第36回関東大学女子サッカーリーグ戦後期9節早大32-01-11山梨学院大【得点】(早大)22分:吉野真央、38・77分…

第36回関東大学女子サッカーリーグ戦後期9節
早大2-0
1-1
山梨学院大
【得点】
(早大)22分:吉野真央、38・77分:髙橋雛
(山梨学院大)53分:浜田芽来

 やっぱりア女は強かったーーー。ア式蹴球部女子(ア女)は15日、関東大学女子リーグ(関カレ)後期第9節で強豪・山梨学院大に完勝した。FW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)のヘディングゴールで22分に先制すると、38分にFW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)が追加点をあげ2点リードで前半を折り返す。53分にカウンターから失点したが、77分の髙橋のスーパーゴールが試合を決定づけた。再び広げたリードを最後まで守ったア女は、試金石であった今節で見事な完勝を収めた。

 


先制点を決め雄たけびをあげる吉野。「厳しさの中にある楽しさをめちゃめちゃ感じた」と、今節を笑顔で振り返った

 

 ア女は前節、関カレで7試合ぶりに勝利し、8月から続いた勝ちなしのトンネルから抜け出した。『本当に勝てるチームか』、ア女の真価が問われた強豪・山梨学院大との今節を前に、後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)はチームを鼓舞した。「私たちは今4位。チャレンジャー精神で挑むしかない」。イレブンは序盤から指揮官のメッセージに応える。素早いプレスを仕掛けてくる相手に、まさにチャレンジャー精神で真正面からぶつかりに行く。奪い、奪い返されるトランジションの連続。その中で9分には相手FWに完璧に抜け出される場面も。チャレンジの代償とも言えるピンチに肝を冷やしながらも、ア女のプレーは変わらない。徐々に安定してボールを保持できるようになると、ア女はビルドアップからチャンスを作った。22分、DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)の背後へのロングパスから攻め上がりCKを獲得する。DF井上萌(スポ4=東京・十文字)が蹴ったCKは一度跳ね返されるが、すかさずこぼれ球を回収。再び井上があげた絶妙なクロスに吉野が頭で合わせると、ボールは弧を描いてゴール右上に吸い込まれた。「いっぱいチャレンジした結果。すごいうれしい」と、吉野は雄叫(たけ)びを上げて喜びを爆発させた。さらに38分、またもセカンドボールの回収から得点をあげた。クロスの跳ね返りにDF浦部美月(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)が素早く反応し髙橋につなげると「スペースが空いているのは分かっていた」と、詰めてくる相手をドリブルではがしニアサイドから右足を一閃。あっという間に差を2点に広げる貴重なゴールとなった。

 


3点目直後の髙橋。この得点が試合を決定づけた

 ア女にとってこの上ない結果と内容で終えることのできた前半。これにホームの山梨学院大は黙ってはいなかった。53分にア女のカウンターが引っ掛かりボールを失うと、カウンターをし返された。木許からWEリーグ内定者の浜田へ、大学選抜コンビの鋭いカウンターにあっさり失点。早い時間帯での失点に、『2-0からの悪夢』もちらつく中、66分に右サイドをパスワークで突破される。中央への速いクロスがディフレクションし、ボールはゴールに向かった。ヒヤリとしたがGK近澤澪菜副将(スポ4=JFAアカデミー福島)が何とかかき出し同点を阻止。その後も1点を争う激しい攻防が繰り広げられたが、77分に試合が再び動く。髙橋がニアサイドでスローインを受けると、背負っていたDFを華麗な身のこなしでかわし、反転しながらシュート。監督も「(髙橋は)全体的にノっていた。あのリズムは本当に速かった」と絶賛のシュートは相手GKの反応をはるかに上回り、容赦なくネットに突き刺さった。ダメ押しのスーパーゴールにア女は歓喜し、山梨学院大は倒れ込んだ。

 


髙橋の2点目。ボールを受けてからシュートまで、一連の動作を完璧にこなしドッピエッタを飾った

 

 その後は相手の反撃を受けたが、終盤での2点リードは選手の心に余裕をもたらし、失点することなく3ー1で勝利した。内容でも十分に上回ったア女は、完勝という言葉にふさわしい勝ち方でビッグマッチを終えた。吉野は「厳しい試合を勝ち切ったことは大きな力になる」としつつ、いくつかの課題を挙げ「もっと強(こわ)いア女になる」とチームへの期待を口にした。収穫と課題は毎試合出るものだ。まさに今節は前節で得た収穫と課題を出し切った試合ともいえる。前節からポジションを一つ前に上げている髙橋は「前に向かうプレーが少なかった」と、前節の反省を生かして2得点。ポジション変更への順応を結果で示した。

