第5回の対談に登場するのは合気道部の安藤翔主将(基理4=神奈川・聖光学院)と少林寺拳法部の籾美吹主将(社4=大阪産業大…
第5回の対談に登場するのは合気道部の安藤翔主将(基理4=神奈川・聖光学院)と少林寺拳法部の籾美吹主将(社4=大阪産業大付)だ。同じ武道系でありながら、これまでほとんど交流がなかったという両部活。今対談では互いの交流を深めるとともに、「戦ったらどちらが強いのか」というテーマで、両競技の相違点、そして魅力を存分に語ってもらった。果たして本当に強いのはどっちなのか――。
※この取材は6月9日に行われました

お互いの部活に関して語る安藤(左)と籾
――まずは簡単に自己紹介をお願いします
籾 早稲田大学少林寺拳法部60期主将を務めています、籾美吹と言います。よろしくお願いします。
安藤 早稲田大学合気道部主将を務めています、安藤翔と申します。よろしくお願いします。
――学部はどちらですか
籾 私は社会学部です。
安藤 基幹理工学部です。
籾 理系!? すごい。
――お互いに面識はありますか
籾・安藤 ないです。
――普段、部同士での交流はありますか
安藤 新歓の時に武道系の合同説明会をやらせていただいているくらいですね。
籾 私は拳法場を使っているのが、日本拳法部さんと一緒なのでそれくらいですね。その他の部活は本当にないですね。
――相手の競技を見たことはありますか
安藤 自分は今回対談が決まって、少林寺を少しYouTubeで拝見しました。
籾 私はちょっと前に友達が合気道部に入ったので、その関係で動画を見せてもらいました。
――もし相手に競技を見てもらうとしたら、どこに注目してほしいですか
籾 少林寺拳法は、「演武」と「運用法」という本当に戦うところがあります。l演武はフィギュアスケートみたいな点数競技で迫力が魅力だったり、運用法はキックボクシングみたいな感じでついたり蹴ったりして点数を獲得するのものなので、どちらも楽しめるというか。演武の部分であれば迫力があってすごいなというのが見てもらえると思いますし、運用法であればしっかり殴りに行くので(笑)。また違う魅力があるのかなと思います。
安藤 合気道も同じで、「演武」と「乱取り」という試合があります。普通の合気道の流派だと試合はしない、合気道は「戦わない武道」だと言われているんですが、われわれは試合をして自由意志で動く相手にも技をかけられることを目指して乱取りをしています。自分たちもどちらも見てもらいたいと思います。乱取りは柔道みたいな感じで投げて、投げられてという感じなので、そういう迫力を見ていただきたいですね。
――相手の部にどのようなイメージを持っていますか
安藤 演武は、本当に蹴っているんじゃないかという感じで(笑)。痛そうだなというのが第一印象です(笑)。あとは子手返しとかは同じような技が合気道にもあるんですが、自分たちは畳なので、少林寺の方は床で飛び受けをしているのが本当に考えられないなと思います。(笑)。
籾 印象としては技が多いなと思います。女性でも勝てるような技が多いなと思って、少林寺もそういう感じなんですけど、もっと体の構造を知ったうえで技をかけているというイメージがあります。私も構造を知ったうえで技をかけるというのを習ってみたいなと思いましたね。
――「戦ったらどちらが勝つのか」というテーマですが、競技として「ここだけは負けない」という点はありますか
籾 少林寺は「剛柔一体」という言葉もあって、剛法も柔法もどちらも含まれているので、いろんな場面に対応するようにできているのかなと思います。でもそれはお互いのところだと思うので、スピードとかだったら勝てるのかなと思いました。(笑)。
安藤 合気道には「剛」をさばくというのはあるんですけど、自分が剛を仕掛けるというのはないので、そういった面では負けてしまうかなと思います(笑)。でも「剛」を想定したさばきだったり、態勢を崩すというのは練習しています。
―――競技として「ここが面白い」、また変わっているという点はありますか
籾 演武は採点競技なので、審判によって点数にばらつきがでたりするので、少しずれが生じてきたりするのは変わっているかなと思います。どの審判からも点数をとれるように練習しています。
安藤 自分たちの部活は大学から始めるのが前提の部活なので、大学から始めても全国大会で上位入賞を目指せるというのが他の部活とは違うかなと思います。自分も大学入ってから始めて、今4年目という感じです。
