立ち技格闘技イベント『Cygames presents RISE WORLD SERIES / SHOOT BOXING-KINGS 2022』が25日、東京・両国国技館で開催される。クリスマス開催ということもあり、“聖夜の最狂決定戦”と銘…

立ち技格闘技イベント『Cygames presents RISE WORLD SERIES / SHOOT BOXING-KINGS 2022』が25日、東京・両国国技館で開催される。クリスマス開催ということもあり、“聖夜の最狂決定戦”と銘打たれ数々の豪華カードが並ぶ。

◆伊藤隆代表と緒形健一代表が目指す“次世代の格闘技興行”、クリスマス開催のビッグマッチを読む

■クリスマスの「RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS」

何よりも興味深いのは、RISE vs. シュートボクシング(以下SB)のルールの垣根を超えた、トップファイター同士の対決だ。

通常、RISEはワンキャッチワンアタック(相手の蹴り足を掴んで殴ったり、足を払ったりする攻撃は、1回の攻防につき1度は有効)のキックボクシングルール。一方のSBは、パンチ・キック・投げ技・立関節技を認めた立ち技総合格闘技。両団体の選手が、相手リングのルールに挑戦するため、どのような戦いになるのか楽しみだ。

さらには、海外のメジャーキックボクシング団体GLORYとの対抗戦も決定。両団体のサムライが、海外強豪選手たちを迎え撃ち、威信をかけた戦いに挑む。

開催を前にRISE伊藤隆代表とシュートボクシング緒形健一代表に各対戦カードの見どころを語ってもらった。

■RIVALS RISE vs. GLORY対抗戦 見どころ

RISE vs. GLORYの大注目の対抗戦は「RIVALS」とタイトルづけられた。日本で強さを極めた猛者たちが、まだ見ぬ海外の“ライバル”たちを迎え撃つ。

GLORYについて、伊藤代表は「キックボクシングの中では最高峰だと思う」と評価。「1番強いのはヘビー級ですよね。最終的には上の階級まで勝負したい。本音を言うと(GLORYは)80kg以上ですが、現状日本人ではまだまだ太刀打ち出来ない。でも可能性を見出していく。まずは 65kg、70kg から総なめにしてきたい」と意気込み、世界に羽ばたく日本人中量級ファイター育成を目指していく。

■スーパーライト級(−65kg)●原口健飛(RISE)vs.セルゲイ・アダムチャック(GLORY)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

「原口がペットパノムルンと3回目の対戦を目指す中では、ちょうど良い指針となる試合です。彼は『世界とやっていきたい』と話していて、そういう意味でも日本代表としての戦いを見せて欲しいです」(伊藤代表)。

本来は、ザカリア・ゾウガリーとの対戦が決まっていた原口健飛だが、ゾウガリーの怪我により対戦相手がセルゲイに変更となった経緯がある。伊藤代表は「ザカリアより強い相手になったと思う。苦戦をするとは思うけど、しっかり白黒をつけて欲しい」と期待を寄せる。

原口がリベンジを目指す、初代RISE世界スーパーライト級王者ペットパノムルン・キャットムーカオとの現時点での実力差について、「これまでペット選手が戦った相手の中でも、原口が1番苦しめたんじゃないかな。なので後一歩。前回の負けの経験も活かして、彼自身も掴んだものがある。射程圏内に入っていると思う」とした。

原口は、20年に日本人トップがそろう「RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」を制覇して国内最強を証明した。その後、世界最強の呼び声も高い、ペットパノムルンと2度対戦したが、いずれも敗北。3度目の対戦へ向けて、元GLORY王者撃破へ燃える。空手仕込みの三日月蹴りやバックスピンキック、卓越したパンチテクニックで実力差を見せ、勝利を収めることができるか。

■ミドル級(−70kg)●海人(RISE/SB)vs.ストーヤン・コプリヴレンスキー(GLORY)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

海人は、今年6月『THE MATCH 2022』でK-1王者・野杁正明を撃破し、国内最強を証明した。その後、海外強豪を相手に2連勝を挙げ、遂にGLORY世界ライト級1位ストーヤンに挑むことになった。

ストーヤンについて、緒形代表は「オランダの選手でコンビネーション、フィジカルが強い選手」と解説し、「海人は65kgから階級を上げた選手で、海外の選手は80kgほどから落としてくる」という。海人が海外選手特有の体幹やフィジカルの壁をどうぶち破るかがこの試合のポイントになるだろう。

