紫合戦第2章。立大は前日に自力での優勝の可能性が消え、今日敗れると完全に優勝の望みが絶たれる一戦となった。今季追い込まれた状況でこそチームを一つにし、真価を発揮してきた立大ナイン。1回戦で2安打零封負けと不発に終わった打線が、逆境に立たされ…

紫合戦第2章。立大は前日に自力での優勝の可能性が消え、今日敗れると完全に優勝の望みが絶たれる一戦となった。今季追い込まれた状況でこそチームを一つにし、真価を発揮してきた立大ナイン。1回戦で2安打零封負けと不発に終わった打線が、逆境に立たされた状況で「剹力同心」の力を見せてくれた。前日のうっぷんを晴らすかのように打線が爆発し、優勝への望みをつなぐ1勝を手にした。

2本塁打を放った山根

この男はやはり神がかっていた。3回表1点を先制し、なおも2死一、二塁で打席に立ったのは5番山根(営4=浦和学院)。「真っすぐだけを狙っていた。打った瞬間いったと思いました」。 カウント2-2と追い込まれてからの6球目。明大の先発入江(1年=作新学院)が投じた真ん中のストレートを完璧に捉えた打球は、左翼席中段へと突き刺さった。リードを4点に広げる3ラン本塁打は、試合を決定づける一発となった。背番号1のバットの勢いは留まるところを知らない。明大の2番手、齊藤(4年=桐蔭学園)を打ちあぐね、試合がこう着しつつあった8回にまたしても左翼席中段に放り込む。こちらも打った瞬間にスタンドインを確信する当たりであった。今日2本目の本塁打に、スタンドの立大ファンは総立ちで出迎える。逆転本塁打を放った慶大戦後、「優勝がかかった打席で打てるようにしたい」と語っていた山根。優勝の行方を左右する一戦で放った2本の本塁打について、「本当に嬉しいです。有言実行になりましたね」と満面の笑みを浮かべた。だが、今日の主役はこの男だけではない。

投の主役となったのは手塚(コ2=福島)。「打者一人一人にしっかり投げ切れた」と振り返るように、無我夢中に腕を振り、今季一の快投を見せる。彼の魅力がつまった投球であった。最速145㌔の直球に加え、スライダーとチェンジアップをコーナーに決めていく。8イニングを投げ四死球は1つもなく、三者凡退は6度。三者連続三振を奪うなど奪三振ショーも披露し、8個の三振に切って取る。4回に一発を浴びた以外はほぼパーフェクトといっていい内容で、明大打線をテンポよく抑えていった。打撃でも自らを援護し、2安打1打点を記録するなど投打両面で存在感を示した。

手塚はピンチを抑え、捕手の藤野とハイタッチ

立大は、最終回にもすさまじい攻撃を見せる。先頭の熊谷(コ4=仙台育英)が今日2本目の安打を放つと、今日3つめの盗塁も決めた。「次の塁次の塁というのをいつも心がけている」。 今季8個目はリーグトップ。主将の足で作った好機で、藤野(営2=川越東)が2点右前適時打を放つなど一気に3得点を奪った。最後は守護神・中川(コ1=桐光学園)が3人できっちりと締め、試合終了。攻守ともに、盤石の展開で立大が圧倒的勝利を収めた。

今季全勝と、絶対的な強さを見せる2回戦でまたしても立大が勝利を掴んだ。13安打9得点を奪った打撃陣と先発が試合を作り守護神が締めた投手陣。投打が見事にかみ合い、優勝への望みをつないだ。「優勝はかかっていますが、明治に勝ちたい気持ちが強い」と山根は気を引き締める。これまで何度もリーグ制覇を阻まれてきた明大から、勝ち点を奪うこと。それは選手たちにとっては、かけがえのない大きなものである。明日も必ず勝利を手にし、栄光へとまた一歩近づいていくはずだ。

(5月21日 渡邉紘也)

