Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由京都サンガF.C. ピーター・ウタカ インタビュー 後編前編「ウタカが語る…
Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由
京都サンガF.C. ピーター・ウタカ インタビュー 後編
前編「ウタカが語る日本とJリーグ」はこちら>>
中編「ウタカが考えるストライカー像」はこちら>>
オフのファッショナブルな姿をインスタグラムで公開し、自身のブランドも展開している、京都サンガF.C.のピーター・ウタカ。インタビュー後編では、そのファッションの話や、ミッキーマウスのようなあのお団子ヘアのエピソード、そして将来の展望も聞いた。
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お団子ヘアが話題を呼んでいるピーター・ウタカ(右)
自身のブランドを展開
「子どもの頃から、身なりには気を使っていたんだ。そのままずっと、ファッションに興味を持ち続けているよ。プロになる前は洋服にお金をかけることができなかったけど、別に高いものだけがいいというわけではないよね。
ファッションは、いろんなものをミックスするセンスだと僕は思う。自分がどんなふうに見られたいか、その表現法とでも言うのかな」
ピーター・ウタカはJリーグきってのファッショニスタだ。自身のブランド『PUClothing』を展開し、100%オーガニックコットンを使用したヘアバンドは、サッカー少年にも人気で、無地のTシャツは売りきれたりもしている。それらのデザインは、ウタカ自身が手がけているものだ。
「シンプルでカジュアルなものが好きだから、自分のブランドもそうしている。ふだん着るのも、シンプルでラクなものが多いね。Tシャツとか、ジョガーパンツとか。僕は自由という価値観をとても大事にしているから、洋服も自由を感じられるものがいい」
老舗セレクトショップのオンラインメディアでインタビューを受けたこともあるウタカは最近、ピッチ上でもひと際目立つルックスをしている。そう、あのふたつのお団子をつけたようなキュートな髪型だ。その質問を投げかけると、彼はこのインタビューで一番の大爆笑をした。
ディズニーランドの映像を観ていたら
「わはははは!!(笑いが収まってきた頃に)キミの言いたいことはわかるよ。僕はアーティストでもあるから、自分のイメージを自分で決めたいんだ。
アーティストなら誰でもそうだと思うけど、自分の目で見て印象に残ったものはすべてが題材になるよね。ある日、自分の髪型をどうしようかと考えていたら、ちょうど妻がディズニーランドの映像を見ていてね。そこでなんとなく、僕が頭の上にふたつお団子を作るように髪をまとめていたら、妻が『それよ! 今ちょうど私も、あなたがその髪型にしたらいいと思っていたの。すごくキュートよ!』と言って、この最近の髪型が生まれたんだ。
でも実際、初めてこの髪型で試合に出る時は......あははは! ちょっと変じゃないかなって思ったよ(笑)。ミッキーマウスみたいだよなって。でも妻は、『いいじゃない! とても似合っているわよ。外出する時も何食わぬ顔で歩けばいいのよ』と言っていたね(笑)。
まずはインスタグラムでファンに公表すべきかな? と聞いたら、『いえ、そのまま試合に出るのよ』と彼女が言ったから、そうしたんだ。すると、いきなり2ゴールを決めることができた」
その試合がいつだったかは、はっきりと覚えていないというが、昨年10月のJ2第33節のSC相模原戦が有力そうだ。なぜなら、そのあとに髪型を元に戻したら、「ゴールはとれても1ゴールくらいになり」、再びお団子をふたつにしたら「(J2第39節のブラウブリッツ秋田戦で)また2得点できたんだ」と明かす。
つまり、そのお茶目なヘアスタイルは彼にとって、自らを表現するものであると同時に、「縁起物」でもあるわけだ。

爆笑を交えてインタビューに応じてくれたピーター・ウタカ photo by Igawa Yoichi
体を念入りにケアし、心はいつも晴れやかで、豊かな経験を持ち、幸運の女神にも恵まれている現在38歳のウタカは、「少なくとも、あと1、2年はこのレベルでプレーできる」と考えている。ただどんなことも前向きに捉え、サッカー以外にも興味の幅が広い彼には、スパイクを脱いだあとにやりたいことがたくさんある。
日本とナイジェリアの橋渡し役になりたい
「現役を退いたら、まずはファッションを突き詰めてみたいと思う」と、ウタカは楽しい未来を想像するように続ける。
「自分のブランドを広げて、パリやミラノ、ロンドンといったファッションの最前線も見てみたい。
でも一番興味があるのは、フットボール・エージェントになることだ。なぜなら、僕は日本で長くプレーし、この国にいいコネクションがたくさんある。そしてナイジェリアにはいい選手が多いけど、チャンスに巡り会えない選手が少なからずいる。自分はフットボールのことを熟知しているし、両国に太いつながりもあるので、日本とナイジェリアのフットボールをつなぐ橋渡し役になりたいんだ。
若い選手たちには、夢や希望を持ってもらいたいし、どんなことでも願い続けて努力すれば、叶うものだと知ってほしい。ナイジェリアでは、本当に多くの人が貧困にあえぎ、才能に恵まれていてもそれを開花させるチャンスがないケースも多い。そうした環境を少しでも改善させることができればうれしいね。自分のこれまでのキャリアを考えると、おそらくそれは僕がやるべきことのなかで、最も重要なもののひとつだと感じているんだ。
僕はアフリカで生まれ、欧州でプレーし、アジアに来た。そのすべての価値観を知っている。日本でどんな選手が受け入れられるのかもわかっている。ただ能力が高いだけでなく、人柄がよく、仲間に敬意を払い、環境の変化に適応でき、地に足をつけて努力を続けられるような選手だ。
日本とブラジルの間には、すでに強固なパイプがあるよね。それによって、人生を好転させたブラジル人の若者もたくさんいると思うんだ。でもナイジェリアと日本にはまだそんなつながりがない。それを僕が作っていければ最高だし、関わるすべての人がハッピーになれると信じているよ」
(おわり)
ピーター・ウタカ
Peter Utaka/1984年2月12日生まれ。ナイジェリア・エヌグ出身。京都サンガF.C.所属のFW。2003年にマースメヘレンでデビューしたベルギーでは3チームでプレーし、その後4シーズンを過ごしたデンマークのオーデンセでは、2009-10シーズンに得点王を獲得。2012年からは中国でプレーし、2015年に清水エスパルスへ。翌2016年、サンフレッチェ広島でJ1得点王を獲得。その後FC東京、ヴェイレ(デンマーク)、徳島ヴォルティス、ヴァンフォーレ甲府、2020年から京都でプレーしている。