徳島インディゴソックス NPBドラフト注目選手特集第1回・井上絢登外野手 10月20日に行われるプロ野球ドラフト会議で、…
徳島インディゴソックス NPBドラフト注目選手特集第1回・井上絢登外野手
10月20日に行われるプロ野球ドラフト会議で、異例の10年連続指名がかかる独立リーグ球団がある。四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックス。多くの名門大学、社会人チームを凌ぐ、驚異のNPB輩出率を誇るチームには、今年も多くの原石が揃う。「THE ANSWER」はその中から、注目選手4人をピックアップ。第1回は23歳・井上絢登外野手。昨秋のドラフト会議で指名漏れを味わった男は、持ち前のフルスイングでNPB入りを目指している。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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そのスイングをひと目見ただけで、井上絢登という打者像は想像がつく。
177センチ、87キロの体から、豪快に白球を引っ叩く。信条はフルスイング。目下、リーグ戦で10本塁打、32打点の打撃2冠に君臨する。しかし、満足感はない。目標はここでタイトルを獲ることではないからだ。ドラフトまで2か月。渇望するNPBへの想いが溢れ出る。
「ここから、どれだけ自分が持っているものをアピールできるかが一番大事。最後まで、自分が持っているものを出し尽くしたい」
自分が持っているもの――。それを突き詰め、翻弄された野球人生だった。
転機は、久留米商高(福岡)3年の春。それまでミート重視のアベレージヒッターだったが、プレースタイルを一変させた。「このままじゃ、上で通用しない」。井上が見ていたのは、高校よりもっと先。プロを目指しているから、変化を求めた。重い球をひたすら打ち、スイング力を強化。高校通算20発を放った。
最後の夏は、フルスイングで魅了するソフトバンク・柳田悠岐になぞらえて「久留米のギータ」とメディアに付けられた。
九州六大学の福岡大進学後は、2年春の全日本大学野球選手権で本塁打を放つなど実績を残したが、学年が上がるとともに責任感が増し、次のステージが近づくと不振を味わった。3年生になると三振を怖がるあまり、スイングが小さくなった。本来の持ち味も見失い、「自分のスイングが分からなくなった」という。
それでも、ベストナイン2度、打点王1度を獲得し、4年生だった昨秋にプロ志望届を提出したが、声はかからず。無念の指名漏れを味わった。
「大学3、4年の頃は自分のスイングができてなかった。もう一度、やり直したいと思った」
胸の中にあったのは「もっとできるはず」という想い。それは間違いじゃなかった。
ハマれば大化けする素材型「三拍子そろった選手になりたい」
リーグ戦は主に1番を託され、本塁打を量産。34試合に出場した前期だけで7本塁打を放ち、6月のソフトバンク3軍との交流戦でもアーチを描いた。
社会人野球ではなく、徳島を選んだのは、夢への最短ルートを考えたから。「どうしてもプロに行きたいというのが一番。同世代もいろんな選手がプロに行っているのを見て、負けられないと」。独立リーグならではの環境な過酷も「そんなに大変とも思わなかったです。自分でご飯を作ることくらい」と笑い、水に合った。
フルスイングが信条というと、三振か本塁打か、という打者を想像するが、決してそんなことはない。
「もしNPBに指名されれば、トリプルスリーを狙えるような三拍子そろった選手を目指したい」と夢を描くように、やみくもにバットを振り回すだけでなく、コンタクト力も長けている。50メートル6秒1でリーグ戦10盗塁を記録する俊足を併せ持ち、センターも守る。NPBに行っても、ハマれば大化けするタイプの素材型だろう。
フルスイングの魅力を問うと、こう表現した。
「打席の中で、やっぱり一番楽しいんです。(良い)雰囲気が自分の中で出てくると一番楽しめているし、それが自分にとっても一番良いこと」
そのオンリーワンのスイングで、NPBの舞台でアーチを描くことを夢見ている。(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)