過去にプロ選手も多数出場!10歳以下のジュニア世界大会「スムリクバボウル」の大会の模様や周辺情報を紹介クロアチアで毎年行われる10歳以下のジュニアの世界大会「スムリクバボウル(Smrikva Bow…

過去にプロ選手も多数出場!
10歳以下のジュニア世界大会「スムリクバボウル」の
大会の模様や周辺情報を紹介

クロアチアで毎年行われる10歳以下のジュニアの世界大会「スムリクバボウル(Smrikva Bowl)」。直近では新型コロナウイルス感染症の流行により2020年大会、2021年大会は開催が中止となったが、2022年は無事に開催された。今回は「スムリクバボウル」について徹底紹介。前編に引き続き、後編では実際に行われた今年の大会の模様(試合やイベント)や周辺についての情報などについてお伝えする。

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日本から出場した選手がコンソレーションで優勝!


コンソレーションで優勝した中西梨瑚(なかにし・りこ)選手

「スムリクバボウル」はこれまで64ドローで行われることが多かったが、今年は32ドローで行われた。日本人にとっては慣れないクレーでの大会ということもあり、1試合目から最高のプレーをするのは難しいかもしれない。その点、ヨーロッパの人々にとっては慣れたコートで試合を行えるアドバンテージがあると言える。

たとえ1回戦で負けてしまったとしても、コンソレーションが用意されているため、次第に慣れてきたクレーコートで結果を出せる可能性も残されている。今大会に日本から参加した6人の中で、中西梨瑚(なかにし・りこ)選手がコンソレーションで見事優勝した。決勝戦の相手は10歳以下にも関わらず、身長が170cmもある選手だったが、落ち着いた試合運びで勝利した。

大盛り上がりの“イグラダブルス”!

大会に出場した選手は、最低でもシングルス2試合、ダブルス1試合を戦うことが可能だ。そのダブルスは“イグラダブルス”という形式で行われ、これが親たちの応援も含めて非常に盛り上がった。

“イグラダブルス”のルールは、ダブルス同様4人がコートに入り、まずはそれぞれ対角線上にいる相手とボールを打ち合う。ミスが生まれたところで「イグラ!」と叫び、その後はフルコートで通常のダブルス同様に点を取り合う。クロスコート、フルコートともにポイントを取った場合にだけ1点が加算され、7点先取で勝敗が決まる。

男子だけのチームが強いかと思いきや、優勝、準優勝ともに男女混合チームだった。チーム内でお互いのよさを生かしつつ、粘り強さのあるチームが勝利を勝ち取れるおもしろいルールだ。

キャッチフレーズは“More than Tennis” 戦うことだけが目的ではない大会

●試合が終われば、みんな友達
大会のキャッチフレーズが「More than Tennis」であることからも分かるように、「スムリクバボウル」はテニスの試合だけではない価値を生み出している大会だ。10歳以下にしてアメリカやアジア、欧州諸国から集まってくるのだから、親や選手のコミットメントは当然大きい。そんな選手たちがただ競い合うのではなく、友情を育み健闘を称え合う姿を数多く目撃することができた。

例えばコンソレーションの決勝戦が行われた後に、準優勝となった選手の即席誕生日会が芝生の上で行われた。そこには彼女に勝利した優勝者やそれぞれの仲間たちが参加して、大いに盛り上がった。このような光景も「スムリクバボウル」の素晴らしさの一つだ。


芝生の上で行われた即席の誕生日会

●閉会式では、大会で得た友人からトロフィーを受け取る
今大会から始まった試みとして、閉会式でトロフィーを受け取る際、受け取る選手は「誰からトロフィーを渡してほしい?」と主催者から尋ねられる。これに選ばれた選手は、トロフィーを授与すると同時に、大会側から記念品をもらうことができた。多くの選手が閉会式に関わることができる、画期的な取り組みだと感じた。

