【連載】インカレ直前特集『一戦必勝』（男子部）第５回　永橋優太朗×中惣健友×塚本智宇

　インカレ直前対談の最後を飾るのは、永橋優太朗主将（スポ４＝千葉・市川）、中惣健友（スポ４＝石川・小松）、塚本智宇（スポ…

　インカレ直前対談の最後を飾るのは、永橋優太朗主将（スポ４＝千葉・市川）、中惣健友（スポ４＝石川・小松）、塚本智宇（スポ３＝富山・高岡向陵）。ディフェンスの要として活躍する３人に、インカレに懸ける思いを伺った。

※この取材は10月21日に行われたものです。

左から、中惣、永橋、塚本

――簡単に自己紹介をお願いします

永橋４年の永橋優太朗です。ポジションは、右45とポストを並行してやっています。

中惣４年の中惣健友です。ポジションは、ディフェンスとポストをやっています。

塚本３年生の塚本智宇です。ゴールキーパーです。よろしくお願いします。

――プライベートやプレーに関する印象で、他己紹介をお願いします（塚本→永橋、永橋→中惣、中惣→塚本）

塚本永橋さんは、早稲田大学のハンドボール部のみんなはキャラが強い人が多いのですが、そこを大きい器でカバーしてくれて、良い感じにまとめてくれていると思います。素晴らしい人です。プライベートではあまり良い噂を聞かないですね（笑）。まぁそこもギャップで良いかなと思います。

永橋健友は、最近の傾向としては彼女のことが好きなのかなっていう（笑）。大きなショックからも立ち直って、試合にもしっかり出ていて、公私ともに最近楽しそうです。

中惣智宇は、彼は人とは違うというか、１人だけ生きている時空が違うという感じです。プライベートでは今すごく生き生きしていています。ハンドボールに関しては、ちゃんとやってなさそうに見えて、試合になるとすごく気合が入っていて、残りの期間も頑張ってもらいたいなと思います。

――みなさん上級生ですが、仲の良い後輩はいますか

塚本みんな仲良いですけどね。最近は村松君（涼雅、商１＝岩手・不来方）ですかね。彼とはプライベートの趣味が合うので。ゲームをよくしています。可愛がっていきたいと思います。

永橋渡辺大輝（スポ３＝東京都市大付）かな。もともと僕の部屋っ子なので。今は部屋違うのですが、やっぱり関わる時間が長いです。紺碧寮は、部活生みんな仲が良いです。ただ強いて言うなら、ダイキワタナベかなという感じです。

中惣僕は仲が良いというか、しばきがいのある後輩が好きです。そうなるとやっぱり村松とか（笑）。あとは井上（元、教１＝埼玉・大宮北）とか、外種子田（崚汰、スポ１＝鹿児島・国分）とか。1年生は結構しばきがいがある後輩が多いので、まぁしばいていこうかなと思ってます。

――お互いの好きなところを教えてください（塚本→中惣、中惣→永橋、永橋→塚本）

塚本健友さんはいろんな角度から見て面白いです。彼はトラブルの火種に必ずいるので。見ていて面白いですね。

永橋智宇は良いところたくさんあるんですけど…好きなところかぁ。良いところはたくさんあるんですよ。ゲームがうまいとか（笑）。ギャップがあるとか。好きなところで言うと、人当たりの良さかな。人間関係を構築する上で、良く言えばみんなとうまくなじめます。争いのあるところにいないですね。悪く言うと、人と深く関わろうとしていない感じがしますが、僕はそういうところ好きなので面白いなと思いますね。

中惣今永橋が言っていたように、良いところと好きなところは別かなと思います。永橋の良いところは、いろんなことを仲裁してくれるというか、あまり良くないことがあったとしても、それにうまく対処してくれるところです。キャプテンらしくまとめてくれているところはすごく良いところだなと思います。あとは、プライベートとハンドボールをちゃんと分けているというか。プライベートで嫌なことがあっても、ハンドボールには持ち込まないし、逆はあるかわからないですけど。そういうちゃんと区別ができているところは良いところだなと思います。好きなところは、ハンドボールに関してなのですが、試合でオフェンスとディフェンスについて常に考え続けることは難しいんです。僕はディフェンスのことしか考えられないですし。永橋はディフェンスもオフェンスもどっちも考えた上で、みんなが納得できることを伝えてくれて、そういうハンドボール偏差値というところが、魅力的なところだと思います。

「やりたいことが明確になっている」（中惣）

秋季リーグを振り返る中惣

――関東学生秋季リーグ（秋季リーグ）を５位で終えましたが、チーム全体で振り返ってどうですか

塚本春リーグ（関東学生春季リーグ）と変わらず順位は5位だったのですが、後ろからディフェンスを見ていて、春リーグの課題だったバックチェックに戻りきれずに打たれる場面が秋リーグ（関東学生秋季リーグ）の後半は少なかったと思います。チームとしてまだ結果は出ていませんが、良い方向ではあると思うので、残り短い期間ですが頑張っていきたいと思います。

