アメリカ・ラリー界のレジェンド、ケン・ブロックが2日(日本時間3日)、ユタ州ワサッチ郡で発生したスノーモービルによる事故で死亡したニュースは世界から哀悼の意を呼んでいる。

◆【実際の映像】レジェンド、ケン・ブロックのニュース 事故死直前にスノーモービルを駆る姿

■エクストリーム・スポーツからラリーへ

ブロックが設立したフーニガン・レーシングは同日「今日、ケン・ブロックがスノーモービルの事故で亡くなったことを確認しました。非常に残念です。ケンは先見性があり、パイオニアであり、アイコンでした。そしてもっとも大切なことは、父であり夫でありました。家族は悲しみに暮れており、家族のプライバシーを尊重してください」と声明を発表した。

ブロックはラリー・ドライバーであると同時にエクストリーム・スポーツの先駆者でもあった。スケートボード、スノーボード、モトクロスなどで活躍し、コリン・マッケイ、デーモン・ウェイらとともにDCシューズを設立し、その資金を元に世界ラリー選手権(WRC)を始めとするラリー、レースなどに参戦。その一方でレースを始めとすると様々なドライビングを勢力的にYouTubeで発信し、インフルエンサーとして世界中にラリー・スタント・ドライビングの魅力を伝えて来た。

2005年からラリー・アメリカに参加しルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2007年からはWRCにも挑戦し、主にスバルをドライブしたことからも日本と縁が深く、15日から開催される東京オートサロンでもトークショー、サイン会などが予定されていた。2020年には、エクストリームEのスパークオデッセイ21をサウジアラビアで開催されているダカールラリーでデビューさせ、全電動ラリーカーをドライブし、プロジェクトEにも貢献した。

世界ラリー選手権でフォードを駆り得意の大ジャンプをみせるケン・ブロック (C) Getty Images

またX Gamesのカテゴリー「ラリークロス」でも3度メダルを獲得。グローバル・ラリークロスでは6勝を挙げ、FIA 世界ラリークロス選手権にも出場。ラリードライバーとなった後も、エクストリーム・スポーツをけん引した。

■オジエ、ローブ、バトンから哀悼の声

ブロックの事故死については、世界から哀悼の声が挙がっている。

WRC王者8度獲得を果たしたTOYOTA GAZOO Racingのセバスチャン・オジエは「ケンは先見の明があり、とても情熱的で刺激的だった。モータースポーツとショーを組み合わせる手法を他の誰よりも知っていた。彼は人生を精一杯生きたし、彼の笑顔と笑い声を決して忘れない」とTwitterに投稿。同じく9度獲得し、現在ダカール ラリーに参戦しているセバスチャン・ローブは「RIP レジェンド」と投稿した。

2010 年からブロックにレースカーを提供していたフォードのジム・ファーリーCEOは「ケンはイノベーターであり、有能なドライバーであり、マーケティングの天才だった。ドライビング、ドリフト、レースの喜びのすべてを体現していました。彼は、特別な車と特別な瞬間を創造するための無限の想像力を持っていました。私たちは彼の家族に心を寄せ、チームとコミュニティとともにその死を悼みます」とコメントを発表した。

自身も元WRCドライバーであり、Mスポーツ・フォードのディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは「ラリーレースというスポーツを世界中に広めるのに貢献したインフルエンサー。彼のドライビング、彼のスタントは本当に素晴らしかった」と惜しんだ。

ホンダをドライブしたことで日本でも人気の高い元F1世界王者ジェンソン・バトンは「(モータースポーツに)多大な貢献をした才能」とブロックを称賛。バハ1000でチームメートだったジャックス・レッドラインは、ブロックの死について「モータースポーツ業界全体が以前と同じに戻ることはありません」とその喪失を表現した。

◆【実際の映像】ダカール・ラリーで全電動カーをドライブするケン・ブロック

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文●SPREAD編集部