2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンは12日、競技最終日となるデイ4が行われ、前日首位に立ったフォードのオィット・タナックが2時間25分54.4秒でフィニッシュ、今季初優勝を遂げた。総合2位にはクレイグ・ブリ…

2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンは12日、競技最終日となるデイ4が行われ、前日首位に立ったフォードのオィット・タナックが2時間25分54.4秒でフィニッシュ、今季初優勝を遂げた。総合2位にはクレイグ・ブリーン、3位はティエリー・ヌービルと2台のヒョンデが表彰台を獲得。本ラリーで4連覇を目指したTOYOTA GAZOO Racingだったが、表彰台も逃した形だ。

◆【実際の映像】波乱の連続、ラリー・スウェーデンの雪上を疾走するWRCマシン

■「“もっといいクルマ”を一緒につくりあげていきましょう」

しかし、トヨタ自動車の会長でもあるTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの豊田章男会長は「新しいチームでの初勝利おめでとう!」とライバル・チームのエース、タナックに祝辞を寄せた。

元同僚のヒョンデ2台を抑えフォード移籍で初優勝、表彰台で飛び上がって喜びを表現するタナック (C) Jaanus Ree / Red Bull Content Pool

それと言うのもご存知の通り、2016年にトヨタがWRCに復帰、初めてドライバーズ・タイトルを手にしたのは2019年、タナックのドライビングによるものだったから。

以下、豊田会長談。

「WRCに復帰した6年前、ヤリ-マティ(編集部注:ヤリ-マティ・ラトバラ、現チーム代表)がTOYOTA GAZOO Racingに初めて優勝をもたらしてくれたのがラリー・スウェーデンです。それ以来、TGRとして、2019年にはオイットが、2020年にはエルフィンが、昨年はカッレが優勝してくれています。

フィンランドのチームである我々にとって雪道はホームロード…得意の路面で今年も最高の結果を残したいと、3人のドライバーたちは果敢にチャレンジをしてくれました。残念ながら順位に結びつきませんでしたが、それぞれのチャレンジは、今回もクルマとチームを強くしてくれたと思っています。

貴元の2日目のクラッシュは、今までで一番クルマの損傷が激しいものだったと聞きました。それをメカニックたちは時間内に修理し、貴元たちを翌日のステージに戻してくれたそうです。クラッシュ自体は残念でしたが、これによってチームは更に強くなることができました。メカニックのみんなありがとう。

デイリタイヤとなった勝田貴元 (C) Toyota Gazoo Racing WRT

エルフィンは“あと1つピースがはまらない”といった感じの悩みを持ち続けているように見えます。2019年のヤリ-マティを見ているようです。エルフィンが探しているピースを見つけられるよう、チームのみんなもとことん付き合っていきます。エルフィンにとっての“もっといいクルマ”を一緒につくりあげていきましょう。

カッレ、君のことだからディフェンディングチャンピオンの気負いは全くないと思います。次のメキシコも思いっきり楽しんで走ってきてください!

1ヶ月後のメキシコは今回と打って変わって“熱い”ラリーです。チームのみんな、ドライバーが“もっと安心して”“もっと楽しく”走れるクルマを、よろしくお願いします。

追伸:オイットへ 新しいチームでの初勝利おめでとう!」

さすが世界のトヨタともなると、チームの勝利のみに関心を頂くわけではない、スポーツマンシップの表れだ。

■ラリー・スウェーデン 総合順位

1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPuma Rally1 HYBRID) 2h25m54.4s 2 クレイグ・ブリーン/ジェームズ・フルトン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +18.7s 3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +20.0s 4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +25.1s 5 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m24.0s 6 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー (フォード Puma Rally1 HYBRID) +5m59.0s 7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +7m42.4s 8 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +7m48.1s 9 オーレ・クリスチャン・ベイビー/トシュテン・エリクソン (フォルクスワーゲン Polo GTI R5)+8m30.4s 10 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m03.2s R 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) (現地時間2月12日14時30分時点のリザルト)

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文●SPREAD編集部