中惣やりたいことは見えてきたかなという感じがあります。去年はリーグ戦が１つしかなかったので、秋リーグで試して、インカレ（全日本学生選手権）という感じだったので仕方ないのかもしれませんが、今年は春リーグでこうやっていこうと思ったことが、秋リーグで結構出てきました。例えば、ディフェンスが速攻に走ることとかも、春リーグではできているときとできていないときがありましたが、秋リーグでは意識としてみんなの中に浸透してきていています。それは数字にも表れていて、他大の全試合の平均と比べると、1.6、7倍くらい速攻の回数が増えていて、やりたいことが明確になっているなというのは秋リーグを通して感じていました。ただ、勝ち切れるところとか、勝てる相手に負けてしまったり、逆にここ勝てるのっていうところで勝ったり、あまりチームの中で勝ったり負けたりが安定していないところがあります。インカレでは１回勝負なので、勝ち切れるように頑張ります。

永橋２人も言っていたように、収穫はしっかりあったかなと思っています。やりたいことが見えてきたという話もありましたが、チームの軸が定まったリーグだったかなと思います。軸とか、早稲田らしさを見つけられました。結果が伴わなかったのは、１点差の勝負のところを引き分けだったり、勝ちきれなかったというところにあったかなと思っていて、軸が見えてきた分、課題も見えてきたので、それをインカレまでにどう修正するか、そういう収穫があったリーグだったと思います。５位という順位には全く満足していなくて、ここ負けちゃいけないよねというところで負けてしまったり、明治戦は４位、５位を決める戦いだったのですが、プラン通りにいっていて、最後勝ちきれるっていうところで負けてしまうようなパターンがありました。ただ、逆に言えばそこでやっておいて良かったと思います。リーグ戦もやり直しがきくわけではないですが、インカレが本番なので、秋リーグで失敗することができたというのは大きかったと思います。

――永橋選手から見てチームのディフェンスに関してはどうでしたか

永橋ディフェンスは、まだ理想には程遠いかなという感じです。もちろん理想を体現できた時間もありました。例えば国士館戦はディフェンスがすごく良くて、キーパーにボールが来ないくらい、来ても誰かのシャットに当たったボールが転がってくるとか。しっかりと枝が当たっていて、点を１桁台に抑えることができました。あとは東海戦は、前半はやられていましたけど、後半はディフェンスをしっかり対応させてできました。ただ一方で、悪くなったときにキーパーに頼ってしまって、勝負になるかならないか怪しい部分でも、キーパーが止めてくれるから助かっていました。あとは俺らが速攻にいって何とか持ちこたえている感じがします。やっぱりもっと智宇に頼らないようにしたいです。智宇に頼らなければ頼らないほど、智宇もその１本に集中できて、セーブ率が上がるので、ディフェンスが良くなると思います。秋リーグは良い部分と悪い部分がそれぞれはっきり見えました。インカレまでに、理想を少しでも長い時間出せるようにしたいです。

――それぞれ、ご自身のプレーを振り返ってどうですか

塚本そうですね、個人的にはサイドシュートに対して、まだ安定してセーブすることができていなくて、国士館戦は僕も航平君（渡辺、人２＝神奈川・桐光学園）も６本すべて決められてしまったので、チームで勝つためにサイドシュート含め、勝負にしてくれたシュートを止められるように頑張っていきたいと思います。

永橋個人的な課題としては、リーグでやるポジションが増えたんですよ。オフェンスも２ポジション、ディフェンスも２ポジション。その中で、ポジションが変わった瞬間とか、１つ前の試合とは違うポジションをやったときに、ぎこちなくなってしまうところがありました。そこをスムーズにしないとなというのと、あとは、ディフェンスの自分の１対１の弱さを痛感していて、個人の守り方を中学時代からずっと駆け引きでごまかしていましたが、純粋な１対１において弱いときがあって、そこは当たる意識の問題だと思うので、インカレまでに意識を変えていかなければと思っています。

中惣僕はプレーというより、感覚的な話になるのですが、自分の中で、試合をしていてしっくりこないとか、不安な状態が続いた試合が２つありました。それが日大戦と明治戦で、その不安に思った試合は負けてしまっているんですよね。自分のやりたいディフェンスが個人的にできないとき、チームとしてもディフェンスがうまくいっていなくて、ずっと不安感がぬぐえないまま負けてしまうというのが続いていました。それはリーグ戦を通してずっと思っていたけど、変えられなかったです。ベンチで見ている人間に対して、こういう場面で声をかけてほしいということをしっかりと伝えられなかったり、自分だけでなく他の人間も試合に入り込めるようにしようっていうところに踏み込んで頑張れなかったのがこの結果かなと思うので、そこをもっとやれれば良かったなというのが自分の中に反省として残っています