―――ご自身の部活の面白い点、また「ここが変わっている」という点はありますか
籾 私、今60期なんですが、初めて幹部が女子しかいなくて、初めての女子主将をやっています。そこが少し変わっているというか、今までとは違うかなと思います。あとは大人の指導者がいなくて、学生メインで先輩が指導して、足りないところは外部から先生を呼んで教えてもらっていて。そこは変わっているかなと思います。
安藤 先ほど自分が理工だという話をしたんですけど、合気道は例年意外と理工の割合が多いというのが変わっているのかなと思います。自分たちの代も半分以上理工で。
一同 (驚く)
安藤 競スポ(早稲田大学競技スポーツセンター)の部活全体を見ても、理工って数パーセントとかなんですが。なんか変わり者が集まっています(笑)。
――両部活とも初心者が多い部活だと思います。お二人はどのようなきっかけで競技を始めましたか
籾 私は経験者で(早稲田大学の少林寺拳法部に)入って、幼稚園からやっていました。始めたきっかけとしては、親が小学生に上がっても「いじめとか自分で対処してね」という感じで、護身術的な感じで始めました。そのままどっぷりはまっちゃって、大会も出るようになって「これはやめられないな」という感じになりました。
安藤 自分は中高はずっとサッカー部に入ってたので、大学でもサッカーサークルに入ろうかなと思っていました。部活とか全然考えてなかったんですが、新歓で道場に行って、技を見せてもらって引き込まれてしまいました。それで気づいたら4年間やっていたという感じです(笑)。
――サッカーとはだいぶ違いますよね
安藤 全然違いますね(笑)。チームスポーツと個人スポーツという面でも、全く違いますよね。
――大学から始めやすいポイントは何だと思いますか
籾 少林寺は大会の部門として、白帯の部があるので、同じ時期に始めた人たちと戦うことができます。本当に努力して練習すれば勝てるという部門なので、そこからやりやすいのかなと思います。あとは指導するのが同じ部員なので距離感が近くて、分からないところがあったらすぐに聞けるし、マンツーマンでの指導もできるので、技術的にも伸びやすいと思います。
安藤 うちの流派があまり普及していなくて、そもそも高校でやっているところはないです。なので前提として初心者しか入ってこないので、そういう人に教えるという体制が整っています。あとは合気道も先輩が教えるという環境があって、だいたい1年生と3年生が「親の代、子の代」という感じで教えるという体制になっていて、技術を継承するという流れができています。

お互いの技について質問しあう安藤(左)と籾
――部の寮はありますか
籾・安藤 ないです。
――部の練習場所のおすすめポイントはありますか
籾 アリーナの憲法場を使っているので新しくて設備もそろったきれいな環境です。動いたら暑いんですけど、冷暖房も完備されているのでやりやすい環境にあるかなと思います。
安藤 きれいさは少林寺さんに負けてしまうので…たぶん、広さは勝っていると思います。大学の施設を広く自由に使わせてもらっているという面ではありがたいですね。
――部で人気のワセメシはありますか
籾 どんぴしゃりとか、がっつり系です(笑)。
安藤 油そばとか。
籾 油そばも部員たちがよく行ってるイメージがあります。
籾 私がよく(仲間を)連れ回しているのが、舟形やという地下の定食屋さんです。そんなに人が多くないのもよくて、アジフライが美味しいです。
一同 (アジフライで盛り上がる)
――やはりがっつり系がいいですか
籾 がっつり系が多いと思います。
安藤 西門のところにある、いねやという唐揚げ弁当で有名なところが(練習場所の)17号館からすぐなのでよく弁当を買って部室で食べています。
――お互いに聞いてみたいことはありますか
籾 技を聞きたいです。
安藤 自分も…。
籾・安藤 習いたいです(笑)。
籾 合気道の印象が、柔らかいというか、力技ではなく女性でも倒せるような技だと思うのですが、どういう原理で倒れているのか知りたいです。
安藤 自分はまだその境地に達していないという自覚はあるのですが、原理だったら多少は説明できるかなと…。合同稽古会とか企画できたりしたらいいかなとかちょっと思ってた時期はあったんですけど、これまで全く関わりがなかったので、これを機に何かできたらいいなと思います。
安藤 少林寺さんの技はどんな種類があるのかな…。