◆コメント◆
今日2安打の主将・熊谷#10

「なんとか先制して、そこから流れも作れましたし、まずは勝てたことで優勝に望みを繋げてよかったです。昨日打てなくてチーム全体として、なんとか打てるようにという気持ちの切り替えと、今までキャプテンとして何もしてこなかったのでこういう大事な試合に少しでも貢献できて僕個人としては嬉しいです。ヒットを打ったらみんなで喜んだり、点入ったらみんなで喜んだりできているので雰囲気としてはすごく良いので、昨日負けてからでも全然暗い雰囲気は出なかったので良かったかなと思います。チームで勝ちたいという気持ちの方が強かったですし、今日の打撃はみんなのことを考えて打てた打撃だったかなと思います。(-盗塁数リーグトップだが)やっぱ自分が一塁にいても何も始まらないので、次の塁次の塁というのをいつも心がけてやっていますし、本当に今日も盗塁を3つできたというのが自分として去年の秋よりも成長したなって思います。」
2本塁打4打点と大活躍の山根#1
「2本のホームランは素直に嬉しいです。1本目は前の打席ではチャンスで抑えられたので、次はちゃんとランナーを返す強い気持ちで打ちにいきました。2本目は0点が続いて、次の1点を取った方に流れが行くと思っていました。あれはホームランを打とうというわけではなくてとにかく塁に出ようと思って打ちにいったのが結果的にホームランになったのでよかったです。2本とも、打った瞬間いくと思いました。(-今シーズン、良い場面で打っている要因)なにも考えていないのが要因だと思います。変にプレッシャーに感じていないというか、良いバッターがいるので自分が打たなくても他の選手が返してくれるという気持ちでいけているのが良いと思います(-ストレートは狙っていた?)そうですね、ストレートを狙って打ちました。今季の今までのホームランの中で、今日のホームランが一番大きかったです。明日は明治も死に物狂いで来ると思うので、明日の明治の投手からも打たないといけないので、明日もしっかり打ちたいです。」

今季3勝目を挙げた手塚#19

 「うれしい気持ちも大きいですけど、明日勝たなければ意味がないので、切り替えて準備していきたいです。打者一人一人にしっかり投げ切れたかなと思います。(田中)誠也が昨日頑張って投げてくれたので、中々結果が結びつかない中で、「明日の準備をしとくから」と言われたので、集中してマウンドに上がりました。(-今シーズンは初戦を落とした中でのマウンドが多い)どの試合も自分だけではないですし、しっかり打線が点取ってくれていい流れを作ってくれているので、良いピッチングをすることは当たり前だと捉えています。プレッシャーよりも勝ちたい気持ちが強いので、それが空回りせず落ち着いていけているとは思います。連投ですが特に疲れは感じていませんね。明日勝たないと今までやってきたことの意味がないですし、優勝しないと恩返しができないので、先は見ずに明日の1試合をしっかり戦っていきたいです。」

2点適時打を放った藤野#27

「今日負けたら本当に優勝がなくなるという中で、昨日完封で負けた明大に、完全な立大ペースで勝利できたことは本当にうれしいし、大きいと思います。結果的には3失点でしたが、投手は3失点でまとめてくれたというか、よく投げてくれたと思います。(-バッテリーで今日に向けて話したことはあるか)バッターの特徴だとか、配球についてだとか、本当に気持ちで投げるということを話しました。手塚は本当によく投げてくれましたし、同級生としても本当に誇らしいです。昨日のチャンスで三振してしまった打席は力んで固くなってしまった部分があって昨日はそこからおかしくなってしまったのですが、でも調子は良かったので原点に返ってコンパクトに打つことを考えて打席に立ったことが2安打につながったと思います。1戦目は自分で決めてやろうという気持ちが出てしまったのですが、今は打線も調子が良いですし、後ろの打者を信じて、チームバッティングをしたいなと思います。」