東京2020オリンピック男子シングルス銅メダリストで現在、世界ランク11位のオフチャロフ(ドイツ)が来日し、都内で開かれた2月1日のファンイベントに登場した。このイベントは東京、神奈川、埼玉で卓球ショップと卓球教室を展開する国際卓球が企画し…

東京2020オリンピック男子シングルス銅メダリストで現在、世界ランク11位のオフチャロフ(ドイツ)が来日し、都内で開かれた2月1日のファンイベントに登場した。

このイベントは東京、神奈川、埼玉で卓球ショップと卓球教室を展開する国際卓球が企画したもので、午後一番に渋谷店でサイン会を終えたオフチャロフは夕方から高田馬場本店で、限定18人の参加者たちと8オールから始まる1ゲームマッチの「チャレンジミニゲーム!!」に挑戦。

小学3年生から学生、シニア層まで幅広い年代の卓球愛好家たちの"真剣勝負"を受けて立った。

「ドイツでもファンとの交流はあって、いつだって楽しい」と言うオフチャロフは終始サービス精神旺盛で、渋谷店で行列を作った約60人のファン一人ひとりに名前を聞き、持参したラケットやケース、色紙などにサインをして、にこやかに写真撮影に応じた。

また、高田馬場本店では1対1の対戦に緊張する参加者を和ませながら、時折、両ハンド強打や持ち前のバックサーブを繰り出すなど、世界トップレベルの技術を披露。試合後にはサイン会を行った。

そんなオフチャロフの「神対応」に集まったファンは感激しきりだったが、ドイツではブンデスリーガでもヨーロッパチャンピオンズリーグでもホームゲームの試合後はチームメンバー全員でサイン会を行い、選手それぞれのポストカードにサインをするファンサービスが恒例となっている。

しかし、今回のオフチャロフの東京滞在は正味2日半の強行スケジュール。

1月30日の午前中に羽田空港に到着し、その日のうちにメディアのインタビューとテレビ番組の収録をこなして、翌31日は契約メーカーのバタフライ(株式会社タマス)で自身の用具調整と開発製品の試打を行った。

そして、最終日の2月1日はイベントを終えた足で羽田空港へ向かい、夜の帰国便に乗るという分刻みのスケジュールで疲れもあったはずだ。

「本当はもっとゆっくりできればいいんだけど、来週はWTTコンテンダーに出場するためアンマンに行かなきゃならないし、ヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)のセミファイナルもあるからね」とオフチャロフ。

 ECLはヨーロッパのナンバーワンクラブ決定戦で、オフチャロフが所属する独ブンデスリーガのノイ・ウルムにはモーレゴード(スウェーデン)や林昀儒(台湾)らスター選手がいる。また今シーズン、日本からは張本智和(IMG)が参戦している、まさにドリームチームだ。

実は皆、オフチャロフの声がけで集まった選手ばかりで、「チームは強いし、メンバーの個性も強い。でもみんないいヤツばかりで楽しく卓球ができている」とオフチャロフは目を細める。

 そんな彼も来夏のパリ2024オリンピックを目指し、今年5月の世界卓球2023ダーバン(個人戦)やWTTなどの国際大会で結果を出して世界ランクを上げなくてはならない。

ちなみにドイツの男子代表は若手のチウ・ダン(世界ランク10位)や中堅のフランツィスカ(同13位)、大ベテランのボル(同15位)らタレント揃いである。

目標達成に必要なことたずねてみた。

「トーナメントを戦うのに重要なのはハードなトレーニングをこなせるフィジカルとメンタル。そして良い準備をして試合に臨むこと」とオフチャロフ。

34歳になった今も勝利に対する貪欲さと卓球を楽しむ気持ちは変わらないという。

 今回の東京滞在は短かったが、日本の食事が大好きというオフチャロフは「ラーメンと寿司、神戸牛を食べたよ。最高に美味しかった」と束の間の日本を満喫し、帰国の途についた。


(文・写真=高樹ミナ)