10月16日、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。 このレースは通常、京都で開催されるが…
10月16日、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。
このレースは通常、京都で開催されるが、京都競馬場改修工事の関係で昨年に続き阪神競馬場で行なわれる。血統的視点で言うと、2010年、11年と、2度にわたってJRAリーディングサイアーに輝いたキングカメハメハは2019年にこの世を去っており、この3歳世代がラストクロップ。菊花賞に登録馬はいないので、この秋華賞が最後の世代限定GⅠ戦の出走となる。
これまでのキングカメハメハ産駒による3歳牝馬三冠レースの成績を振り返ってみると、桜花賞は2010年アパパネと2015年レッツゴードンキの2勝、3着2回。オークスは2010年アパパネの1勝、3着2回。秋華賞は2010年アパパネの1勝、そして3着が2012年アロマティコ、2014年タガノエトワール、2015年マキシマムドパリ、2021年アンドヴァラナウトの4頭で、馬券に絡む回数は最も多くなっている。
前述のアパパネや牡馬の2冠馬ドゥラメンテなど、多くのクラシックホースを送り出したキングカメハメハだが、産駒が3歳秋以降に力をつける例も多い。そこで今回は、キングカメハメハ産駒からスタニングローズ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)を狙ってみたい。

紫苑Sを勝利したスタニングローズ
同馬はトライアルのGⅢ紫苑S(中山・芝2000m)を勝ってここに臨む。これまでは、春にGⅢフラワーC(中山・芝1800m)を勝ってGⅠオークス(東京・芝2400m)2着と、関東圏での重賞実績が目立つが、昨年6月に勝った未勝利戦、2勝目のこぶし賞は阪神・芝1600m戦だった。
前走の紫苑Sはプラス14kgと余裕のある馬体での出走で、好位2、3番手から早めに動いて叩き合いを制すという危なげない貫禄の走り。秋華賞でさらなる上昇を感じさせる走りだった。
スタニングローズは、なんといっても母系の血統が素晴らしい。叔父にGⅠジャパンC、GⅠ朝日杯フューチュリティSのローズキングダムがいて、祖母ローズバドはGⅡフィリーズレビューなど重賞2勝、曽祖母ロゼカラーはGⅡデイリー杯3歳Sの勝ち馬だ。秋華賞は牝系にとって因縁のレースで、ロゼカラーは3着、ローズバドは2着と敗退。母ローザブランカ、姉ロサグラウカは紫苑Sで権利を獲得できず、出走に至らなかった。スタニングローズは一族の無念を晴らしたいところだ。
配合的にも強調点は多い。前述のローズキングダムは本馬と同じキングカメハメハ産駒で、3/4同血という血統構成。そして三冠牝馬アパパネとは父が同じであり、母の父クロフネも同馬の母の父ソルトレイクと同じデピュティミニスター系という共通点がある。
クロフネは2019年の勝ち馬クロノジェネシスの母の父。さらに父キングカメハメハは、2020年の勝ち馬デアリングタクト、昨年の勝ち馬アカイトリノムスメの母の父でもある。順調な臨戦過程でここに臨むスタニングローズは、血統面でもこれだけ好材料が揃っているだけに期待したい。
もう1頭はウインエクレール(牝3歳、美浦・畠山吉宏厩舎)に注目。大種牡馬ディープインパクトの産駒はこのレース5勝と歴代最多勝を誇るが、2着5回、3着2回と2、3着も多い。しかも2、3着馬は、2020年10番人気2着のマジックキャッスル、2020年9番人気3着のソフトフルートと人気薄での好走例もある。比較的に注目度の低そうなこの馬は面白い存在になりそうだ。
同馬は春にスイートピーS(東京・芝1800m)を勝ち、オークスの出走権を獲得しながら、レース間隔や距離適性などを考慮し回避。秋華賞を最大目標に調整されてきた。前走は古牡馬混合の3勝クラス・STV賞(札幌・芝1800m)に出走して2着。叩き台としてはまずまずの内容だった。
血統も優秀で、兄はGⅠ香港Cなど香港GⅠ2勝を含む重賞7勝のウインブライト。兄は3歳時からGⅡスプリングSを勝利するなど早い時期から結果を残しながら、5歳時にGⅠ2勝、6歳暮れにも香港Cで2着に入るなど成長力も兼ね備えていた。ウインエクレールも秋を迎え、さらに飛躍が期待できそうだ。
以上、今年の秋華賞は、キングカメハメハ産駒スタニングローズ、ディープインパクト産駒ウインエクレールと、今は亡き大種牡馬2頭の産駒に注目する。