第4代DDT UNIVERSAL王者として最多連続防衛記録6回を持つ上野勇希。その上野を現王者・高梨将弘が次期挑戦者として指名。5.1横浜武道館でDDT最高峰のベルト「KO-D無差別級王座」に挑戦した上野にとって青天の霹靂。チャンピオンから…
第4代DDT UNIVERSAL王者として最多連続防衛記録6回を持つ上野勇希。その上野を現王者・高梨将弘が次期挑戦者として指名。5.1横浜武道館でDDT最高峰のベルト「KO-D無差別級王座」に挑戦した上野にとって青天の霹靂。チャンピオンからの指名を上野はどう受け止めているのか?
――前回の取材が昨年のD王GP前。優勝決定戦の相手はThe37KAMIINAの仲間、そして同級生でもある竹下幸之介選手でした。その試合で「上野勇希」が感情を露わにし、レスラーとして覚醒した気がします。8ヶ月前の試合で恐縮ですが、この試合は振り返っていただけますか?
上野:D王GPのAブロックを勝ち抜いた先にBブロック1位のタケ(竹下幸之介)がいた。そこまでなんとかたどり着き、タケと同じ高さで戦えました。
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自分でレスラーとして覚醒したのかは分からないけど、日々プロレスのことを考えて少しずつ積み上げて行ったらD王GPの優勝決定戦、目の前にタケがいた。何かが変わったというよりも「自分が積み上げてきたものが間違いではなかった」と思えたし、「もっと上に行ける」という気持ちにもなりましたね。
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僕は飛び級ができない人間です。「どうすれば強くなれるのか」「どうすれば自分のプロレスが確立できるのか…」と日々悩んでいる中でタケとぶつかった
言葉にするのが難しいけど「初めてタケとキチンと試合ができた」と思えた。だから覚醒したというよりも「自分は前進できている」と実感した試合です。
――毎日の積み重ねが間違いでないことを竹下選手との試合を通じて感じたのですね。その竹下選手が4月に渡米しました。MAO選手が「The37KAMIINAは火力が落ちた。ユニットとしてみんなが踏ん張らなければいけない」とコメントしています。小嶋斗偉選手も加入し、上野選手・勝俣瞬馬選手・MAO選手が3トップとして頑張っている時期かと思います。竹下選手不在のThe37KAMIINAをどのように考えていますか?
上野:「火力が落ちた」とは思っていません。たしかにタケがいるのといないのとでは戦力が落ちるかもしれない。でもタケがいないからこそ出来ることがたくさんある。僕は3トップという感覚はないですし、小嶋にチャンスが来る場面もあると感じています。「火力が落ちた」というより「どこを伸ばせるか」というのが僕の考えです。
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考え方によって作戦や心の持ちようも変わってくる。「タケがいないからヤバい」ではなく「小嶋をThe37KAMIINAで、どうやって爆発させるか」に注力しています。
そのタケのアメリカでの頑張りが僕たちを奮い立たせてくれる。ですから日本にいる僕たちはThe37KAMIINAの中で「小嶋をどう機能させるか」を考えています。タケがいなくなった分は小嶋が頑張ってくれるし、The37KAMIINAのチーム力でなんとかしたいと思っています。
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――今回のタイトル戦はDDT UNIVERSAL王者・高梨選手からの指名。でもその高梨選手は「(上野にDDT UNIVERSALの)ベルトは必要ないのではないか。上野が無差別級獲った時に『DDT UNIVERSALで負けた高梨さんと防衛戦がしたい』と言わせてやるから」と掴みどころのない発言をしています。戦う前から心理戦を仕掛けてくる曲者、タイトル戦を前に現在の心境を教えてください。
上野:高梨さんが他のレスラーと試合をしている時、心理戦で相手をコントロールしているイメージが強くあります。でも高梨さん自身は「混乱させてやろう」と思っていないのではないかと。タイトルマッチが決まってから高梨さんの動向や発言を分析していくと心理戦ではなく、その全ての発言が本音なんだろうと思うようになりました。
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高梨さんの発言は置いといて、今の僕にとってDDT UNIVERSALベルトは必要です。そしてそれと同じくらい高梨さんに勝ちたい。勝って高梨さんのことを否定したいわけではないです。お互いの主義主張を感じているからこそ高梨さんに勝ちたいんですよ。
高梨さんは「上野はエースになれる存在だよ。いつかKO-D 無差別級のベルトを巻く時が来るだろう。でも今は俺がまだまだ足引っ張るよ」と独特の言い方で、褒めてはくれている。でもエースになったり王者になる事は確約されているわけではない。
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以前から僕は「DDT を背負いたい」と発言しています。それは結果としてチャンピオンになれたり、他の人に認められることでなし得ると思う。
高梨さんに勝ってDDT UNIVERSALのベルトを持つことで、もっと上にいけると思うし強くなれる。それに僕が大切としている「信念」「主義主張」が固まります。そのためにも今回のタイトル戦で高梨さんに勝利しベルト戴冠は必要不可欠なことだと思います。
――今回、高梨選手とはシングル初対戦ですよね。どんな印象をお持ちですか?
