致命的な層の薄さ…レンドンに変わる三塁手9人試すも5人がリリース エンゼルスはなぜ勝てないのか――。地元紙「オレンジカウ…
致命的な層の薄さ…レンドンに変わる三塁手9人試すも5人がリリース
エンゼルスはなぜ勝てないのか――。地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者は、その原因として選手育成システムの崩壊を挙げ「核となる問題は、彼らのファームシステムが10年以上にわたり球界で最悪の1つであること」などと問題を指摘している。
エンゼルスのペリー・ミナシアンGMは、「現在の球界では、下から這い上がってきた球団内部からの才能なしでは、フィールドに常に競争力の高い選手を置くことは非常に難しい」と語っている。ミナシアンの前任者、ジェリー・ディポト(現マリナーズGM)とビリー・エプラー(現メッツGM)は、その基盤となるファームシステムを十分に向上することができなかった。
ファームシステムの層が薄いため、メジャーのレギュラークラスが怪我をしたり、不振に陥ると「致命的(な問題)になる可能性が高い」という。セーフティネットとなるはずのマイナーリーグに代わりとなる選手がいないからだ。例えば、エンゼルスは昨年、負傷したアンソニー・レンドンに代わる三塁手を9人試したが、うち5人がすでにリリースされたという。
今年エンゼルスでスペシャルアシスタントを辞任するまで55年間、野球界で過ごしたマルセル・ラケマン氏は「野球において、最高の価値を得るためには、自分たちの手で選手を育成することだ。それは間違いない」、またエンゼルスの元幹部は「(選手育成問題の)発端は、アート(・モレノオーナー)がその分野に大きな投資をしたくないということから始まった」「アートは華やかなフリーエージェントと契約するというアイデアにどんどん心酔していった」と語っている。
「ベースボール・アメリカ」のプレシーズンのランキングで、エンゼルスのファームシステムは、2013年から17年までの5年間のうち4度最下位に沈んでいる。ではなぜ“転落”していったのか。「エンゼルスが21世紀の最初の10年で成功を収めたとき、彼らはラテンアメリカから才能豊かな選手たちを継続的に獲得してきた」と同記者。右腕のラモン・オルティズ(1995年契約)、右腕のアービン・サンタナ(2000年)、遊撃手のエリック・アイバー(2002年)、一塁手のケンドリス・モラレス(2005年)といった選手らが力を発揮した。
中南米から“撤退”で「投資しないことを選んだことが主な原因」
しかし、モラレスとの契約からわずか数年。「モレノがその地域に投資しないことを選んだことが主な原因だと複数の関係者は語っている」というように、同地域から“撤退”。選手へのボーナスにも、現地の選手を発掘のするためのスカウトなどにもお金をかけなくなった。
2009年、ベネズエラのプロスペクトとの契約における不適切な行為に関してメジャーリーグが調査に乗りだした後、エンゼルスは、国際スカウティングディレクターのクレイ・ダニエルを解雇した。そのことがラテンアメリカでの取り組みにさらにダメージを与えることになった。2022年の開幕日には、メジャーリーガーの28%以上がアメリカ以外の国で生まれており、エンゼルスが長年にわたって開拓してこなかった市場がいかに巨大であったかが分かる。
またドラフトでの失敗も一因にあげられる。2004年から2010年までスカウティングディレクターを務めたエディ・ベイン氏は、「ハイリスク・ハイリターンの高校生の選手を好んだ」と言及。エンゼルスがプレーオフの常連だったことでドラフトの指名順位は遅く、2005年から2016年までの間、エンゼルスは全体15位より早い指名を一度もしていないというデメリットも生まれた。
そして、将来的な可能性よりも勝利を優先するチームになるために「ディポト元GMらは、ベインとは逆のアプローチをした」とも指摘。例え伸びしろがなくても、メジャーリーグに早く到達できる洗練された大学生選手を選択したと述べた。ただ2012年から15年にかけての指名選手のうち、エンゼルスでWAR1.0以上をマークしたのは、テイラー・ウォード、ジャレッド・ウォルシュ、キーナン・ミドルトン、デビッド・フレッチャーの4人だけだった。
エプラーGMが2015年10月に加わった後、再びドラフトの方針を劇的に変化させ、伸びしろが大きな若手選手によりフォーカスするようになった。上位指名のほとんどで高校生を選択。あるスカウトは「リスクが大きすぎる」として「彼らが毎回、何か“特別な選手”に変わるのを期待するのは難しい」と分析。狂った歯車を戻すのは、容易ではなさそうだ。(Full-Count編集部)