最後は途中出場のSHサム・ノックがタッチキックを蹴って終わった。イーデンパークが興奮に包まれた。 ニュージーランド遠征中のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ。ツアー第2戦のブルーズ戦が6月7日におこなわれ、22-16で青いジャージー…

 最後は途中出場のSHサム・ノックがタッチキックを蹴って終わった。イーデンパークが興奮に包まれた。
 ニュージーランド遠征中のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ。ツアー第2戦のブルーズ戦が6月7日におこなわれ、22-16で青いジャージーが歓喜の輪を作った。初戦のニュージーランド・プロヴィンシャル・バーバリアンズ戦に13-7と辛勝したライオンズだったが、全10試合のうちの2試合目で早くも敗戦を喫した。

 ブルーズが優勢に戦う時間が長い試合だった。
 多くの声援を受けたホームチームは前半6分、キックパスからライオンズ陣に攻め入った。左に大きく展開。WTBリーコ・イオアネが左中間へ入り、5-0とリードした。
 ただその後、SHリース・ウェブ(ウエールズ)の好リードもあり、ライオンズFWに前に出られる時間帯もあった。17分にはモールからNO8のCJ・スタンダー(アイルランド)にゴールを割られ、25分にはFBリー・ハーフペニー(ウエールズ)のPGで加点される。一時は5-10と逆転された。
 しかしブルーズは、前半最後にふたたびリードを奪った。
 SOスティーブン・ペロフェタの狙ったPGがゴールポストに当たって跳ね返ったところを両軍が競り合う。そのボールがインゴールに転がったところをCTBソニー=ビル・ウィリアムズが押さえ、コンバージョンも成功。12-10としてハーフタイムに入った。

 後半11分には途中出場のSOイハイア・ウエストのPGで15-10としたブルーズだったが、19分にWTBリーコ・イオアネがインゴール左スミに飛び込んだプレーがスローフォワードで取り消されるなど追加点を奪えぬ時間が続くうちに、ライオンズに息を吹きかえさせてしまう。残り20分を切ってからは真紅のジャージーに勢いが出た。
 主役はパワフルなFWだ。後半23分、15フェーズの攻撃を重ねて反則を誘う。PGで差を詰めると、さらに密集戦で勝負をかけた。モール、スクラムで押し、PKでじわじわと前へ(途中出場のライオンズ両PRジョー・マーラー、カイル・シンクラー/ともにイングランドの好プッシュ!)。29分にもPGを決めたライオンズに、ブルーズは15-16とリードを許してしまった。

 FWの優勢に、勝負の天秤はライオンズの方に大きく傾いたかに思われたが、再逆転劇は一瞬かつ鮮やかだった。
 後半33分過ぎだ。ライオンズ側の蹴ったハイパントを受けたところからブルーズの才能がはじけた。左サイドから右に展開し、前に出たNO8スティーヴン・ルアトゥアがオフロードパスをつなぐ。それを受けたCTBソニー=ビル・ウィリアムズも前に出て、もう一発オフロードパス。鋭く切れ込んだSOウエストがそのボールを受け、いっきにゴールポスト下に飛び込んだ。ウエストが自分でコンバージョンも決め、22-16としてみせた。

 金星に近づいたブルーズは、その後の時間をFWの密集戦で過ごそうとした。しかし、残り30秒のところでボールキャリアーがノット・リリース・ザ・ボールの反則を取られる。ライオンズにPKを与え、自陣ゴール前での相手ボールラインアウトという苦しい時間を迎えた。
 強固なモールを組まれたら…の局面だ。
 ところがライオンズが乱れた。投げ込まれたボールは後方に抜け、ブルーズが確保する。それを背番号21が蹴り出し、スタジアムは4万639人のファンの声援に揺れた。
 次戦は6月10日のクルセイダーズ戦(クライストチャーチ)。今季スーパーラグビーでいまだ負けていない(14戦全勝)好調な相手との対戦だ。ライオンズの意地は見られるだろうか。