 


2か月半ぶりの出場となった三谷だが、8、9月はスウェーデン4部でプレーした。最下位チームに加入したにもかかわらず出場したほとんどのゲームで得点する無双状態だったという

 

うれしい秋の復帰祭りが続く10月。今節はMF三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)が復帰した。負傷離脱ではなく、海を渡り北欧・スウェーデンでプレーしていた。「めちゃくちゃ緊張した」と69分から出場した今節は目立ったプレーは出なかったが、世界3位の国で学んだタフさや勝負強さといった経験をア女に還元していくことを誓った。多くの選手が複数ポジションをこなせるのが今のア女。三谷の復帰はWGだけでなくトップでも中盤でも、より厳しいポジション争いが巻き起こることを意味する。『競創』という今季のスローガンが、ようやくチームを強くするときが来た。三谷も「ここからが本当のア女の見せどころ」とするシーズンクライマックス。残りわずかとなった関カレで期待することは皇后杯やインカレに向けたチーム強化だけではない。一時は遠ざかった関カレ優勝も連勝したことで可能性が高まっている。タイトル獲得には残り4戦での全勝が最低条件だ。冒頭の通り勝つことが求められている現在。関カレ優勝のためにも、今季クライマックスに向けても。確実に理想のア女に近づいている今だからこそ『勝利』に貪欲でありたい。

(記事、写真 前田篤宏)

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK◎1近澤澪菜スポ4JFAアカデミー福島
DF夏目歩実スポ3宮城・聖和学園
DF堀内璃子スポ3宮城・常盤木学園
DF井上萌スポ4東京・十文字
DF13浦部美月スポ3スフィーダ世田谷FCユース
MFブラフ・シャーンスポ4スフィーダ世田谷FCユース
MF14笠原綺乃スポ3横須賀シーガルズJOY
MF26宗形みなみスポ1マイナビ仙台レディースユース
FW廣澤真穂スポ4ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→82分19築地育スポ2静岡・常葉大橘
FW10髙橋雛社4兵庫・日ノ本学園
FW11吉野真央スポ4宮城・聖和学園
→69分三谷和華奈スポ3東京・十文字
◎=ゲームキャプテン

 

 


スターティングフォーメーション

 

 

FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)

――試合を終えて率直な感想をお願いします

山学は前期対戦して一番やりにくいチームだと思ったんで、そこに勝てば絶対チームとして自信につながるというのはあったので、勝ててここからの自信につなげられたので、本当によかったと思います。

――2得点という結果についてはどう捉えてますか

前節の課題でゴールに向かうプレーが少なくて、そこを課題として1週間やってきたので、それを生かせて意識でこんなに変えられるんだというのを自分でも確認できたし、自信につながったのでよかったです。

――まず1点目を振り返ってください

自分の得意な形のターンだったので、ボールを受ける前にスペースが空いてることが分かったので、そこに持って行けてそのまま思い切りシュートを打てたのですごい気持ちいいシュートでした。

――2点目の感触はいかがでしたか

あれも後ろ向きだったんですけど、常にゴールは意識していたので、ゴールの位置も把握していましたし、ちょっとずらしてシュート打って枠に入れられればと思っていたので、思い切り振ったらいいコースにいったのでよかったです。

――前節からポジションが変わってのプレーですけど、意識していることはありますか

ひとつ前のポジションになってゴールに一番近い位置にいるので、一番ゴールを狙わないといけない立ち位置ですし、前で守備も献身的にやるのがチームの勢いにもなるし、それこそゴールを奪うという一番の仕事をやることが自分の役割だと思っているので、それを体現し続けるのがこれからやっていくことだなと思っています。

――チームとしては90分通して熱量のある戦いを見せました。内容の部分はどう振り返っていますか

試合前にも史さん(後藤監督)が「私たちは今4位で、チャレンジャーだ」ということを全体に声をかけてくれて、どんどんチャレンジしていいという指示だったので、みんなもそのマインドで試合に臨めて、相手の時間帯になって耐えることもありましたけど、全員で声をかけながらひとつずつプレーに集中しながらやれたので、それは大きな収穫になったと思いましたし、楽しい、いい90分間だったなと思います。

――決め切る部分が課題だった中で、チャンスをものにして3点とりました

少ないチャンスをものにできるかというのが、これから厳しい戦いになる中でキーになってくるので、練習からそこにこだわり続けて、少ないチャンスをものにしてチームが優位に進められるようにしていきたいです

 

FW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)