中にはトロフィー以上に記念品をたくさんもらっている選手もおり、世界中から集まった選手たちの間で多くの交流が生まれた証明となった。


閉会式の様子

選手には無料で水やサンドイッチが配布される

大会会場のクラブの中には売店があり、コーヒーやジュース、サンドイッチなどの軽食を購入することができる。サンドイッチは5クーナ(約95円)、ジュースは10クーナ(約190円)だ。選手の試合を待つ親たちにとっても売店の存在は大きい。食べ物や飲み物の他にも、帽子やTシャツなどのグッズも販売されていた。選手は、水とサンドイッチを無料でもらえるのでありがたい。


10クーナで購入できるジュース


販売されていたグッズ。自転車は優勝者への景品

バーベキューやパスタ、ピザなど! 近隣にあるレストランを紹介

スムリクバカントリークラブの近くにはいくつかのレストランがある。徒歩圏内のレストランとしては「Grill bar Campo」があり、バーベキューやバーガーなどが用意されていた。

また、選手の親たちの中でおいしいと話題になっていたレストランが「OAZA」だ。こちらではホームメイドのパスタやムール貝などが食べられる。また、「Tivoli」というピザ屋はおいしくてリーズナブルということもあり、広いスペースにも関わらず夜になると満員になるほど人が集まっていた。デリバリーも可能なので、いざという時のために覚えておくと便利だ。



「OAZA」で注文したパスタと店内の様子

〈Grill bar Campo〉
スムリクバカントリークラブから徒歩圏内。テラスのような店内とその周囲に広がる広い芝生が開放的な気分にさせてくれる。

〈OAZA〉
おいしいと話題に上っていたレストラン。パスタはしっかりとした味付けで、ボリュームもあり食べ応え十分。魚介類も豊富。

〈Pizzeria Tivoli〉
リーズナブルでおいしいピザ屋。夜間は非常に混雑するが、店内が広いので待ち時間はそれほど長くない。

古代ローマ時代の遺跡が残るプーラ

古代ローマ時代に造られた建造物が数多く残っていることで有名なプーラの町。基本的にとても落ち着いた町だが、中心部には観光客も多くにぎわっている。ほとんどのレストランにテラス席があるので、気候のよさを存分に味わいながら食事をすることができる。クロアチアらしいお土産を購入できるショップやアイスクリーム屋などもある。かき氷のようなデザートは1カップ10クーナ(約190円)程度だった。観光地としても大変魅力的な場所なので、大会中であっても1日は市内観光の時間を取りたいところだ。


歴史を感じさせる町の様子

●宿泊施設
プーラには大型のホテルがほとんどなく、宿泊施設は大会主催者が紹介してくれる場所から選択することが可能。その他には、スムリクバカントリークラブ近くの民泊施設「Airbnb」を利用している家族も多かった。大会は1週間続くので、食事を作ることができるという点でもアパートメントタイプの宿泊施設がおすすめだ。中には、スイミングプールが付いたアパートもあるので、リゾート気分を存分に味わうことができるだろう。

ちなみに、スムリクバカントリークラブの中にも宿泊施設が用意されているが、数に限りがあるので宿泊したい場合は早めに問い合わせよう(下記URL)。
www.smrikve.com/smrikve-lounge/


スムリクバカントリークラブ内のプール

●便利なスーパーマーケット
プーラの町には「STUDENAC」というチェーンのスーパーマーケットがある。小規模だが野菜や肉、冷凍の魚なども購入することができて便利だ。もちろんアイスクリームやお菓子なども売られている。閉店時間は19時から20時の場合が多いので、試合やイベントで遅くなる日は早めに買い物を済ませておくといいだろう。大会期間中に選手が存分に力を発揮できるよう自炊をするのに必要なものは、基本的に何でも揃えることが可能だ。

テニス以上の何かを得られる貴重な大会

テニスは勝ち負けが必ず伴うスポーツだが、一対一の真剣勝負の後は相手に対して特別な感情が芽生えるもの。「スムリクバボウル」はテニスをコミュニケーションの手段と捉え、選手たちの交流を促す貴重な大会だ。結果のみならず得難い経験を与えてくれる場所として、選手たちとともに歴史を刻み続けている。


大会最終日に出場した選手たちみんなでケーキカットを行った

「スムリクバカントリークラブ」および「スムリクバボウル」の公式ホームページ
https://www.smrikve.com/smrikva-bowl/


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