写真:平松和則   「日本でできるのがすごくうれしいです」と語った古賀紗理那キャプテン   8月13・14日の2日間、岡山・ジップアリーナ岡山にて「2022女子バレーボール世界選手権壮行試合 日本代表紅白戦 ミズノマッ…

写真:平松和則

 

「日本でできるのがすごくうれしいです」と語った古賀紗理那キャプテン

 

8月13・14日の2日間、岡山・ジップアリーナ岡山にて「2022女子バレーボール世界選手権壮行試合 日本代表紅白戦 ミズノマッチ in 岡山」が行われ、火の鳥NIPPONが日本のファンの前で2試合プレーを披露。

第1試合後の記者会見で、眞鍋政義監督は次のように語った。「選手19名いますが、世界選手権は14名。どうするか決めてないし、何人かは落ちることになる。この紅白戦は勝敗にこだわり、各選手に最高のパフォーマンスを見せほしい、世界選手権の選考会と思ってほしいと伝えている」。

 

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新型コロナウイルスの影響で、昨年のオリンピック東京2020大会は無観客で催行。さらに今年のネーションズリーグ女子大会も日本未開催とあって、今回が久しぶりに日本の観客の前でのプレー。古賀紗理那キャプテンが「日本でできるのがすごくうれしい」と口火を切ると、記者会見では各選手が日本のファンの応援をバックにプレーできる喜びを語った。世界選手権に向けてチームとしての課題にチャレンジしながら、選手にとっては自身のパフォーマンスをしっかりアピールしながら、ファンに魅力あるプレーを披露する絶好のチャンスとなった。

 

しかし、試合後の記者会見では「アタックのミスの多さ」「直接失点の多さ」など反省、課題を語るシーンが目立った。その理由は、ネーションズリーグで明確になった課題が反映できていないことだという。

ネーションズリーグでは開幕から8連勝という好スタートを切ったものの、後半5試合に連敗して7位。その大会の反省の結果として、チームに掲げられたのが、攻撃のさらなるスピードアップ、テンポアップだった。「スピードを重視していきたい。精度を高めていかないと、世界選手権は厳しい」と眞鍋監督は説明する。「ネーションズリーグよりも、練習では速くなっていた。それでもこうやって試合になると、かなり遅い。セッターも安全にいってしまうのが課題」というのが現状だったようだ。

 

チームとしての速さの目安は「0.8秒」。サイドからのアタック、バックアタックとすべて、セッターがトスを上げてからアタッカーがヒットするまでの時間を「0.8秒」以内に設定しているという。

今回の紅白戦で、その速い攻撃を最も体現して見せたのは古賀だった。レセプションを打ってからでも、速いタイミングで踏み切り、高い位置でトスを捕らえて決め切る。バックアタックでもトスに合わせて踏み切りを変えて打ち切るというシーンを何度となく見せた。日本代表は、古賀のバックアタックの速さを指標にストップウォッチで計測しながら、アウトサイドヒッター陣がスピード&テンポアップに励んでいる。

 

小川愛里奈は、さらなる速さを求めるために、薩摩川内合宿での練習テーマは「スパイカーはしっかり打ち切る力を付ける」だったと明かした。さらなるテンポアップを実現させるために、どんな場面でも中途半端な攻撃に逃げることなく、常に思い切りよくアタックする力を養うことを課したのだろう。

その結果、紅白戦2試合では石川真佑、井上愛里沙をはじめ、多くの選手が難しいトスでも何とか打ち切ってポイントにするなど、その成果も出始めているように感じた。特に目立っていたのが佐藤淑乃、宮部愛芽世、林琴奈の3選手で、サーブ、アタックと思い切りのいい打ちっぷりで存在感を示していた。

 

眞鍋監督によると、薩摩川内合宿での練習テーマはもう一つ「ミドルブロッカーの得点力」があったという。「特にBパスからのミドルブロッカーのクイックは、薩摩川内でもかなり練習した」らしい。会見に出席した小川も「ネーションズリーグではミドルの攻撃、ポイントが少なかった。そうなるとサイドがより苦しいので、ミドル全員で攻撃をつくっていくことが課題」と語っている。残念ながらこの2試合ではBパスからのクイックこそ多く見られなかったが、島村春世(2試合目は欠場)、山田二千華、横田真未、麻野七奈未、そして小川と得点に絡んでいこうという姿勢が見られた。

 

チームにとって、そしてファンにとってもうれしいニュースは、薩摩川内合宿からセッターの籾井あきが合流したこと。紅白戦の2日間では4セット、プレーを披露。東京2020の正セッターとして活躍した籾井は、故障した手首のリハビリのため、合流が遅れることとなった。「手首の状態は徐々にというところ。(まだ完全ではなく)マッサージをしてから練習に入っているという状況です。手の癖とかもあったりするので、修正しながらやっています」。それでも、五輪メンバーとのコンビは健在で、石川が「自分が打てるトスをわかってくれている」と信頼を語ると、古賀は「私がパスしてからも上げられるのでさぼれないという感じ(笑) 9m幅を使うセッターというところは他の2人とは違う。常に攻撃参加しないといけないという意識を、常にみんなに持たせてくれる。精度の高いコンビができると思うので、しっかりやっていきたい」と籾井の可能性について語っている。

 

セッター争いは、その籾井と関、松井珠己によって争われることになるが、後者2人にはネーションズリーグで共に戦ったというプラスがある。この紅白戦でもいい攻撃を演出しているだけに、メンバー入りの争いは混沌とした状況にあると言っていいだろう。

 

今シーズン、チームとしてのピークは世界選手権に合わせることになる。その前の山がネーションズリーグだったわけだが、1ヵ月超という長丁場の国際大会をこなしたチームは、鹿児島・薩摩川内での合宿を終えて、今、世界選手権直前の最終調整段階に入った。

 

8月20日〜21日には、眞鍋監督の地元・姫路に場所を移して、「2022女子バレーボール世界選手権壮行試合日本代表紅白戦 ミズノマッチ in 姫路」(兵庫・ヴィクトリーナ・ウインク体育館)が行われる。こちらも“世界選手権の選考会”という位置付けとなるだけに、どんなプレーが披露されるのか? 注目となる。

 

■「2022女子バレーボール世界選手権壮行試合 日本代表紅白戦 ミズノマッチ in 岡山」メンバー

1 山岸あかね リベロ

2 内瀬戸真実 アウトサイドヒッター

3 古賀紗理那 アウトサイドヒッター

4 石川真佑 アウトサイドヒッター

5 島村春世 ミドルブロッカー

9 小島満菜美 リベロ

10 井上愛里沙 アウトサイドヒッター

12 籾井あき セッター

15 林琴奈 アウトサイドヒッター

19 山田二千華 ミドルブロッカー

22 福留慧美 リベロ

23 横田真未 ミドルブロッカー

24 松井珠己 セッター

25 小川愛里奈 ミドルブロッカー

26 宮部藍梨 アウトサイドヒッター

30 関菜々巳 セッター

37 宮部愛芽世 アウトサイドヒッター

38 佐藤淑乃 アウトサイドヒッター

39 麻野七奈未 ミドルブロッカー

 

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