1991年に野茂英雄が記録した6試合連続2桁奪三振を抜いて、単独1位の7試合連続を記録した楽天・則本昂大。今度は8日のDeNA戦で完投し、12奪三振で自身の記録を「8」に伸ばした。■メジャーではマルティネスとセール、日本では則本しか達成して…

1991年に野茂英雄が記録した6試合連続2桁奪三振を抜いて、単独1位の7試合連続を記録した楽天・則本昂大。今度は8日のDeNA戦で完投し、12奪三振で自身の記録を「8」に伸ばした。

■メジャーではマルティネスとセール、日本では則本しか達成していない偉業

 1991年に野茂英雄が記録した6試合連続2桁奪三振を抜いて、単独1位の7試合連続を記録した楽天・則本昂大。今度は8日のDeNA戦で完投し、12奪三振で自身の記録を「8」に伸ばした。

 8試合連続2桁奪三振はMLBでもペドロ・マルチネス、クリス・セール(2回)の3例しかない。

 NPBとMLBではリーグが異なり、ローテーションの間隔も違うため、単純比較はできないが、日米の8試合連続奪三振の記録を並べてみよう(※QSは先発投手で6回以上投げて自責点3以下、HQSは7回以上投げて自責点2以下)。

〇則本昂大(楽天)2017年・26歳
4月19日・西武戦(8回10奪三振、自責3)
4月26日・ロッテ戦(7回10奪三振、自責1)○
5月3日・オリックス(8回12奪三振、自責2)○
5月10日・ロッテ戦(9回12奪三振、自責0)○
5月17日・日本ハム戦(7回12奪三振、自責5)○
5月25日・オリックス戦(8回10奪三振、自責1)○
6月1日・巨人戦(8回12奪三振、自責2)○
6月8日・DeNA戦(9回12奪三振、自責2)○

8試合7勝0敗2完投、防御率2.25、7QS、6HQS
949球64回48被安打6被本塁打13与四死球90奪三振16自責点

■マルティネス、セールの投球記録の詳細は…

〇ペドロ・マルチネス(レッドソックス)1999年・27歳
8月19日アスレチックス戦(7回11奪三振、自責3)●
8月24日ツインズ戦(8回15奪三振、自責0)○
8月30日ロイヤルズ戦(6回11奪三振、自責1)○
9月4日マリナーズ戦(8回15奪三振、自責0)○
9月10日ヤンキース戦(9回17奪三振、自責1)○
9月15日インディアンス戦(7回14奪三振、自責2)
9月21日ブルージェイズ戦(9回12奪三振、自責0)○
9月27日オリオールズ戦(8回12奪三振、自責1)○

8試合6勝1敗2完投、防御率1.16、8QS、6HQS
948球62回35被安打2被本塁打11与四死球107奪三振8自責点

〇クリス・セール(ホワイトソックス)2015年・26歳

5月23日ツインズ戦(8回10奪三振、自責3)●
5月28日オリオールズ戦(7.2回12奪三振、自責0)○
6月3日レンジャーズ戦(7回13奪三振、自責0)○
6月8日アストロズ戦(8回14奪三振、自責1)○
6月14日レイズ戦(6.2回12奪三振、自責2)●
6月19日レンジャーズ戦(8回14奪三振、自責0)
6月24日ツインズ戦(6.2回10奪三振、自責5)●
6月30日カージナルス戦(8回12奪三振、自責1)

8試合3勝3敗0完投、防御率1.80、7QS、5HQS
928球60回37被安打4被本塁打11与四球97奪三振12自責点

〇クリス・セール(レッドソックス)2017年・28歳
4月10日タイガース戦(7.2回10奪三振、自責2)●
4月15日レイズ戦(7回12奪三振、自責1)○
4月20日ブルージェイズ戦(8回13奪三振、自責0)
4月27日ヤンキース戦(8回10奪三振、自責2)●
5月2日オリオールズ戦(8回11奪三振、自責2)○
5月7日ツインズ戦(6回10奪三振、自責4)○
5月13日レイズ戦(7回12奪三振、自責3)○
5月19日アスレチックス戦(7回10奪三振、自責2)

8試合4勝2敗、防御率2.45、7QS、6HQS
877球58.2回36被安打4被本塁打14与四死球88奪三振16自責点

■メジャーでは短期間の過密日程で達成、則本は2か月近くも好調を維持

 3選手とも26歳から28歳という若さに経験が伴った盛りの年齢で達成している。また、MLBの3例はすべてアメリカン・リーグの投手が記録。レッドソックスが2例、ホワイトソックスが1例だった。

 則本は7勝負けなし。MLBの3投手は1敗以上している。ただクリス・セールの1回目は、防御率1.80で3勝3敗、援護点が少なかった。また則本は50日かけて達成しているが、登板間隔が少ないMLBでは、マルチネスが39日、セールの1回目が38日、2回目が39日で達成。このことからも単純比較はできないことがわかる。

 則本の記録と、クリス・セールの記録は時期が重なっている、日米同時進行で、奪三振の大記録が生まれていたのだ。

 則本はいよいよ次回登板でアメリカにも例がない9試合連続2桁奪三振に挑戦する。9日の則本は、10奪三振目をDeNAの4番打者・筒香嘉智から狙って取った。狙って三振を奪えるのは凄いことだが、それ以上に凄いのは、2か月近くも好調を維持していることだ。

 どんな好投手でもシーズン中に1度や2度は不振に陥り、大炎上することがあるものだが、則本の安定感は抜群。どこまでこの記録が続くか、目が離せない。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo