックス新潟


FW/鈴木孝司(谷口海斗)

 
MF/三戸舜介(小見洋太)、伊藤涼太郎、太田修介(松田詠太郎) 
MF/島田譲(秋山裕紀)、高宇洋 
DF/堀米悠斗、千葉和彦(トーマス・デン)、舞行龍ジェームズ、藤原奏哉 
GK/小島亨介

 昨季J2を制した、ポゼッションスタイル(ポジショナルプレー)を今季J1でも継続。オフに目立った補強はなかったが、昨季からほとんど変わらぬ顔ぶれで完成度の高いサッカーを披露している。

 特に相手ペナルティーエリア付近で崩しにかかる際の多彩な連係は、J1でも通用するどころか、現時点ではJ1屈指と言ってもいい。なかでも伊藤涼太郎の存在感は際立っており、独特の間合いと優れた技術でチャンスを生み出している。

 3節まで終えて1勝2分けの勝ち点4は、J1復帰1年目のクラブとしては上々のスタート。しかも、昨季5位のセレッソ大阪(2-2)、同3位のサンフレッチェ広島(2-1)から、ともにアウェーで2点ずつを奪っての勝ち点獲得はエンタメ性にも富み、数字以上に満足度は高い。

 ただし、J1ともなると、新潟と言えども守備に回る時間が長くなる。今後、そうした時間帯にどれだけ耐えられるかが、現実的に勝ち点を伸ばしていくためのカギになるのではないだろうか。

【昨季同様の堅守速攻の色が濃いスタート】

名古屋グランパス


FW/キャスパー・ユンカー(酒井宣福)

 
FW/永井謙佑(レオナルド)、マテウス・カストロ 
MF/和泉竜司(内田宅哉)、稲垣祥、米本拓司、森下龍矢(野上結貴) 
DF/丸山祐市、中谷進之介、藤井陽也 
GK/ランゲラック

 勝っても負けても1-0。今季開幕からの3試合は、よくも悪くも名古屋グランパスらしいスタートとなった。

 昨季J1で最少失点タイだった名古屋の基本的な戦い方は、堅守速攻。中谷進之介を中心とした3バックは熟成されており、ランゲラックの好セーブにも助けられ、失点を抑える計算は立つ。ポイントは、いかに奪ったボールを早く縦に入れ、攻撃に移ることができるか、だ。

 そこでは、スピードと決定力を兼ね備えたキャスパー・ユンカーの加入が大きい。永井謙佑、マテウス・カストロと組む3トップは能力が高く、少ない人数で決めきる力がある。開幕戦でユンカーが決めた"幻の2点目"(VARでオフサイド)などは、今季の名古屋が武器とすべき攻撃パターンだろう。

 とはいえ、第2節京都サンガF.C.戦でハイプレスに苦しんだように、ただ蹴らされるだけになり、前でボールが収まらなくなると苦しい。守備の時間が長くなるなかでも、どれだけ前向きにボールを奪い、いい形で前にボールをつなげるか。そこに今後のカギがありそうだ。

【相手を押し込む時間を長く作り出している】

京都サンガF.C.


FW/木下康介(豊川雄太)(パウリーニョ)、パトリック(山﨑凌吾)、山田楓喜(一美和成)

 
MF/武田将平(谷内田哲平)、福岡慎平(金子大毅) 
MF/川崎颯太 
DF/佐藤響、麻田将吾、井上黎生人、白井康介 
GK/若原智哉

 曺貴裁監督が指揮するチームらしい、強度の高いプレーを攻守に繰り返すアグレッシブなサッカーは今季も健在。開幕からの2試合こそ連敗を喫したが、第3節FC東京戦で今季初勝利を手にした。

 ラインを下げずにコンパクトな布陣を高く保ち、ボールサイドに人を集める。そうした積極策を逆手に取られたのが、開幕戦の鹿島アントラーズ戦だった。ロングボールでプレスを回避され、能力の高いFWにボールを収められてしまう展開からピンチを招いた。

 だが、3試合をこなすなかで、システムを変え、選手を入れ替えることで、次第に試合運びは安定。敗れた第2節名古屋戦にしても、ワンチャンスを決められはしたが、選手同士がいい距離感でボールを動かし、相手を押し込む時間を長く作り出している。

 勝利したFC東京戦では、21歳の新キャプテン、川崎颯太が決勝点を決めたことも大きい。これを勢いに乗るきっかけにしたいところだ。