今回、派手なKO勝ちを収めれば、現GLORYライト級王者ベズタティとの対戦を手繰り寄せる可能性も。「圧倒的に勝てば、次のステージが見えてくる。対世界というキーワードで日本の底力を見せて欲しい。25歳であの戦績(55戦48勝21KO6敗1無効試合)、ほとんどが“vs. 世界”という経験は今後プラスになる。もっと魅力のある選手になっていくと思いますね」(緒形代表)。

■山田洸誓 Final Match スーパーライト級(−65kg)●ペットパノムルン・キャットムーカオ(GLORY)vs.山田洸誓(RISE)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

RISEのリングで数々の名勝負を生んできた、山田洸誓が遂にリングを去る。

空手仕込みの強烈な打撃で、第4代RISEスーパーライト級王座を戴冠。今年6月の『THE MATCH 2022』では安保瑠輝也と対戦し名を挙げ、今年8月にはGLORY世界フェザー級5位のヤン・カッファを剛腕フックでKO。キャリアピークの状態で、引退試合を迎えることになった。

「強い相手にぶつけるな、と思われるかもしれないけど、俺がファイターだったら絶対嬉しいです。山田は今が1番良い時で空手とキックボクシングが融合している、これから更に伸びると思います。パンチでも倒せるし、もしかしたらというのもあるし。勝っちゃったら、引退伸ばすんじゃないですか…。そんなことを密かに望んでいたりしますけど(笑)。試合でしっかり出し切って、完全燃焼して欲しいですね」(伊藤代表)。

■-63.5kg契約●笠原弘希(RISE/SB)vs.チャド・コリンズ(GLORY)

■笠原弘希にはジャイアントキリングの可能性も

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

笠原弘希は『THE MATCH』出場の笠原友希の実兄。SBでは破格の3階級制覇を達成。第3代SB日本ライト級王者、第15代SB日本スーパーフェザー級王者、第4代SB日本フェザー級王者となった。一方のコリンズは、押しも押されぬムエタイ強豪で、最近のRISEで現役王者・中野椋太と直樹を連続KO。日本で大暴れの状態だ。

コリンズ有利の声も上がる中、緒形代表は番狂わせの可能性を述べた。「笠原は倒し合いができるし、初めて見た人にも伝わりやすい試合をします。コリンズは海人にも勝ってますし、これは彼にとっては大きなチャレンジ。ひょっとしたらジャイアントキリングが起こるかもしれない。笠原の可能性に期待してます。笠原はボディブロー、パンチ主体の選手なので、倒せるとしたらボディじゃないですか」(緒形代表)。

■スーパーライト級(−65kg)●白鳥大珠(RISE)vs.アブデラ・エズビリ(GLORY)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

白鳥大珠は、“キックの王子様”の異名を取るイケメンファイター。過去にはRISE WORLD SERIES 2019 -61kg級王者となったが、ここ最近は勝ち負けを繰り返した。だが、今年10月にYA-MANとの激戦で、殻を破る判定勝利。エズビリは、過去には野杁正明を下した実績を誇り、現在はGLORY世界フェザー級4位につけている。

「白鳥は最近YA-MAN戦までは、メンタルが不安定な面もあったが、YA-MANに勝って世界との対抗戦に出れるのでしっかりやって欲しい。エズビリはピークを過ぎた選手なので、倒して欲しい」(伊藤代表)。白鳥自身、公開練習ではKO勝ちへの意欲を示していただけに、期待の持てる試合だ。

■フライ級(-52kg)●小林愛三(RISE)vs.テッサ・デ・コム(GLORY)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

RIVALS対抗戦、唯一の女子マッチ。RISE現役フライ級王者の小林愛三が、Enfusionストロー級王者・テッサ・デ・コムを迎え撃つ。小林は、今年3月にベルギーでティファニー・ヴァン・スーストとの「GLORY女子スーパーバンタム級タイトルマッチ」に挑んだが、5R TKO負け。世界の壁を痛感し、再び世界へ挑戦する。   伊藤代表は「小林はティファニー選手とやりたがっている。相手はEnfusionのチャンピオン。ここは次に繋げるためにも倒しに行かないといけない」と、KOを狙う姿勢を期待する。

続けて「(小林は)気持ちでは、世界に立ち向かっていける。ただ身体の部分では、小林だけではなく、日本人が全体的に負けています。海外女子選手層は55kg〜60kgがメイン。生まれ持った体格差もあるけど、やるなら合わせて行かないといけない」(伊藤代表)。海外選手と渡り合える日本人女子選手の育成も、立ち技格闘技界のテーマだ。

【その他注目カード、選手】

■SB×RISE(RISEルール)アトム級(-46kg) ●宮﨑小雪(RISE)vs.MISAKI(SB)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

