小学生でライオンズジュニア、浦和学院では渡辺勇太朗と甲子園出場 西武の渡辺久信GMは11日、オンラインで会見し、20日のドラフト会議で早大の蛭間拓哉外野手を1位指名すると公表。「ライオンズのウイークポイントに当てはまる選手」と説明した。今季…

小学生でライオンズジュニア、浦和学院では渡辺勇太朗と甲子園出場

 西武の渡辺久信GMは11日、オンラインで会見し、20日のドラフト会議で早大の蛭間拓哉外野手を1位指名すると公表。「ライオンズのウイークポイントに当てはまる選手」と説明した。今季の西武外野陣に不動のレギュラーは皆無で、特に蛭間が本職とするセンターは、2019年限りで秋山翔吾外野手(現広島)が退団した後、弱点のまま。辻発彦監督が今季限りで退任し、新監督の下でスタートするチームにとって是非とも欲しい選手なのだ。

 確かに西武は秋山の流出後の3年間、センターの“穴”が埋まらなかった。盗塁王2度を誇る金子侑司外野手は打撃が上向かず、昨季はドラフト4位ルーキーの若林楽人外野手がシーズン序盤に盗塁王争いで独走する勢いを見せたが、不運にも試合中に左膝前十字靭帯損傷の大怪我を負い離脱した。今季は高卒6年目の鈴木将平外野手が開幕から4月中旬まで「1番・中堅」で起用されるも、打率が2割そこそこで低迷し定着できなかった。

 そこで目を付けたのが左投げ左打ちのスラッガー・蛭間だ。「走攻守揃っている。打撃は広角に強い打球を打てるし、肩と足も大学生では高いレベル。常に全力疾走、全力プレーをする選手でもある」と渡辺GMは高く評価。外野のレギュラー候補として「アマチュアから入ってきても(1年目から)十分競争できる」と見ている。

 蛭間は渡辺GMと同じ群馬県出身で、小学生のころに西武ライオンズジュニアに選出された。埼玉・浦和学院高3年の夏には、現西武で同級生の渡辺勇太朗投手とともに甲子園出場。渡辺GMは「縁があるかなと思うが、純粋に総合的な評価で選んだ」とも強調した。

投手陣の強化が長年の懸案も…今季はリーグトップの防御率2.75

 西武といえば、投手陣の強化が長年の懸案だった。だが、昨季まで4年連続リーグワーストだったチーム防御率が、今季はリーグトップの2.75へと劇的に改善された。

 高橋光成投手、今井達也投手、松本航投手の先発3本柱に加え、昨季1勝だった與座海人投手と来日1年目のディートリック・エンス投手がともに2桁の10勝をマーク。1年前のドラフトで指名した1位の隅田知一郎投手は1勝10敗、2位の佐藤隼輔投手は3勝4敗と黒星が先行したものの、2年目以降へは十分期待を抱かせる内容だった。投手は多いに越したことはないが、今年のドラフトでは、必ずしも1位指名しなくてもいい余裕が生まれたと言える。

 もちろん、1位指名するからといって蛭間を獲得できると決まったわけではない。昨年も事前に隅田の1位指名を公表したが、4球団の指名が重複し、飯田光男球団本部長が当たりくじを引き当てた。「公表したのは、それだけ獲得を熱望している表れ。昨年公表して獲れたゲン担ぎもある」と渡辺GM。来季の開幕戦でスタメン中堅を務めていてもおかしくない逸材だけに、さらに力が入っている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)