過去にはアルカラスやティエムも出場!10歳以下のジュニア世界大会「スムリクバボウル」の参加方法から試合の模様、周辺情報など紹介!クロアチアで毎年行われる10歳以下のジュニアの世界大会「スムリクバボウ…

過去にはアルカラスやティエムも出場!
10歳以下のジュニア世界大会「スムリクバボウル」の
参加方法から試合の模様、周辺情報など紹介!

クロアチアで毎年行われる10歳以下のジュニアの世界大会「スムリクバボウル(Smrikva Bowl)」。直近では新型コロナウイルス感染症の流行により2020年大会、2021年大会は開催が中止となったが、2022年は無事に開催された。今回は「スムリクバボウル」に参加するための条件や日本で行われる選考会において出場権を得る方法、また実際に開催された今年の大会の模様(試合やイベント)などを紹介する。

【画像】「スムリクバボウル」大会会場のクラブやコート、周辺の様子などすべての写真を見る!

大会概要や歴史、場所やアクセスなどの基本情報について


「スムリクバボウル」の開会式の様子

●歴史ある「スムリクバカントリークラブ」
「スムリクバボウル」は、クロアチアのプーラという町にある「スムリクバカントリークラブ」にて行われる。スムリクバカントリークラブに初めてコートが作られたのが1986年。それ以来35年以上にわたってテニス運営されてきた歴史あるクラブだ。

クラブにはクレーコートが3面あり、大会はこの3面のクレーコートを使って行われる。参加者の中には、大会の知名度に比べ比較的小規模なクラブで行われていることに驚く人もいるようだが、伝統のあるクラブで、約30年にわたり世界的な大会を行ってきた歴史の重みを感じる素晴らしいクラブだ。

「スムリクバカントリークラブ」および「スムリクバボウル」の公式ホームページ
https://www.smrikve.com/smrikva-bowl/


クラブの入り口付近

●クロアチアにある町“プーラ”で開催
「スムリクバボウル」はクロアチアのプーラという町で行われる。首都・ザグレブに到着した後、国内線(飛行機)で約1時間、あるいは車で3時間ほどあれば到着する。大会が行われる6月下旬は非常に気候がよく、朝と晩は少し肌寒いこともあるが、昼間はビーチやプールに行って思う存分リゾート気分を味わえる場所だ。

スムリクバカントリークラブからビーチへは車で10分ほど。試合や練習の後にビーチに行く選手も多く、帯同する家族にとっても魅力的な場所だと言えるだろう。


試合や練習の後に海辺で遊ぶ選手たち

●過去の大会にはティエムやアルカラス、デミノーらが出場!
2003年に「スムリクバボウル」に出場したドミニク・ティエム(オーストリア/世界ランキング339位)は優勝、2013年のカルロス・アルカラス(スペイン/同6位)は準優勝だった。また、先月行われた全仏オープンでベスト8となった若手ホープのホルガー・ルーネ(デンマーク/同28位)はベスト8だった。2012年大会に出場したロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同67位)や2009年のアレックス・デミノー(オーストラリア/同26位)はベスト8だった。

一方で、すべてのプロがいい成績を収めたわけではない。2005年の大会に出場した女子のドナ・ベキッチ(クロアチア/同89位)は2回戦で1ゲームも取れずに敗退、ボルナ・チョリッチ(クロアチア/同189位)は3回戦敗退だった。

過去の優勝者を調べてみると、その後必ずしもテニス選手として成功しているとは言えないようだ。とはいえ、多くのプロがこの大会に出場してきたという歴史があるのは間違いない。


クラブ内には過去の参加者たちの写真が飾られている

●大会出場者はアンバサダーとして永遠に記録が残る! 歴史を重んじる大会のカルチャー
「スムリクバボウル」に参加した選手は、アンバサダーとして永遠に記録が残る仕組みになっている。また、大会にエントリーするためには、過去に同大会に参加した人からの推薦状が必要だ(大会への参加方法は下記で詳しく紹介)。このように「スムリクバボウル」は、その都度行われる大会だけでなく、これまでの歴史を非常に大切にしている大会だ。

