愛してるJ! Jリーグ2023開幕特集Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由横浜FC スベンド ブローダーセン …
愛してるJ! Jリーグ2023開幕特集
Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由
横浜FC スベンド ブローダーセン インタビュー 後編
前編「ブローダーセンが語る、日本の好きなところ、少し残念なところ」>>
中編「ブローダーセンが語る、オリバー・カーンとザンクトパウリ」>>
横浜FCのスベンド ブローダーセンのインタビューの後編は、自身のポジション、GKについて。好プレーの秘訣は、日本の環境でプレースタイルや思考が変わったからだという。
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「リラックスして自分の仕事を全うすることを第一に考えている」という横浜FCのGKブローダーセン
【バスケットボールやハンドボールも好きだった】
「フットボールを始めた頃は、セントラルMFだった。センターバック、サイドバック、ウイングもやったよ。初めて出た試合では、ウイングで2得点と2アシストを記録したんだ。その時の写真が今も実家の壁に飾られているから、絶対に忘れないよね(笑)」
横浜FCの守護神スベンド ブローダーセンも、多くのプロGKと同じように、最初はフィールドプレーヤーだったという。でもある時、レギュラーGKがケガをし、チームで一番大きかった彼に白羽の矢が立った。促されるままにやってみると、うまくできたし、予想以上に楽しかった。
「僕はバスケットボールやハンドボールも好きだったから、もともと手を使うスポーツに親しんでいた。だからGKも最初から楽しめたんだと思う。本格的にこのポジションに専念したのは、10歳くらいからかな」
少年時代から恵まれていたのは体格だけでなく、スピードや瞬発力といった運動能力にも優れ、なによりエネルギーに溢れていた。そして楽しいと思えるポジションに出会い、ポジティブに取り組んでいくと、17歳の時にザンクトパウリのファーストチームの公式戦でベンチ入り。
20歳の時にはドイツの世代別代表の一員として、韓国で開催されたU-20W杯に出場し、初戦を除く3試合に出場した(ラウンド16でザンビアに敗退)。
その後、24歳で東京五輪もメンバーとして経験し、横浜FCではJリーグ屈指のビッグセーバーと評されるようになった。
【日本の環境が僕のパフォーマンスを改善してくれた】
またそのおおらかな性格と優しい笑顔、熱いジェスチャーでサポーターのハートも掴んでいる。そんなブローダーセンにファインセーブの秘訣を訊くと、照れた笑顔でこう答えた。
「お褒めの言葉をどうもありがとう。特にこれというのはないんだけど、あえて言うなら、常にどんなことからも学ぼうとしていて、いいものを取り入れようとしていることかな。
僕の第一のストロングポイントは、パワーだと思う。でも常にパワフルにプレーすればいいというわけではないよね。力を抜くべきところでは抜き、入れるべきところで入れる。これが大事なんだ。その意味で、日本の穏やかな環境やカルチャーは、僕のパフォーマンスを改善してくれたと言える。
以前の僕は、パワーに頼りすぎていたところがあったけれど、日本の落ち着いた空気によって、パワーの出しどころを考えるようになった気がする。そうすることによって集中力が増し、パワーをより効果的に発揮できるようになったと思うんだ。
また考え方も変化したような気がする。日本に来てからは、試合に出る時も、勝敗について過度に考えなくなった。リラックスして自分の仕事を全うすることを第一に考えている。勝利を求めすぎると、緊張したりして、逆に本来の力を出せなくなったりするからね。勝ちたいのは当たり前だけど、そればかりを考えると、うまくいかなくなることが多い気がするよ」
ハートは熱く、頭は冷静に。技術や運動能力、戦術を身につけたあと、その先の差を生み出すのは、メンタリティだとブローダーセンは信じている。平静なマインドを備えていれば、周囲の状況を落ち着いて把握でき、自分が次に何をすべきかがわかるものだからだという。
「GKもそうだけど、フィールドの選手にはもっと当てはまるだろうね。どんな状況にも冷静でいられる選手は、アドバンテージを持っていると思う。相手よりも先が読めるはずだし、自信にもつながるはずだからね。
おそらくその究極の形が、リオネル・メッシだと僕は思う。もちろん、技術もスピードも超一級だけど、彼はフットボールを誰よりも知っているんだ。試合の流れが手に取るようにわかるのだろうね。だから、誰も彼を止められないんだと思う」
【シュンスケさんの左足はすさまじかった】
横浜FCでは日本が誇る左利きのテクニシャン、中村俊輔の現役晩年の1年半をともにした。ブローダーセンはこのレジェンドにも、似た性質があったと言う。
「彼もすばらしい技術を持った選手だったけど、思考も早かった。シュンスケさん(日本語で)も、チェスの名手のように、数手先までやるべきことがわかっている選手だった。だから足がそんなに速くなくても、活躍できたんだと思う。プレーの判断が見事で、他の人には見えないコースにパスを出していたからね。
もちろん、左足のキックはすさまじかった。全体練習のあとに、よくシュート練習をしていて、僕もよくゴールマウスに立ったんだけど、ボールを止めたことよりも、ネットから取り出すことのほうが多かったよ(笑)」
ポジティブでおおらか、インテリジェンスも感じさせるブローダーセンが、初めて最初から挑むJ1のシーズンがまもなく開幕する。
(おわり)
スベンド ブローダーセン
Svend Brodersen/1997年3月22日生まれ。ドイツ・ハンブルク出身。横浜FC所属のGK。ザンクトパウリのアカデミーで育ち、2014年にザンクトパウリⅡに昇格。ドイツ4部で7シーズンプレーし、その間、トップチームでも6試合出場。U-20ドイツ代表として、2017年のU-20ワールドカップに出場。また2021年には東京オリンピックを戦うドイツ代表のメンバーにも選ばれている。2021年7月に横浜FCへ移籍。すぐにレギュラーを獲得し、以降チームのゴールを守り続けている。