独自の強化路線を貫いてきた日本女子のエース・伊藤美誠(スターツ)が大きな決断に踏み切った。伊藤は日本代表の主力選手で唯一、Tリーグと距離を置いてきたが、リーグ4連覇中の「日本生命レッドエルフ」の運営会社である日本生命保険相互会社と契約合意に…

独自の強化路線を貫いてきた日本女子のエース・伊藤美誠(スターツ)が大きな決断に踏み切った。

伊藤は日本代表の主力選手で唯一、Tリーグと距離を置いてきたが、リーグ4連覇中の「日本生命レッドエルフ」の運営会社である日本生命保険相互会社と契約合意に至り、9月10日に開幕を控えた2022-2023シーズンに参戦することを発表。

代表選考基準が「どっちに決まっても大丈夫な状態に」

写真=スターツ提供


 記者発表会には伊藤の競技活動を全面的にバックアップするスターツコーポレーション株式会社代表取締役会長の村石久二氏をはじめ、日本生命保険相互会社代表取締役会長の筒井義信氏、執行役員総務部長の松井慎悟氏も出席した。

 特に2013年から伊藤が籍を置くスターツの創業者・村石会長から贈られた激励の言葉には、中学に上がる直前の伊藤と出会った頃の秘話が盛り込まれ、「世界に通用する選手になれるのかどうか見当もつかなかったが、本人とお母さんの強い意志と覚悟を感じ、足長おじさんのように長い目で応援して寄り添ってみたいと思った」という心温まるエピソードも披露された。

 2年後の7月26日は奇しくもパリ2024オリンピックの開会式。大会開幕までちょうど2年というタイミングで伊藤は今回の発表に至った。

彼女の言葉の端々には本人のみならず陣営の苦悩が見え隠れしたが、これと決めたときの"チーム美誠"の推進力はすさまじい。

会見の冒頭はやや神妙だった伊藤も最後は持ち前の美誠スマイルで「日本生命レッドエルフの5連覇と私自身が出る試合で勝つことが目標。お客さんに目の前で試合を見てもらうのが楽しみです」と抱負を語った。

そして、「今はリラックスして卓球ができている。国内の成績でも世界ランキングでも、代表選考基準がどちらに決まっても大丈夫な状態にしておきたいです」と締めくくった。

 なお、パリ2024オリンピックの出場資格については7月11日、国際卓球連盟(ITTF)から「団体戦の出場資格を得た16チームで、2024年6月18日時点の世界ランク上位2名がシングルスの出場資格を得る」という主旨の発表があったが、日本卓球協会の代表選考基準と合致せず協会は対応に追われている模様。これについて伊藤は「協会からまだ説明はない」と話している。


(文=高樹ミナ)