団体を背負う女子の対抗戦も遂に実現する。第2代RISE QUEENアトム級王者・宮﨑小雪とSB日本女子アトム級王者MISAKIは、記者会見で火花を散らしていた。MISAKIが「RISEの女子選手を見ても私の方が面白い試合をするし、私の方が華がある」と言えば、宮﨑は「ここで負けたら終わりだし絶対負けられない。プライドや意地もある。私以外の選手に対して言われたのはムカつくので、試合で果たそうと思う」とコメント。

宮﨑はサウスポーから繰り出すしなやかな蹴り技やワンツーなど、卓越したテクニックを誇る。これまでの敗戦は1度のみで、それ以外は全て勝利と高い勝率。一方のMISAKIは、以前猪突猛進スタイルで戦っていたが、近年はスタイルチェンジし、ムエタイ選手をパンチ連打でKOする決定力がついた。お互いのファイトスタイルがぶつかり合う熱戦に期待したい。

両者の対戦について、両代表は以下のように語っている。

「お互いに会見からバチバチ攻撃し合っていた。その想いが伝わるような熱のある試合を見せて欲しい。大会の良い起爆剤になると思います」(緒形代表)。「会見でも両者とも良い雰囲気でした。本当に対抗戦っぽい、プロらしい雰囲気でしたね。最終的には試合内容なので、どういう試合を見せてくれるか楽しみ」(伊藤代表)。

■RISEルール バンタム級(-55kg)●鈴木真彦 vs.志朗

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

第7代RISEバンタム級王者・鈴木真彦、RISE DEAD OR ALIVE 2020 -55kg~那須川天心挑戦者決定トーナメント〜優勝の志朗が、運命の再戦を迎える。両者は20年に対戦しており、その際は、志朗がカウンターのパンチでダウンを奪い、勝利を収めている。この試合の勝者には、RISE世界バンタム級王座決定戦に出場する権利が与えられる。

「裏メインです。日本人に残された少ないビッグカードです。トーナメントでは、鈴木が負けてしまいましたが、今回はトーナメントではなくワンマッチで2年ぶりの再戦です。勝った方が世界に行くというモチベーションがある。

『THE MATCH』では、2人の明暗が分かれた(鈴木が勝利し、志朗は敗北)。それも含めてストーリーだったのかな。志郎もアグレッシブに変わっているので、ハイレベルで目が離せない戦いになる。勝者は世界タイトルに進みます。海外強豪を呼んで、王座決定戦をします」(伊藤代表)。

■SB × RISE(SBルール)フェザー級(-57.5kg) ●川上 叶(SB)vs.安本晴翔(RISE)

(C)RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022

現役SBフェザー級王者の川上 叶が、今年他団体から移籍を果たし注目を浴びる安本晴翔と対決する。両者とも卓越したテクニックを誇るため、どのような展開となるか。

「安本選手はここまで圧倒的に勝ってきている。川上はメジャーにはなっていない。川上はチャンピオンだけど、ここが大きなチャンスだと思いますね。結構な技術戦になると思う。僕としては楽しみです。(展開については)距離をある程度とって戦っていくと思いますね。川上は、最近かなり調子がいいみたいなので、ひょっとしたらKO決着になるかもしれません」(緒形代表)。

【新世代の注目選手】

両団体とも新世代の若手も育ってきている。今後の団体を背負うファイターの底知れぬポテンシャルに注目してみてはいかがだろうか。那須川は天心の実弟、プロ5戦目でKOUJIROと対戦する。一方の山田虎矢太は戦績8戦8勝(5KO)無敗の超新星で、RISEの有井渚海と対戦する。

那須川龍心(RISE)

「デビュー戦が代々木第一体育館、2戦目が東京ドームですから。期待されていることはいいこと。でも贅沢ですよね(笑)。期待が高くて、まだ応えられていない部分もあるけど、これから上がっていくと思います。ただ、RISEの51.5kg、53kgは国内ナンバーワンと自信を持って言えるほど、選手層が熱い。あそこで勝ち抜いてチャンピオンになったら本物。彼はそういう星のもとに生まれているので、そうならないといけないと思います」(伊藤代表)。

山田虎矢太(SB)

「兄弟で子供の頃からウチで育った選手なので、大舞台で化けるチャンスです。テクニックが凄くて、倒せるパンチを持っている。倒しにいく姿勢も魅力です。ちょっとまだ経験不足なところもありますが、人を倒していく要素はある。だから非常に楽しみです」(緒形代表)。

その他にも両団体の代表選手たちが、両国国技館を揺らす熱戦を演じる。今年のクリスマスは、RISE×SB、立ち技格闘技で熱くなれ!

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文●吉田崇雄