――永橋選手と中惣選手から見て、今年度から正ゴールキーパーになった塚本選手の働きはどうでしたか

永橋さっきも言ったのですが、やっぱり僕たちは智宇頼りになってしまうところがあって、それぐらい頼れるというのはありますね。ただこういう性格なので頼りがいがあるというわけではないのですが、結果で示してくれます。めちゃくちゃ助けられていますね。

中惣その通りですね。すごく助かっていますし、いい意味で扱いづらいというか、頑張ってほしいときに声をかけても「いや無理です」という感じなのに、そういうときの方が逆に止めてくれます。そういう、周りに変に干渉されないところが良い部分だと思います。

――塚本選手から見て、永橋選手と中惣選手のプレーはどのように映っていますか

塚本そうですね（笑）。2人は去年から試合に出ていてチームの中心選手だったので、今回のリーグでも当たり前のように活躍してくれて、頼りがいのある選手たちだと思います。

――秋季リーグの中で印象に残っている試合は

永橋間違いなく日体戦です。最後決めきれば同点、残り５秒くらいのノーマークシュート、そこまでの流れが完璧すぎたのがいけなかったんですかね（笑）。それを外してしまって。あのキーパー嫌なんですよね。高校のときのインターハイもあのキーパーに止められているので。うまいことやられてしまって、僕が退場になって負けてしまったので。そういうのもあって、結構気合が入っていた試合で、試合にというよりは個人的に今回こそは負けたくないというのがあって、いつもより前にガンガン攻めていて、点も決められていたのですが、その中で最後に外してしまったので、僕の中ではすごく印象に残る試合になりました。１本のシュートがどれだけ大切かというのを思い知ったし、逆に最後に１本の勝負にならないようにするために、序盤からノーマークのシュートをあの場面だと思って大切にしないといけないなと思いました。

塚本東海戦ですかね。１年生が３人くらい出ていて、悠吾（西村、人１＝千葉・市川）と崚汰（外種子田、スポ１＝鹿児島・国分）、涼雅（村松、商１＝岩手・不来方）。今の４年生が抜けてしまうと、主力が結構抜けてしまうので、来年への不安がとてもあったのですが、東海戦で１年生が結果を出してくれて、上には頼れる先輩がいて、下にも任せられる後輩がいるので、自分は自分のやれることをやっていけばいいなと思えた試合でした。

中惣僕は立教戦かな。永橋から１本のシュートの重みという話がありましたが、春リーグで僕めちゃくちゃシュートを外していて、打っている本数はあまり多くないのに確率が良くないみたいな。さすがに自分の中でもやばいなと思っていて、春リーグから秋リーグにかけての期間で、智宇に相手してもらってシュート練習したりとかをずっとやっていました。立教戦でシュートを打ってみたときに、キーパーが全部見えるというか、どこに打てば入るかというのが瞬間的に判断できて、練習の中でやってきたキーパーをちゃんと見るということが大逆転に結び付いた試合だったし、シュートの打ち方や考え方が変わったのを実感できた試合でした。立教戦ではそうやって自分の成長を感じられたので印象に残っています。

「チームメイトが３人いるので、大同来てほしいなと思っていました」（塚本）

インカレの組み合わせについて語る塚本

――インカレ（全日本学生選手権）の組み合わせを見て受けた印象を教えてください

中惣僕はめっちゃ嫌でした。というのも、組み合わせが決まる前に話していた時に、インカレで筑波が来たら嫌だなと話していて、リーグ戦は勝ったけど、インカレの一発勝負だったら渋いなと。それで組み合わせを見たら筑波がいて、「うわ、筑波来たか」みたいな感じでした。順当にと言ったらあれですけど、ここが上がってくるなと考えた時に、決勝までの５試合中、４試合が関東の大学との試合の可能性があって。その関東の４チームのうち３チームはリーグで負けているので、結構きつい山なのかなと思います。余力を残しながら戦える相手もいないですし、常に全力で戦わなければいけないので、僕は結構嫌でしたね。

永橋僕もめちゃくちゃ嫌でしたね。２回戦で強いところに当たるチームはたくさんあると思いますが、中大とか、筑波とか、絶対僕らより強いだろっていうところが１、２回戦で格下か同格の相手と戦うことになっていて、そんな中で僕たちは１回戦で西日本インカレ２位、２回戦で秋リーグで負けている相手と戦うというところで、普通に当たり悪いなと思いました（笑）。あと、率直に関東の大学とやりたくなかったですね。せっかくなら関西の強い大学とやりたかったです。大同、体大、からの福大とか（笑）。関東のチーム同士は手の内を知り尽くしているので、とにかく全部出しきって戦うしかないという難しさがありますね。良かったところは、大同とやれるところで、関西の強いチームだし、高校時代に対戦したことがある選手もいるので。あと日大とか秋リーグで負けてしまった相手とやれるのがおもしろいとも思いますね。

