鈴木泰成は昨年12月に右肘を手術、球速は4キロアップした 7月31日に神宮球場で行われた第104回全国高校野球選手権西東…
鈴木泰成は昨年12月に右肘を手術、球速は4キロアップした
7月31日に神宮球場で行われた第104回全国高校野球選手権西東京大会決勝で、東海大菅生は日大三に2-6で敗戦。2年連続夏の甲子園出場はならなかった。プロ注目の最速148キロ右腕、鈴木泰成投手は試合後に大学進学の意向を表明した。
元中日投手の若林弘泰監督は「目指しているところはプロ野球選手で、大学に進学し、4年後はドラフト1位という明確な目標を持って練習してきたと思う。高校在学中に“勝てる投手”にはなり切れなかったが、ボールの質など素材的には多分今年の高校生でナンバーワン」と太鼓判を押す。
鈴木泰は5回まで毎回走者を背負いながらも無失点。しかし2-0とリードして迎えた6回、1死二、三塁で日大三・川崎広翔捕手(3年)に右前へ同点2点打を浴びた。内角を狙ったストレートが甘く入った。さらに1死一、三塁とされ、勝ち越しスクイズを投前に決められた上、自ら一塁へ悪送球。一塁走者の生還まで許し、この回一挙4点を奪われた。
「あの回から変化球がすっぽ抜けてストライクを取れなくなり、真っ直ぐ1本に絞られて狙い打たれた感じです。握力が落ちて、真っ直ぐも普段指にかかった時には空振りやファウルを取れるのに、前に飛ばされました」と振り返った。
昨春の選抜では甲子園のマウンドで躍動した鈴木泰だが、その後右肘を疲労骨折し、昨年12月に手術。リハビリ中に下半身中心のトレーニングを積んだことが功を奏し、最速は手術前の144キロから4キロアップした。
「No.1と言われる投手になってプロの世界に行きたい」
今年5月に実戦復帰。若林監督は「ピッチング自体、怪我をする前より数段良くなりました。肘以外のトレーニングをかなり積んだことは、ボールを見ているだけでもわかりました」と称賛する。それでも、夏の甲子園にこぎつけるには、スタミナを培う時間が足りなかったのかもしれない。
7回には、村上太一外野手(3年)に左翼席へ決定的な2ランを被弾。「復帰してから初めて打たれた本塁打なので、ガクッとしてしまいました」と明かした。高校最後の登板は、7回127球6失点に終わった。
東海大菅生入学時、昨秋の新チーム結成時、術後投球練習を始めた今年3月の3度、「世代ナンバーワン投手になる」という目標をノートに書き留めた。「今はまだ全然遠いですが、これからも野球を続けていく上で常にそこを目指していきたいです」と言い切る。
「大学4年間でもっといい投手になって、誰が見てもナンバーワンと言われる投手になってからプロの世界に行きたい」と今後の目標も明確だ。186センチ、77キロ。いかにも投手らしい長身でスリムな体に、豊かな才能が詰まっている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)