今年からすり足気味のクイック投法に変更 野球日本代表「侍ジャパン」の山本由伸投手(オリックス)が26日、ひなたサンマリン…

今年からすり足気味の“クイック投法”に変更

 野球日本代表「侍ジャパン」の山本由伸投手(オリックス)が26日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われたソフトバンクとの壮行試合「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎」に先発し、3回2安打2失点とまずまずの内容を見せた。大胆にモデルチェンジした新投球フォームを、オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任し、現在はメジャーリーグの解説も務める新井宏昌氏が分析した。

 山本は今年から左足を高く上げない、すり足気味の投球フォームに変更。一見、球速が落ちそうなクイックモーションのように見えるが、2月に153キロをマークするなど春季キャンプから進化した姿を見せている。この日も2回に2点を失ったが、最終イニングとなった3回はわずか10球で3者凡退に仕留め、順調な仕上がりを見せた。

 先発のマウンドに上がり3回2安打3奪三振2失点という内容に新井氏も「制球の部分で本人は納得していない所はあるかもしれないが、真っすぐの威力、フォークなど変化球も投げ分けができており順調そのもの。問題ないのではないでしょうか」と、太鼓判を押した。

 大谷、ダルビッシュ、佐々木と共に先発ローテの一角として期待される山本。日の丸を背負っての投球でも「失点してしまいましたが、感覚よく投げられた球が多かったです。(捕手の)中村さんと確認しながらいろんな配球を試すことができたので、内容は良かったと思います」と、手応えを口にしている。

フォームの“速度”が外国人投手と同じ?

 WBC前に新たな投球フォームを取り入れ、周囲からは心配する声もあったが結果で黙らせた右腕。新井氏も「軸足に体重が乗らないという人もいるが(右投手なら)左を少しでも上げると、自然と体重は軸足に乗っている。打者でもそうだが、大きく足を上げなくても体重は必ず乗る。できるだけ無駄を省いて、作り上げたフォームだと思います」と語る。

 不安点を強いて挙げるなら、打者との“タイミング”だという。メジャーリーグなどで活躍する外国人打者に対しては「タイミングだけを考えると、今のフォームが合うかもしれない」と指摘する。外国人は足で大きくリズムを取らず投球速度が速い投手が多い。一方で日本人は大きく足を上げ、動きだしからリリースまで時間を取るのが特徴だ。

 山本の新フォームは足をスライドさせクイック気味に投げるため、どちらかと言えば外国人の投球速度に近いという。この日、ホークスの助っ人との対戦ではアストゥディーヨを三ゴロに抑えたものの、ガルビスには右翼線二塁打を浴び「4回から2番手で投げた高橋奎の方が、タイミングは合っていなかったように感じます」と、見ている。

 ただ、それさえも凌駕していくのが、2年連続投手4冠を達成した“国内最強右腕”の山本由伸だ。新井氏は「これまでの日本代表でも最高の投手陣であることに変わりはない。山本への信頼感は変わらないでしょう」と期待を込めていた。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)