18年の歴史に幕を下ろした「トップリーグ」に替わり、新たに日本のラグビーの頂点を争う「リーグワン」が誕生したのが202…

 18年の歴史に幕を下ろした「トップリーグ」に替わり、新たに日本のラグビーの頂点を争う「リーグワン」が誕生したのが2022年。ファーストシーズンは埼玉パナソニック・ワイルドナイツがディビジョン1王者に輝いた。

 2023年は9月から10月にかけてフランスでワールドカップが開催されることもあり、2シーズン目となる今季は12月17日から始まり、2023年5月20日にプレーオフ決勝が行なわれる。

 ラグビーファンが待ち望むW 杯イヤーを前に、リーグワンには世界各国のスター選手が多数参戦する。そこで今回は、2023年W 杯に出場する可能性が高い選手を中心に紹介しよう。



南アフリカ代表SHデ・クラークが日本で見られる!

 今季のディビジョン1には、2019年W 杯を制した南アフリカ代表(通称スプリングボクス)の優勝メンバーがやってくる。「30キャップ以下の選手が海外でプレーすると南アフリカ代表でプレーできない」という規定が2018年に撤廃されて、今では多くの選手が海外クラブでプレーするようになった。

 まず紹介したいのは、横浜キヤノンイーグルス(昨季6位)に加入したSH(スクラムハーフ)ファフ・デ・クラーク(31歳)。インパクトのある金髪ロン毛で、スプリングボクスの人気者だ。

 2018年に当時の指揮官ラシー・エラスムス(現・南アフリカ代表ディレクター・オブ・ラグビー)が9番に抜擢し、以後45キャップを数える。2019年W杯では準々決勝の日本代表戦でのプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝くなど、優勝の立役者のひとりとなった。

 身長170cmと小柄ながら激しいタックルが武器で、愛称は「小さな巨人」。そんな経験豊富なスター選手がなぜ日本でのプレーを決めたのか聞くと、「ワールドカップで来日した時、本当に日本のことが気に入って、ここで何年かプレーできると思いました。南アフリカの選手たちから日本のラグビーや生活を楽しんでいる話と聞いて、それも魅力的でした」と語った。

【2019年W杯メンバーが勢揃い】

"小さな巨人"の加入によって、元日本代表SO田村優とのハーフ団がイーグルス躍進のカギとなるのは間違いない。デ・クラークは「イーグルスはエキサイティングでワクワクするラグビーをしているので、たくさんトライしたい。得意としているビッグタックルを披露し、アタック面でもしっかりゲームをスピードアップし、周りの選手にチャンスを作りたい」と意気込む。

 イーグルスには南アフリカ代表のCTB(センター)ジェシー・クリエル(28歳)も2019年から在籍している。すぐにチームに馴染むことができるだろう。

 リーグワン2連覇を狙う埼玉ワイルドナイツにも、ふたりの現役スプリングボクスが加入・復帰してきた。

 新たに加わったのは、身長205cm体重127kgの大型LO(ロック)ルード・デヤハー(29歳)。サイズを活かしたセットピースの強さはもちろん、ダイナミックな走りやタックルなどでチームを牽引するハードワーカーとして知られており、世界最高峰LOと言って間違いない。

 2015年W杯では日本代表戦を含む7試合に出場し、その年の南アフリカ最優秀選手賞を受賞。2019年W杯でもスプリングボクスの主力として活躍し、現在67キャップを数える。ワイルドナイツではスクラムやラインアウトといったセットプレーの安定に大きく貢献するだろう。

 復帰したのは、通算69キャップのCTBダミアン・デアレンデ(31歳)。2015-2016シーズンは近鉄ライナーズでプレーした経歴を持つトライゲッターだ。

 南アフリカ代表が世界選抜と対戦した時、2トライを挙げたデアレンデを見て世界選抜を率いていたワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督が絶賛。「常に安定したすばらしいラグビーをし続けている。彼は南アフリカ代表に新しい奥行きを加えることができる」とラブコールを送り、2019年W杯終了後にワイルドナイツに加入した。

