青空の広がる埼玉・熊谷ラグビー場。大勢の観客が見守る中、慶大と伝統の一戦が行われた。機先を制したのは明大。開始8分、フ…

 青空の広がる埼玉・熊谷ラグビー場。大勢の観客が見守る中、慶大と伝統の一戦が行われた。機先を制したのは明大。開始8分、フッカー松下潤一郎が中央からのロングパスを大外で受け取り、右サイドからインゴールに飛び込んだ。その後、慶大にペナルティーゴールを献上するが、グラウンドを大きく使ったパスワークで相手を翻弄(ほんろう)し、チャンスを確実に得点に結びつける。後半も明大の勢いが止まることはなく、慶大に1トライも許さず54ー3と圧巻の勝利を飾った。

 明大キックでスタートした前半。開始4分、慶大のノックオンによって相手陣地22メートル付近でスクラムのチャンスを得る。これを起点に何度も攻撃を試みるが、相手の低いタックルになかなか前進できず、ゴール手前での粘り強いプレーが続く。すると前半8分、中央でボールを持っていたSO伊藤耕太郎がスペースの空いた右側にボールを大きく展開。これを松下が良い反応で受け取り、相手を交わして先制トライを決めた。しかし、パスの乱れから流れを失った明大は、20分、自陣中央でオフサイドを取られ相手にペナルティーゴールを献上。慶大の巧みなパスに一時はピンチの場面を迎えるが、うまくミスを誘いボールを奪い返す。24分、相手のギャップを素早いランで抜けたCTB齋藤誉哉が一気に敵陣奥深くまで前進。更に右へサポートに入ったフランカー森山雄太にボールがわたりそのままインゴールへ。コンバージョンキックは外したものの、このトライから一気に流れをつかんだ明大。前半終了間際にも伊藤耕と齋藤が連続で独走トライを決め、26-3で折り返した。

 


ボールキャリーするCTB齋藤。続く得点に貢献した

  後半も更にBKの力強さが光るゲーム展開となった。後半3分、相手のパスをWTB秋濱悠太がカットし、ゴール付近へ前進。そこに素早く駆け込んだNO・8木戸大士郎が慶大のディフェンスを押しのけボールをグラウディング。追加点を挙げた明大だったが、その後、20分ほど自陣での長い守備時間に。相手の低いタックルに全員で挑みかかり、ついに、慶大のペナルティーを獲得。陣地を回復させると、すぐさま攻撃に動きだした明大は、22分に伊藤耕が相手のディフェンスを破り、ゴールポスト左付近に得点を挙げた。26分にはCTB廣瀬雄也が見事なステップで相手を振り切ると、パスを受けたロック武内慎が独走状態でトライ。コンバージョンキックも決まり、この時点で慶大に44点差をつけていた明大は、試合終了寸前にも相手の油断を見逃さなかった齋藤がインターセプトし、トライを決めた。最終スコアを54ー3とし、白星を掴みとった。

 


攻守共に躍動を見せたNO・8木戸

 今回、終始キレのある動きで得点に貢献していた伊藤耕は「厳しいディフェンスが続くなかで自分たちはアタックを我慢する」ということを試合前から意識していたと振り返る。慶大の強みである堅い守備にしっかり対策し、準備していた結果の勝利だったと言えよう。だが、「相手のミスに助けられている部分」(廣瀬)があり、まだまだ攻撃のチャンスは作れたはずだ。ここで満足せず、さらなる高みを目指して次戦は強敵・帝京大との試合に挑む。

(記事 川上璃々、写真 谷口花、山田彩愛)

コメント 記者会見より抜粋

神鳥裕之監督

――今日の試合の振り返りをお願いします

 素晴らしいグラウンドで、良い天候の中、そしてたくさんのお客さんの前で試合ができたこと、感謝したいと思います。また、今日の試合に関してはコーチ、スタッフ、選手みんなで良い準備ができて結果を残すことができたという点についても感謝したいと思います。まだ、対抗戦はタフなゲームが2試合続いていますので、今日の試合を力に変えてまたしっかりと準備をしていきたいと思っています。今日は本当にありがとうございました。

――今日WTB石田吉平主将が欠場した理由をお願いします

 コンディション事態は上回ってきているので、対抗戦終盤に向けてチャンスは出てくると思います。今後もタフなゲームが続きますので、万全な状態でしっかり戻したいということで今日は欠場という形になりました。

――ケガをされているということですか

 はい。ゲームで少しコンディションを落としてしまったという状況です。もう回復に向かっています。

CTB齊藤誉哉キャプテン

――今日の試合の振り返りをお願いします

 慶應大学さんとはタフなゲームになるという事を戦前から分かっていましたし、しっかりとゲームリーダーを中心としてプラン通りに遂行できたからこその結果だと感じています。FW、BKともにブレイクダウンや1対1のところで優位に立てたのでこの結果になったのは良かったのですが、まだまだ自分たちがしんどい時間帯や甘さが出た部分もあるので修正して次節に臨みたいと思います。

