徳島商・井上監督が語る杉本「上に人がいると伸び伸びやるタイプ」 昨年の日本シリーズでMVPに輝き、今季は選手会長に就任し…

徳島商・井上監督が語る杉本「上に人がいると伸び伸びやるタイプ」

 昨年の日本シリーズでMVPに輝き、今季は選手会長に就任したオリックス・杉本裕太郎外野手。2021年に本塁打王にもなった打棒で、レッドソックスへ移籍した主砲・吉田正尚の穴を埋める活躍が期待されている。かつて徳島商で杉本を指導した井上力監督は「今年こそ勝負の年だと思いますよ」と少し心配そうに話した。

 その理由を「杉本は確かお姉さんがいる弟なんです。当時から上下関係なく愛されるキャラでした。だけど弟気質なのか、一番上になると良さが失われてしまうんです」と語る。高校では投手としてプレーし、1年時の夏の徳島大会で公式戦初登板。登板機会はなかったが、甲子園のベンチ入りを果たした。翌夏にはクローザーを務め徳島大会の決勝へ進出。しかし、最上級生になると様子が変わったという。

「本当なら高卒プロ入りレベルの子でした。杉本が3年生になっても、1、2年の調子のままであれば、確実に甲子園に出られていたんです」と振り返る。外野手へ転向した青山学院大でも1年時から指名打者として出場機会を得ると、4番に定着した2年の秋季リーグ戦でベストナインを受賞した。しかし、高校時代と同様に、学年が上がるにつれて持ち味が薄れていった。青学大卒業後はJR西日本へ入社し、2015年ドラフト会議でオリックスから10位指名を受け入団した。

「自分の上に人がいると伸び伸びとやっていけるタイプだと思います。だから、年下ではありますが吉田正尚選手が抜けた今年が、杉本にとっての正念場だと思います。選手会長にもなりましたしね。高校、大学からプロ入りしなかった原因を理解して、今年に生かせるといいのですが……」

恩師が杉本に贈った言葉「1人で引退試合をしてもらえる選手に」

 心配が尽きないのは、教え子の可能性を信じているからだ。井上監督は、高校野球界で一時代を築いた徳島・池田高で名将・蔦文也氏の指導を受け、1986年選抜大会では優勝を飾っている。華々しいキャリアを持つ指揮官が「入学した時からモノが違いました」と認めるほど、杉本は当時からポテンシャルの高い選手だった。

「1人で引退試合をしてもらえる選手になりなさい」

 2015年、プロ入りする杉本へ井上監督がかけた言葉である。「入団会見ではドラフト1位も10位も育成指名も横並びになって、みんな温かく迎えられます。スタートラインは一緒。でも引退は違います。現役引退を祝ってもらえるのは、それだけの成績を残して、チームやファンに愛される、ほんの少しの選手しかしてもらえないんです。杉本にはそうあってほしいですね」。

 高校卒業から14年。名実ともにチームの中心選手になった杉本にとって、正念場であり、成長した姿をみせられる年だ。昨季26年ぶりに日本一になったオリックスを「後退はない あるのは前進勝利のみ!!」と牽引する姿に期待したい。(喜岡桜 / Sakura Kioka)