塚本僕は大同とやれるのがめちゃくちゃうれしいですね。チームメイトが３人いるので、大同来てほしいなと思っていました。大同に勝てれば勢いがつくと思いますし。

――リーグ戦後からインカレに向けて強化している部分はどこですか

永橋今の期間にできることは限られているので、やらなくちゃいけないことは、システム自体の話で。ディフェンスで言えば、インカレまでに０－６と立体ディフェンスをやっていかなければいけないですし、オフェンスだったら、決めプレーと言って、ここで点数が欲しいというときのプレーをつくらないといけなくて。そういうシステムとかやらなければいけないことをしっかりやって、あとはそれぞれの強化で、秋リーグで定まった自分たちの軸、ディフェンスから速攻という部分を強化していきたいです。あとは課題点の改善で、競っている時のシュートかなと思います。シュートを練習することはキーパーの強化にもなるので。それから、インカレは体力が必要なので、早稲田はインカレに向かない戦い方をしています。全国で勝つチームは意外と速攻を使わないチームが多くて、個人で点が取れるチームは体力的にうまくいくと思うのですが、早稲田は常に走り続けなければいけないというところがあるので、走ることに関しても強化したいです。

――インカレでご自身の注目してほしいプレーを教えてください

塚本キーパーなのでセービングは当たり前ですが、キーパーシュート。得点を１本は決めたいです。秋リーグでシュートを１本外してしまったのが悔しかったので、その雪辱を果たしたいと思います。

永橋早慶戦もありますが、それに甘えたくなくて、学生生活10年間でやってきた最後の試合なので、その試合１個1個に対する熱量というのを見てほしいです。

中惣僕は高校まで全国大会というものに出たことがなくて、去年のインカレで初めて経験したのですが、中学や高校で関わった人たちに、自分はこういうところでハンドボールをやれるようになったというところを見てほしいです。自分のプレーをというより、田舎の地方の進学校出身で、全国大会に出たことのなかった僕が、全国の舞台で優勝を争えるようなチームでハンドボールをしているところを、中学とか高校とか、僕を知っている地元の人たちに見てもらいたいなという気持ちです。

――キーマンとなる選手、個人的に注目している選手はいますか

中惣まぁやっぱり永橋ですね。一発勝負の戦いで、最後に信じられるのは、監督やコーチ、下級生よりもやっぱりキャプテンなので。キャプテンとして重い責任を担うと思いますが、どれだけ調子が悪くても、声を出して、体を張ったプレーをしてくれて、そういうプレーがチームのみんなが最後に信じられるものかなと思います。一発勝負の舞台だからこそ、チームのシンボルであるキャプテンに注目してほしいです。

塚本個人的には神前さん（怜、スポ４＝埼玉・浦和実）ですかね。秋リーグはケガで途中離脱していて、本人も満足いく結果ではなかったと思います。今は完全に復帰していて、個人的に1番好きなプレーヤーなので、自分のチームで暴れる姿を見たいなと思います。

永橋１年生ですかね。さっきも僕らはインカレに向かない戦い方をしていると話したのですが、最後まで走り続けるチームなので、体力的にきつくなってしまうときに、出て活躍してくれる人がいないといけないと思います。智宇も言っていたように東海戦で１年生が３人出て活躍してくれたので、インカレでもそれを出してほしいです。そうすると負担が軽くなっていくと思うので、１年生たちの活躍はやっぱり楽しみですね。僕たちは最後の試合ですが、１年生はあまりそういうことを考えずに楽しくやってくれればいいなと思います。

「一戦必勝で全力で挑みたい」（永橋）

インカレに向けて意気込みを語る永橋

――最後にインカレに向けての意気込みをお願いします

塚本３年生の僕が言うのは変ですが、僕の大学生活で１番大事な大会だと思うので、最後は優勝して終わりたいです。頑張ります！

中惣僕もあまり優勝という経験をしたことがないので、最後は優勝して終わりたいなと思います。

永橋中学から始めて、高校、大学とやってきて、全国も経験したのですが、結果を残すことができていなくて、強豪と戦ったときに「惜しかったね」と言われるのが嫌で。惜しかったなと思われないように、このインカレは絶対つかみ取りたい、手繰り寄せたいと思っています。学生最後の舞台で、スリルを味わいながら、一戦必勝で全力で挑みたいと思います。

――ありがとうございました！

（取材・編集　澤崎円佳、権藤彩乃、齋藤汰朗）

最後にインカレへの意気込みを書いていただきました！