上野:高梨さんの言葉は力強い。ただ本人は「俺は弱い、今の若者は凄いよ」と発言します。でもあの目力と全身から発せられるギラギラ感はDDTの中で誰よりも強い。
高梨さんと向き合っていると、試合も言葉もコントロールされることが多いんです。だから自分をしっかり持つことが大切だと思いますね。
――第4代DDT UNIVERSAL王者として最多連続防衛記録6回を持つ上野選手。上野選手にとってDDT UNIVERSALは「どんなベルト」ですか?
上野:前回、王者としてベルトを巻いていた時、「DDT UNIVERSALベルトが僕のレベルを引き上げてくれた」と感じました。あのベルトは歴史が浅いからこそ振れ幅もあり、まだまだ伸び代もあるベルト。今回戴冠したらベルトを引っさげて色々な場所で戦いたい。すごく楽しめるベルトだと思っています。
――DDT UNIVERSALのベルトは「世界各国に広く挑戦者を求め、国内のシングル戦線をさらに活性化するため新たなタイトル」として創設されました。再び戴冠した際のプランがあれば教えてください。
上野:前回、王者だった際はコロナも今より深刻で海外からの入国も制限された。だからベルトの理念である「世界各国に広く挑戦者を求める」ことができませんでした。
現在もコロナ禍であることは変わりないけど、会場で声を出せるまで戻ってきました。ですからDDT UNIVERSALの掲げられた意味を実現したいと思います。
高梨さんはタイのプロレスを活性化させようとしている。だから僕がタイトル を獲得した暁には、高梨さんの第二の故郷タイに呼んでもらったりするのも楽しそうですよね。
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例えば、クリス・ブルックスとタイトル戦をするならば、結果はどうあれは、僕のことをクリスの故郷イギリスに呼ばなければいけないとか(笑)。僕はベルトを賭ける、挑戦者は故郷での防衛戦を誘致する、みたいな楽しみ方で様々な国で試合をするのも面白いですよね。日本や海外問わず、様々な国のレスラーと試合がしてみたい。僕は海外で試合をしたことがないので、DDT UNIVERSAL王者として海外で防衛戦もやりたい。
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――それは上野選手ならではの発想ですね。最後に8.20大田区大会への意気込みを教えてください。
上野:DDT UNIVERSAL王座の挑戦者に指名してくれた高梨さんの想いが嬉しいし、それ以上に高梨さんに勝ちたい。
チャンピオンになりベルトの理念通り「世界規模」で楽しみます。まずは高梨さんに勝ってタイ遠征も目指したいです。
<インフォメーション>
8.20大田区総合体育館でDDTプロレス 夏のビッグマッチ「WRESTLE PETER PAN 2022」が行われます。上野勇希選手は高梨将弘選手の持つDDT UNIVERSALベルトに挑戦。再びDDT UNIVERSAL王座を戴冠できるのか!詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます
取材・文・編集/大楽 聡詞
写真提供/DDTプロレスリング