堀口恭司 インタビュー後編新団体の構想と今後(中編:堀口恭司が「最強のMade in JAPAN」になるまで。空手でボコボコにされた日、師匠KIDとの渡米前のやりとり>>) 年が明けて間もない1月6日、堀口恭司選手が新たな格闘技団体を立ち上…

堀口恭司 インタビュー後編

新団体の構想と今後

(中編:堀口恭司が「最強のMade in JAPAN」になるまで。空手でボコボコにされた日、師匠KIDとの渡米前のやりとり>>)

 年が明けて間もない1月6日、堀口恭司選手が新たな格闘技団体を立ち上げることを発表。同30日に団体のネーミングの募集がスタッフ公式ツイッターでスタートすると、約1週間で8000件を超える応募が集まるなど、大きな注目を集めている。

 現在、世界最高峰のジム「アメリカン・トップチーム(ATT)」に所属する堀口は、どんな団体を作ろうとしているのか。選手としての今後についてと併せて聞いた。



格闘技の新団体立ち上げが話題になっている堀口

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――これまであらゆる団体で激闘を繰り広げてきた堀口選手ですが、試合前のルーティンなどはありますか?

「特に何もないですね。日本で試合がある時は神社にお参りに行ったり、(堀口家の)お墓参りをしたりするくらいです」

――メンタルが揺らがない印象がありますが、それは5歳からやっている空手で培われたものなのでしょうか。

「たぶん空手じゃないっすね。僕は、ほぼ何も考えていないんですよ(笑)。人間って、いろいろと考えすぎちゃうものじゃないですか。しかも考えすぎる時は、だいたいネガティブな思考になることが多いイメージがある。みんな、頭がいいから悩んじゃうんだろうなって思います(笑)」

――常に"無"でいる、という感じですか?

「そうかもしれないですね。考えるとしても、試合前に想定する戦い方が『アリかナシか』と判断するくらい。試合前に恐怖を感じることもありません。対戦相手が強くても、『同じ人間だし、同じ体重じゃん』みたいな感じ。考えても無駄なことは、ポイってどこかに捨てちゃうんです」

――それは、積み上げてきた経験や、強さへの自信があってこそ、という感じもします。

「もちろん、それはあります。そこまで徹底して練習していますから」

【新団体にはATTの選手も参戦?】

――新団体を立ち上げるとなると、今後は考えることが多くなりそうですね。堀口さん本人は、新団体にどのぐらい関わることを想定していますか?

「他の団体での試合が近い時などは難しいですが、時間がある時はできるだけ関わりたいと思ってます。自分の名前を使って立ち上げる団体なので、やっぱり僕も関わらないと。地元(群馬県高崎市)の地域活性化も積極的にやっていきたいですね」

――MMAが中心の団体とのことですが、修斗、パンクラス、DEEPのような既存の団体との棲み分けについてはどう考えていますか?

「MMAの団体でありながら、日本で人気が高いキックボクシングの試合など、いろいろなカードをやっていきたいですね。あとは、世界で活躍できる選手を輩出したい。そして将来的には、日本で1番の格闘技団体にしたいです」

――ルールや、試合場をリングかケージどちらにするのか、などはどう考えていますか?

「試合場はケージにします。世界基準でやっていきたいので、ルールも(UFCやBellatorなどアメリカのMMA大会で採用されている)MMAユニファイド・ルールでやっていこうと考えてます」

――ATTから選手が出場する可能性もありますか?

「実は、ATTの選手たちも『出たい。日本で試合がしたい』と言ってくれているんです。だから、ATTからの参戦も十分に可能性があると思いますよ」

――それが実現すれば、まさに「堀口選手ならではの大会」となりますね。選手のキャリアに関しては、プロに限定する形ですか?

「アマチュアの試合もちょっと入れていきたいです。プロはプロで、しっかりと世界を狙える選手を育てていく。育成もやっていかないと、強い選手は生まれないですから。僕が本格的にそれに関わるのは引退後になるでしょうけどね。今でも、一緒に練習などができたら、その選手が吸収できるところもあるはず。教えるというより、肌で感じてほしいです」

【Bellator、UFCなどへの思い】

――堀口選手が、かつて山本"KID"徳郁さんに憧れて弟子入りしたように、堀口選手のところにも弟子入り志願者が来そうですね。

「どうなんですかね。これまでも、あんまり来てないですから(笑)」

――仮に、「アメリカまで行くのでお願いします!」という人がいたら?

「ATTのオーナーとかにも話を通さないといけないですけど、基本的には歓迎します。ただ、強い覚悟を持っている人じゃないと紹介はできない。すべてを捨てても格闘技で成功したいと思っている人はなかなかいないと思うんですよ。それを見極めるのは大変そうですね」

――ATTの2階には、本来は短期間の集中トレーニングをする時に使う寮があると聞きました。堀口選手はそこに住み込みで練習をしていたとのことですが、それは特例だそうですね。

「そうっすね。ATTのオーナーからも『ずっと寮にいていいよ』と言われていたんですけど、2年前に一軒家を買いました。僕がずっと寮にいたら、若い選手たちに夢を持ってもらえないと思ったので(笑)」

――これまで堀口選手が残してきた結果だけでも、十分に夢を持たせられるでしょうけどね。王座返り咲きを目指すBellatorには、現在の階級であるフライ級がありません。そこはどう考えていますか?

「スコット(Bellatorのスコット・コーカー代表)と話したんですけど、今後、フライ級を作っていく話が出ていて。そこで戦っていけるといいですね」

――堀口選手は以前、UFCにも参戦していて戦績は8戦7勝1敗でした。もう一度UFCで戦うことも視野に入れていますか?

「それは、(ATTのヘッドコーチである)マイク・ブラウンやオーナーも、『恭司、UFCどうだ?』と言ってくれてはいます」

――UFCでの唯一の敗けは、デメトリアス・ジョンソンとのタイトルマッチだけです。

「やり返したい思いはあるんですけど、彼はもう団体が違うし難しいんですよ(デメトリアス・ジョンソンは現ONE Championshipフライ級王者)。僕も今はBellatorと契約しているし、フライ級ができたらそこで活躍する。UFCについては、その後にまた考えますよ」

【プロフィール】
堀口恭司(ほりぐち・きょうじ)

1990年10月12日生まれ、群馬県高崎市出身。5歳から空手を始め、高校卒業後に山本"KID"徳郁氏のジム「KRAZY BEE」に入門。2010年に修斗でプロデビューを果たし、2013年からUFCに参戦。2017年にRIZINと契約し、翌2018年12月にRIZINバンタム級、さらに2019年6月にBellatorバンタム級の王座を獲得。2大タイトル同時制覇を成し遂げた。2019年11月に負傷により両タイトルを返上。翌年12月の朝倉海戦で王座を奪還した。現在はRIZINとBellatorの両団体で活躍中。