熊代が引退し蛭間を1位指名した外野が補強ポイント 在任5年にわたった辻発彦監督が退任し、松井稼頭央新監督が就任した西武が…

熊代が引退し蛭間を1位指名した外野が補強ポイント

 在任5年にわたった辻発彦監督が退任し、松井稼頭央新監督が就任した西武が、新たなスタートへ向けて戦力の再構築を進めている。ここまで計12人が戦力外や現役引退。今季国内FA権を取得した2人のうち、外崎修汰内野手は残留を決めたが、森友哉捕手の去就は不透明。さらに、順当にいけば来季中に主砲の山川穂高内野手、守りの要の源田壮亮内野手も国内FA権を取得する見込みとあって、チームづくりは波乱含みだ。

 投手陣では、チーム最年長選手の40歳・内海哲也投手(来季ファーム投手コーチ)、通算53勝の十亀剣投手、左の中継ぎとして昨季は46試合に登板していた武隈祥太投手が、いずれも現役を引退した。2019年に44試合に登板した実績のある左腕・佐野泰雄投手も戦力外通告を受け、世代交代を印象づけている。

 西武投手陣は昨季までチーム防御率が4年連続リーグワーストだったが、今季はトップの2.75へと劇的に改善。20代中盤の高橋光成投手、今井達也投手、松本航投手が先発3本柱を形成し、サブマリンの與座海人投手も成長し2桁の10勝を挙げた。今季は1勝10敗と勝ち運に恵まれなかったドラフト1位の隅田知一郎投手、同2位の佐藤隼輔投手の“新人左腕コンビ”も、来季に飛躍が期待されている。リリーフでも、2年目の水上由伸投手がリーグ最多タイの36ホールドポイントをマークする活躍で、その分中堅・ベテランには厳しいオフとなっている。

 喫緊の補強ポイントは外野手。今季最多のスタメン出場は、来季去就未定のブライアン・オグレディ外野手の123試合で、不動のレギュラーが不在。そこからチームきってのムードメーカーだった熊代聖人外野手が、現役引退して2軍外野手守備・走塁コーチに転身。8年目・26歳の戸川大輔外野手も戦力外となった。一方、早大の蛭間拓哉外野手をドラフト1位、大分・佐伯鶴城高の古川雄大外野手を2位で指名。鈴木将平外野手、愛斗外野手らとの競争をあおりつつ、外国人選手獲得などによる補強を検討していくことになりそうだ。

捕手陣は森友哉の動向次第で補強の必要も…

 捕手では、今季1軍デビューし11試合でマスクをかぶった牧野翔矢捕手が6月にトミー・ジョン手術を受け、戦力外通告を受けた。来季は育成選手として契約するとみられる。7月に中熊大智捕手を育成から支配下に昇格させているが、森の動向次第で補強が必要になるかもしれない。

 内野手では、安定した二塁守備を誇る外崎の残留決定は朗報。控えを含めて豊富な陣容を誇る。だが、1年後には山川、源田の去就次第で大荒れとなりかねない。中村剛也内野手も来季40歳となることから、のんびり構えてもいられない状況だ。2年目を終えた渡部健人内野手、高卒1年目の今季ショートで鮮烈なデビューを飾った滝澤夏央内野手らの成長が期待されるところである。

 昨季最下位から、今季は一時首位に立つほど巻き返し、最終的に3位をキープした西武。ただ、投手陣の好成績と裏腹に、かつて“山賊打線”の異名を取った打撃陣は低調だった。チーム本塁打こそ、断トツの本塁打王に輝いた山川のお陰でリーグ最多の118に上ったが、チーム打率はリーグワーストの.229、総得点も同5位の464。松井新監督は「まず守備を固め、足を使って1点ずつ取る野球をやっていきたい」と、機動力重視への転換を掲げている。FA権を取得する主力の引き留めに力を注ぎつつ、流出に備えたオプションづくりも必要になりそうだ。(Full-Count編集部)