日本ハム宮西尚生、入団から続けた50試合以上登板が14年でストップ 日本ハムの宮西尚生投手が「野球人生を懸けた」2023…

日本ハム宮西尚生、入団から続けた50試合以上登板が14年でストップ

 日本ハムの宮西尚生投手が「野球人生を懸けた」2023年シーズンに挑む。チーム一筋16年目の37歳は、沖縄・国頭村で行われているファームキャンプに参加中。昨年キャリアワーストの24試合登板に終わり「『引退』は頭をよぎるどころじゃない。ど真ん中にある」と現在の胸中を激白した。

 入団から14年間続けていた50試合以上登板が、昨季で途切れた。左肘の状態は年々悪化し、ついに1試合投げるごとに注射を打って溜まった水を抜く日々だった。6月に2軍落ちすると、周囲に思いを漏らした。

「『今年で辞めるわ』って家族や、近い人に伝えた。水が溜まって肘が動かなくなる。3年くらい水を抜きながらやっているけど、昨年は完全に心が折れていたね」

 ユニホームを脱ぐことを、一度は覚悟した。しかし周囲から「後悔だけはしないように」と言われ、愛息には「新球場で投げているのを見に行きたい」と言われた。このままでは、納得のいく終わり方ではない――。宮西の心は動いた。

「ここで辞めたら後悔するなって。その分、このオフは後悔しないようにやってきたつもり。この先もやり続けて、そこで判断しようと思っている。16年もやれば、自分の矛を収めるところは自分で考えないと。それが俺の引き際の考え方だから」

1985年世代は残り4人…投手は宮西だけ「よう頑張ってきたな」

 プロ1年目から走り続け、ついにチーム最年長となった。同じ1985年世代でNPBに生き残る投手は宮西だけ。野手も、関西学院大の同級生でもあるロッテ・荻野貴司外野手、中日・大島洋平外野手、広島・松山竜平外野手だけだ。すでにこの世界を去った仲間たちの大きな期待も背負う。

「一緒にプレーしていた同級生からたまに連絡が来て『まだ頑張れ』って応援してくれる。そういうのはうれしいけど……どこまで頑張らせんねんっていう気持ちも正直ある(笑)。でも年上も数えるくらいしかいないし、そう考えたら凄いな、よう頑張ってきたなって」

 どんなときも腕を振り続けた“北の鉄腕”も、変わりゆく自らの立ち位置をはっきり把握している。それでも不甲斐なかった2年間を経て、吹っ切れたように明るい表情が目立った。昨秋には左肘の炎症を取り除くための手術を行い、ここまでは順調な調整を続けている。

「2回失敗したらアカン、大きなことを言うのはおこがましい。“延命措置”をしたとはいえ、肘の状態を考えればいつ投げられなくなってもおかしくない状況だけど、やるからには結果を出すことが全て。そこだけじゃないかな、まずは。岐路に立っているから、今年は野球人生を懸けた1年です」

 春季キャンプでは若手と同じランニングメニューをこなし、300メートル走のタイムでは5位になるほど体は若い。史上初となる400ホールドの大台まで、あと20ホールド。納得のいく“ゴール”を目指して走り抜ける。(町田利衣 / Rie Machida)