――主将抜きでこのゲームに臨む上で意識していた事や、その事態をどう受け止められていたか

 夏も、吉平(石田主将)や大賀(プロップ大賀宗志)がいない状況があって僕ら2人(齋藤と武内)は、2年前も負けた試合を経験していますし、そういった面で準備の段階をしっかり明確にしてシンプルに明治らしさを出せるようにっていうのは試合前からリーダー中心にありました。

――BKの横への動きが軸になっていたと思うのですが、この後帝京、早稲田と試合が続く中でどれくらい明治の選手が勝負ができると考えていますでしょうか

 チームがスタートした段階から、日本一のBKを目指そうと取り組んできていますので、そこでBK、 FW共に帝京、早稲田に負ける気はさらさらないです。一人一人しっかり勝負できる選手が多いので、そこでBKからも前に出て自分たちのラグビーを体現できるようにやって行きたいと思います。

――ノートライに押さえたディフェンスについてお聞かせください

 ディフェンスは去年の早めの段階からシステムなどに取り組んでいました。最近、また明確化されてきて一人一人頭のなかでクリアになってピッチの中で体現することができて、対抗戦が始まってから失点の多い試合というのが春に比べて少なくなってきているのでそういった面では、一人一人成長できていると思います。これからまた、帝京、早稲田と強い相手とやるうえで、できていない部分やファイトできていない部分があると思うのでそこはしっかり修正していきたいと思います。

ロック武内慎

――主将抜きでこのゲームに臨む上で意識していた事や、その事態を同受け止めていたましたか

 誰が出てもジャージを着てる15人が明治を代表する選手だっていうのは普段から皆で話しています。そこに向けて、自分自身はFWとしてしっかりコンタクトのところで負けないようにっていうのをFW皆に強く言い続けていたので、そこは意識していました。

SO伊藤耕太郎

――今日のアタックが良かった要因とテーマを教えてください

 試合前からやることが明確になっていて、みんな思いっきりアタックができたのが良かったと感じています。あと、フォーカスにあげていたゲームラインでのアタックでしっかり体現できたのが良かったと思います。

――前半の入りですごくいい時間帯が続く中、我慢して継続する時に、キックを入れようとかの判断は周りとコミュニケーションを取ってしていたんですか

 慶應さんのディフェンスが良いというのは試合前から分かっていたことでした。前半20分の厳しいディフェンスが続くなかで、自分たちがアタックを我慢するというのは試合前から分かっていたことなので、そんなに焦る必要はなかったと思います。

――戦術的なキックはあえて入れない方向のゲームプランだったのでしょうか

 アタックしている感じで、いけるなという感覚はあったのでキックしなくても良いなと思いました。

CTB廣瀬雄也

――今日のアタックが良かった要因と、テーマを教えてください

 まず1本目の松下がトライした時も、明治が結構我慢し続けていたときでした。慶應の激しいディフェンスに対してしっかり我慢して1本取りきれたというのは、最終的なスコアにつながる大事なプレーだったと思っています。最初の前半10分のところのアタックが明治の良いアタックにつながったと感じています。

――割とアタックの中で廣瀬選手がスタンドオフに近い位置に入って伊藤耕選手が後ろに入るみたいなところがあると思うのですが、どのような狙いがあるか教えて頂きたいです

 今年の明治のBKの強みっていうのは13番は13番だけ、12番は12番だけというようにポジションにこだわりがなく、いろいろな人が多くのポジションをできる点だと思います。ゲームプランにこだわらず、仕掛けるところは仕掛けて、自分でカバーしにいくみたいな感じがあります。これっていう戦術はないのですが、とりあえず入れる人が入れるっていうのが今年のBKの強みだと思っています。

――ここまでのゲームに比べて今日の試合である程度一貫性を持ててプレーできた理由とこれからチームの質をあげるために必要なことは

 青学大戦からだいぶ週があいて準備する期間が長かったというのもありますし、2年前の箸本龍雅さん(明大)代であのようなメンツがそろっていながらも、負けてしまうことがあるっていう慶明戦のメンタリティーのところもあります。(個々の持つ)実力以上のものが試合に出てくるというのも考えていました。その中で、しっかり明治は慶應さんよりも準備ができていたから、こういう結果になったと自信をもっていますし、今日無失点に抑えることができたのは大きかったと思います。しかし、相手のミスに助けられている部分が多々ありましたし、そこの部分で言えば帝京さん、早稲田さんは必ず突いてくると思うのでもっとクオリティをあげて次戦に臨みたいと思います。