籾 そうですね、攻撃に対して技をかけるというのもあったりとか、つかまれた状態でどう対処するのかとか。服を握られたり手を握られたりいろいろあって、何百ぐらいの技の種類があるので覚えるのが大変です(笑)。
――早慶戦について教えてください
籾 早慶戦では運用法というしっかり戦う方をやるので、5対5や6対6で必死に勝ちにいきます。もともと早慶練という慶應との関わりがあるので、そこで仲を深めた中でいいライバルとして早慶戦に向けて切磋琢磨(せっさたくま)しているので力が入りますね。(慶大に)友達もいて早慶同士でご飯に行ったりもするので、その中で戦うのが熱いというか、負けられないという思いです。
安藤 合気道も早慶合同稽古をしていて、お互い知った上で早慶戦があるのですが、自分たちは演舞と両方やります。どちらも6対6で12番勝負とか結構長い(笑)。見応えはあるかなと思います。
――他の大学と比べて「早稲田らしい」と思うことはありますか
籾 早稲田(の少林寺部)には固定したコーチがいないので、学生主体で大会に出る組み合わせなどを決めることができるのが他大と違うところだと思います。他の大学は監督やコーチがいて、その人たちが決めるので。自由にできるところが強みになっていると思います。
安藤 早稲田らしさというか、流派が違うので、相手の流派を分かった上で自分の流派の良さをどう出すか、どうやって相手の流派の良さを消すかというところを考えながらやっています。
――早稲田と同じ流派の大学はどこですか
安藤 明治とか帝京とかです。慶応は違う流派ですね。
――ここまで対談をしていただきましたが、相手の部について印象は変わりましたか
籾 理系が多いことにびっくりしちゃいました(笑)。
安藤 自分たちの下の代は減っちゃいましたけど、上の代も結構いました(笑)。
籾井 乱取りがあることもびっくりしました。型しかないのかなと思っていたので。
安藤 合気道は結構型ばかりが多いので。(少林寺拳法と)似てると言っていいのかわからないですけど、同じような部分はあるのかなと。交流できたらと思います。
――プロスポーツではない「大学スポーツ」にはどのような価値があると思いますか?
籾 最近自分が幹部として動いていて感じているプロとの違いは、こんなこと言ったら怒られるかもしれないですが、「お給料が出るか出ないか」というところだと思います。大学のスポーツは自分がやりたいからやっていて、なんのためにやるのか明確になっています。お金は出ないけど、部のために、部全体で勝ちたいという思いでみんなが主体的に行動できる、考えて動けるというのが価値になっているのではないかなと思います。
安藤 学生が主体となるので、自分が良ければいいというわけではなく、先輩からの技術を継承して後輩を育ててという縦のつながりがあるのが良さかなと思います。先ほど主体性みたいなことをおっしゃっていたんですけど、まさしくいいところだなと思います。
――では、「早稲田スポーツ」の良さはなんでしょうか
籾 私は大学に入学してから早慶戦や早明戦などいろいろあることを知って、個人や部活としてではなく、大学として戦ってみんなで応援し合っているというところが、大学がひとつになっている感じがして早稲田スポーツの良さなのかなっていう気がしました。
安藤 早慶戦は他の大学にはないですよね。それは大きいと多います。(早大は)大学スポーツを引っ張っているような存在で、われわれも大学スポーツを引っ張っていくという自覚を持ってやっています。
籾 他大学と交流できて、部内だけではなく他大学とも切磋琢磨(せっさたくま)していい刺激をもらいながら練習できるところが良さかなと思います。
安藤 結構大学から支えられていると感じています。コロナが流行し出した時も早い段階から手を打っていただいて、後押しをしていただいた感じがするので、他大学に比べるとそこら辺が早稲田スポーツのすごいところではないかなと思います。
――ありがとうございました!

(取材・写真 玉置理沙子、三原はるか)
◆安藤翔(あんどう・かける)(写真左)
神奈川・聖光学院高出身。基幹理工学部4年。高校までサッカーをしていて、合気道と出会ったのは大学生になってからだという安藤主将。自身も引き込まれた合気道の魅力について熱く語る
◆籾美吹(もみ・みぶき)(写真)
大阪産業大付高出身。社会学部4年。60年続く少林寺拳法部で、初めての女性主将となった籾主将。おすすめのワセメシ は「舟形や」のアジフライ定食だそうです!