 コロナ禍でトップリーグが中断したこともあって2020年に退団したが、今シーズン再び埼玉でプレーすることになった。スペインの血を引き、セクシーなラグビー選手として人気も高い。昨季に続いてリーグワンでプレーする2022年世界「ベスト15」オーストラリア代表WTB(ウィング)マリカ・コロインベテ(30歳)とのコンビは他チームにとって大きな脅威となろう。

【ディビジョン2にも大物来日】

 昨季5位のトヨタヴェルブリッツには、イングランド代表70キャップのLOジョー・ローンチブリー(31歳)が入った。身長198cm体重126kgの大型LOで、フィジカルラグビーをウリにするウェルブリッツFWの主力となるはずだ。

 所属していたイングランドのワスプスが破産した影響で、ウェルブリッツに加入することになった。来年のW杯で日本代表とイングランド代表は対戦するだけに、リーグワンでのプレーは見逃せない。2019年の世界最優秀選手に選ばれた南アフリカ代表FL(フランカー)ピーターステフ・デュトイ(30歳)とのFWラインにも注目したい。

 一方、ディビジョン1昇格を狙うディビジョン2にも、強力な外国人選手が揃う。

 三重ホンダヒートには2023年W杯で日本代表と戦うアルゼンチン代表のNo.8(ナンバーエイト)パブロ・マテラ(29歳)が入団した。90キャップを超えるマテラはイングランドやフランスなどヨーロッパでの経験も豊富な選手だ。

「私は成長を続ける日本ラグビーの長年のファンであり、その環境下で自身を試すことはかねてからの目標でもあった。チームやファンの方々にいい結果をもたらせられるよう、自分の役割を果たすつもりです」(マテラ)

 2019年W杯ではアルゼンチン代表のキャプテンを務め、2022年はニュージーランドのクルセイダーズでプレーしてスーパーラグビー優勝にも貢献。ボールキャリアや接点で常に身体を張った熱いプレーで、三重ヒートの昇格に貢献できるか。

 同じくディビジョン1昇格を目指す日野レッドドルフィンズ には、オーストラリア代表32キャップLOローリー・アーノルド(32歳)が加入した。双子の兄弟リッチーはヤマハ発動機ジュビロでプレーしていたこともある。身長208cmの身長を活かした空中戦では無類の強さを見せ、スクラムやモールの押しも強力。セットプレーで存在感を示すことは間違いない。

【オールブラックス参戦は来季】

 オーストラリア代表は、海外でプレーする選手の選考規定を2022年2月に変更した。スーパーラグビーで5シーズン以上プレーするか、30キャップ以上保有している選手はオーストラリア代表に入ることが可能だという。

 ディビジョン1昨季3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属するSO(スタンドオフ)バーナード・フォーリー(33歳)は、今秋のテストマッチでオーストラリア代表の10番を背負った。2023年W杯では何人のリーグワン経験者がワラビーズに選ばれるだろうか。

 対して、2020-2021シーズンはSOボーデン・バレット(31歳)、2021-2022シーズンはFB(フルバック)ダミアン・マッケンジー(27歳)が東京サントリーサンゴリアスでプレーした現役ニュージーランド代表選手だが、今季はひとりもリーグワンに加入してない。

 ニュージーランド代表に選ばれるには、ニュージーランド協会と契約を結んで国内のクラブでプレーすることが条件なため、日本にやってくる選手はいなかったというわけだ。だが、2019年の国内最優秀選手を受賞したNo.8アーディー・サヴェア(29歳)は来季、神戸スティーラーズでプレーすることを発表している。2023年W杯の楽しみが、またひとつ増えた。

 2シーズン目を迎え、さらなるレベルアップが見込まれるリーグワン。来年のフランスW杯でプレーしそうな各国スタープレーヤーたちの活躍からも目が離せない。