――上位対決を制した今の気持ちはいかがですか

素直にうれしいですし、うまくいかない時期が続いていた中で自分たちらしいサッカーを思い切りできてうれしいです。

――先制点を振り返ってください

自分のなかでヘディングはひとつの大きな武器だと思っていて、いつも(井上)萌とかがいいボール上げてくれると信じて飛び込んでいるので、その結果のゴールですしボールが本当に良かったので合わせるだけでした。

――雄たけびを上げていました

素直にすごいうれしかったです。というのも山梨学院大という3位のところで、監督から「自分たちはチャレンジャー精神で挑むしかない」という話があったうえでの試合だったので、いっぱいチャレンジしようと決めていた中で決められたことにとてもうれしく感じています。

――お互い熱量のある好ゲームでした。内容はどう振り返っていますか

前期は山学戦に出ていないので、厳しさの中にある楽しさをめちゃくちゃ感じた試合で、速いプレッシャーで速く強い球際の中、自分たちがどれだけできるかにワクワクしたし、楽しかったです。

――内容、結果ともに大きな積み上げになったと思います

これからWE撃破とかインカレ優勝とかを掲げていく中で、こういった厳しい試合を勝ち切ったことはこの先の自分たちの大きな力になるし、試合で戦うメンバーもずっと準備してくれてたメンバーも東伏見に残っているメンバーも、みんなで作り上げた試合だったなと思っているので、これからもっともっといいチームにできるようにしたいなと思います。

――いいゲームの中で強いて挙げるとすれば、課題は何かありましたか

低い位置で相手に持たれて攻め込まれたシーンで、変にタッチ数が多くなったりクリアしきれない部分があったので、もっとシンプルに大きく蹴ってもいいかなと感じました。それこそ前で、あとちょっとで合わせる部分をコミュニケーションとかで解決していける部分があるので、そういう部分ではもっともっと恐いア女になるのかなと思いました。

――延期分があって連戦になります

まずは目の前の東京国際大戦を全員で絶対に勝つことを一番に思っていますし、それに向けて全員でいい準備していければなと思います。

 

MF三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)

――2か月半ぶりのア女でのプレーとなりました

めちゃくちゃ緊張しました。チームが前半から後半にかけてめちゃくちゃ戦っていて、勢いとか雰囲気がよかったので、普段は途中交代好きなんですけど、今日はめちゃくちゃ緊張して。「ちゃんと入れるかな」とか「2カ月ぶりで大丈夫かな」とか考えすぎちゃったので、自分の納得のいくプレーはできなかったんですけど、水曜日があるので切り替えて行きたいなと思います。

――スウェーデンでプレーされていました。異国の地でのプレーはどうでしたか

自分が言ってたリーグがアマチュアの2部で、プロから数えると4番目のリーグでした。レベル的にはアジリティとかポジショニングとかはア女の方が全然高くて、強度も速さもア女の方が高いなという印象だったんですけど、逆にあっちは守備とかはバラバラな反面、個とか球際とかでタフにならないと負けちゃうところはあったので、すごいいい勉強になったなと。自分自身もパスが何本も来なかったりするので、1本来たものをどれだけチャンスにできるかとか、そういう勝負強さは身に付けたはずなんですけど、今日発揮できなかったので(笑)。今後ア女に還元できたらなと思います。

――海外でつかんだ経験だったりはありますか

最初はチームがリーグ最下位だったんですけど、2試合を除いて全試合で1得点以上取れたことは自分の中でも結果残せたなという印象だったので、自信にもなったんですけど、それが日本でどう順応するのかはこれから楽しみだなと。今日はなかなか結果が出なかったですけど、積み上げていけば何かつながるなと実感しているので、頑張りたいと思います。

――この期間中、ア女の事はどう見ていましたか

そもそも人数が少ない状態で戦っていたので、もちろん結果が出なかったですけどその中でも負け続けなかったり引き分けで抑えたり、そういう粘り強さは試合を見てても感じました。「負けたからダメだな」とは全然思わなかったです。むしろ「よく戦っているな」みたいな感じだったので、抜けて申し訳ないところはあったんですけど。その分帰ったら何倍にも返していかないといけないなという責任感、自覚は芽生えました。

――これから早慶戦、皇后杯、インカレと、シーズンもクライマックスに入って行きます

ここまで振り返ると連戦とか、女川(宮城)に行ったりとか、ア女はすごい貴重な体験をさせていただいて、苦しい試合もありましたけど確実に経験は積み上げられていますし、これからまた選手が戻ってくることで競争も激しくなっていくと思いますけど、今年はスローガンが『競創』、競って創り上げるところなのでここからが本当のア女の見せどころなんじゃないかなと思っているので、ここからもぜひア女に注目してください!