大会中にさまざまなイベントが行われるが、その中の一つであるくじ引きでは、過去に同大会に参加したことがあるプロ選手のサイン入りボールや帽子などが選手全員分に用意されている。アルカラスやティエムからのギフトもあり、今年の大会で行われたくじ引きは大変盛り上がっていた。

イベント中の様子
イベント中の様子

どうしたら出場できるのか!? 大会への参加資格と応募方法について紹介

●参加資格&応募方法
参加資格としては、その年に10歳になる選手のうち、各国のナショナルランキングにおいて1位あるいは2位の選手という規定がある。また、各地で行われる選考会における優勝者も大会への参加が可能だ。

その他「我こそは!」と思う選手は、自らをエントリーすることも可能。エントリーに必要なものは以下の通り。

(1)アプリケーションフォーム(応募申請書)
(2)ドリームレター(将来の夢について。例えば、どんな選手になりたいか、など)
(3)フォアハンド、バックハンド、スライス、ボレー、サーブ、スマッシュなど基本的なショットと、フットワークを高めるラダードリルを一通り撮影した動画をYouTubeにアップしたリンク
(4)過去にスムリクバボウルに出場したアンバサダーからの推薦状(2通)
(5)モチベーションレター(自己紹介と志望動機が書かれたもの)
(6)ランキングの証明と過去の実績

選考結果は、大会主催者から直接メールで通知される。主催者側は各選手の情報を細かくチェックしているので、申し込みを行う場合は十分な時間の余裕をもって準備したい。実際の今年の開会式では、大会主催者が各選手の情報を暗記し、紹介を行っていた。各選手が重要な選手として招待されたのだと感じさせてくれる素晴らしい試みだ。

●日本では「キッズテニス」が選考会を主催
日本における選考会は「キッズテニス」という団体が主催している。「スムリクバボウル」との信頼関係も深く、選考会において選ばれた者はキッズテニスのキャンプに参加し、コーチ帯同のもと「スムリクバボウル」に参戦することが可能だ。

コーチが帯同することで、現地で行われる試合前後の練習や海外の選手との合同練習も手配してもらうことができる。また「スムリクバボウル」の後も、近隣で行われる大会に毎週参加しながら約1ヵ月間海外でのテニスを経験することができる。

テニス選手を夢見る子どもたちにとって、大会での結果を問わず世界レベルのテニスを早いうちに知ることは大きな意味がある。テニスでプロを目指すなら当然世界で戦わなければならないので、早いうちに海外で外国人相手に試合をする経験を積むことは非常に重要だ。

「キッズテニス」公式ホームページ
https://kids-tennis.com/

くじ引きやオリーブの植樹など大会期間中にはさまざまなイベントが行われる!


選手がもらえる大会のグッズ。写真のものに加えTシャツも用意されていた

開会式や閉会式に加え、大会中は数多くのイベントが用意されている。くじ引きやピザパーティー、近隣の町へのエクスカーション(遠足)など選手や家族が楽しめるアイデアが盛りだくさんだ。中でも、オリーブの木を植樹してオリーブオイルをもらうというイベントは「スムリクバボウル」の伝統的な側面を反映しており、また実際にオリーブオイルは滞在期間中の炊事にも役立つのでありがたかった。


選手に配られるオリーブオイル

試合前後に使える練習コート


早朝のスムリクバカントリークラブ

試合前の練習は、大会会場であるスムリクバカントリークラブで朝6時から行うことができる。使用したい場合は前日までに大会主催者にその旨を伝える。現地で知り合った選手同士が翌日の朝一緒に練習する風景も多く見られた。

近隣にもクレーコートがたくさんあるため、各自で予約することができる。以下の「バルカン・テニスコート(Valkane Tennis courts)」はビーチからも近く、練習後に海で遊ぶことも可能だ。

〈バルカン・テニスコート(Valkane Tennis courts)〉
52100, プーラ, クロアチア
8時から22時まで(※「9時から」と言われる場合もある。コート数が多いので直接行って予約すればOK)


バルカン・テニスコートで練習

以上、前編では、「スムリクバボウル」大会概要や過去に出場したプロ選手、大会会場の「スムリクバカントリークラブ」や大会の出場方法を紹介した。次の後編では、2022年大会で活躍した日本人選手や大会期間中に行われるイベント、周辺のレストラン情報などを紹介する。

〈後編へ続く〉