北京五輪金メダル…齋藤春香氏が花巻東の女子ソフト監督に就任した ソフトボール界で知らない人はいない。日本代表の主砲として…

北京五輪金メダル…齋藤春香氏が花巻東の女子ソフト監督に就任した

 ソフトボール界で知らない人はいない。日本代表の主砲としてアトランタ、シドニー、アテネと3大会連続で五輪出場。2006年に日本代表監督に就任し、2008年北京五輪では初の金メダルに導いた“レジェンド”、齋藤春香さんが花巻東高校女子ソフトボール部の監督に就任した。2月22日に行われた会見では「こういったご縁を心の中に力強く刻みながら、力を尽くしていきたい」などと語った。

 齊藤さんは会見で「学生の指導を専任でやるのは初めてで、今までとは違って身の引き締まる思いです」と心境を明かした。さらに「3年間で高校生をどう指導したらいいのかを常々考えているのですが、一人一人の価値観、それぞれに高校生活を歩む姿や思いは違うものです。高校生のみなさんが社会に出た時に、ソフトボールを通して培ったものをいろんな分野で発揮して活躍できるような指導ができればと思っています」と述べた。

 花巻東高女子ソフトボール部は2002年に創部。初代指揮官は、同校の硬式野球部で指揮を執る佐々木洋監督だった。学校と佐々木監督に共通する「夢を持った高校生を育成したい」という思いに齋藤氏は共鳴。高校生を指導する決意を固めた。

 指導理念は何か。「好きなことをやり抜くのは大事なことだと思っています。その上で、やらせるのではなく、自らが決断して、挑戦心を持って取り組む。完璧な人ではないですし、失敗を繰り返しながら歩んでいくものだと思いますが、そういった失敗も乗り越えていける精神面なりをもたらしてあげられたらいいと思っています」と思いを語った。

「楽しんで、ワクワクした思いを持ってトライしてほしい」

 青森・弘前中央高出身の齋藤氏。自身の青春時代を振り返れば「好きなものに取り組んでいたな」と思うことがある。その経験も踏まえて「恐れずに挑戦していこうという指導を貫きたい」と言う。

 春の選抜大会に10回、夏のインターハイには12回の出場(2018年には8強進出)を誇る花巻東の女子ソフトボール部だが、齋藤氏の下で強化は進む。「常に上を目指したいですね。選手を信じて信頼して取り組んでいきたい。しかし、それだけではない。勝利至上主義という言葉がありますけど、強いだけではダメだと思っています」。

 その前提にあるのは“人間形成”だ。「何をしても勝てばいいというわけではありません。人間作りを含めて取り組む中で、最後に結果として『強いチーム』になってくれればと思っています。個々の力はそれぞれに違うものです。一番はソフトボールを楽しんで、ワクワクした思いを持ってトライしてほしい。諦めない気持ち、好奇心や一致団結など、いろんなキーワードが出てくると思いますが、チームのストロングポイントと個々の力が生かされるチーム作りをしていきたいと思います」と決意を示した。

 進化という名の「変革」を求められる時期もあるはず。その時流に順応しながら、時代に合ったチーム作りも目指す。『齋藤監督』の船出は、長かった冬を越えた東北の地でも春の息吹を感じる今年4月だ。(佐々木亨 / Toru Sasaki)