アストロズはここ6年で4度ワールドシリーズに進出 今季、ア・リーグ西地区をダントツで制したアストロズは、地区シリーズとリ…

アストロズはここ6年で4度ワールドシリーズに進出

 今季、ア・リーグ西地区をダントツで制したアストロズは、地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズでも無敗のまま7連勝で圧倒し、2年連続でワールドシリーズ進出を果たした。球団史上初の世界一を達成した2017年当時の選手は8割がいなくなったが、ここ6年間で4度リーグチャンピオンに輝く安定した強さを見せている。サイン盗みで問題となったのはもう、過去の話。MLB公式サイトは「ライバルチームのファンはいまだに“ゴミ箱のふたや架空のブザー”にとらわれているが、アストロズが自前の選手で常勝チームを作り上げる方法を知っていると業界関係者は認めている」とその秘密に迫っている。

 ヤンキースを圧倒したリーグ優勝決定シリーズでMVPに輝いたのは、今季デビューしたばかりの新人ジェレミー・ペーニャ内野手だった。チームの中心人物だったカルロス・コレア内野手(現ツインズ)がFAで抜けた後の大きな穴を、25歳の若者が埋めた。

 コレア以外にも、ここ数年でジョージ・スプリンガー外野手、ゲリット・コール投手、チャーリー・モートン投手ら大物が続々とFAで流出。それでもリーグトップに君臨し続ける理由をMLB公式は「このスカウトがアストロズの成功の半ば公然の秘密だ」と題して特集した。

“このスカウト”とはシニア・スカウティング・アドバイザーを務めるチャーリー・ゴンザレス氏のこと。キューバ方面のスカウティングを統括しており、元DeNAのユリ・グリエル内野手獲得に尽力した人物だ。キューバだけではなく、国内のドラフト戦略でも大きな影響力を持ち、アレックス・ブレグマン内野手やカイル・タッカー外野手ら現在の主力選手の指名を後押しした。

生え抜き選手の貢献度はプレーオフ進出12球団でトップ

 今季プレーオフに進出した12球団のうち、生え抜き選手(ドラフトと国際FAで契約した選手)の割合が一番高いのがアストロズで、26人中15人(ドラフト8人、国際FA7人)を占める。打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して、選手の勝利への貢献度を示す「WAR」を見ても、アストロズはチーム全体の57.4のうち、生え抜き選手が35.2を挙げており、ポストシーズンに進出した12球団で一番高いという。

 2020年シーズン前にジェームズ・クリック氏がGMの座に就くと、スカウトの人員を前年比41%も増やすなどスカウティング部門に力を入れた。ゴンザレス氏のもとで、アストロズはキューバ市場を抑え、傘下にはメジャー最多の20人以上のキューバ選手が所属する。

 ゴンザレス氏以外にも、オズ・オカンポ氏は今季2桁勝利を挙げたフランバー・バルデス、クリスチャン・ハビアー、ホセ・ウルキディ、ルイス・ガルシアの4投手獲得に尽力した。アストロズのスカウト人材は豊富で、他球団から引き抜きの声もかかる。「このような長期の成功が実現しているのはスカウティング力のおかげ」と記事は断言する。

 ワールドシリーズを制覇した2017年に、電子機器を用いたサイン盗みを行っていたことが発覚してからつきまとう“不正球団”のイメージを払拭するのは容易ではない。しかし、生え抜き選手が次々と戦力になっていくその目利きと育成力を、他球団はうらやんでいる。(Full-Count編集部)