ロッテに3連敗、借金14明確な狙いと機能した部分■ロッテ 4ー2 日本ハム(19日・札幌ドーム) 日本ハムは19日、札幌…
ロッテに3連敗、借金14…明確な狙いと機能した部分
■ロッテ 4ー2 日本ハム(19日・札幌ドーム)
日本ハムは19日、札幌ドームで行われたロッテ戦に2-4で敗れこのカード3連敗、借金は今季最多に並ぶ「14」にふくれ上がった。初回に失った3点が重くのしかかり、最後まで追いつけない展開。ただ新庄剛志監督は先発に4人もの帝京高出身者を置き、ある「願い」を込めていた。想定通りの機能はしたものの勝ちには届かず、さらに手を打ち続ける。
結果が出なければ、動く。新庄監督は試合前、自ら打線の大幅変更を明かした。18日と打順が変わらなかった選手は清宮、野村の3、4番だけ。「単打で点を取る。確実に二塁に送って、1本で点を取る打線」と意図も明確に説明した。今季の日本ハムは、リーグトップのチーム本塁打52本を記録するなど“大型化”している。ただこの日は、狙って1点を重ねることにこだわった。
目立ったのは、帝京高(東京)出身の選手を4人、スタメンに並べたことだ。「1番・中堅」に今季絶好調の松本剛外野手、「2番・捕手」に石川亮捕手、「7番・二塁」に杉谷拳士内野手、「8番・左翼」に郡拓也捕手を配した。
杉谷を9日のDeNA戦以来となるスタメン起用した狙いも明快だ。指揮官は前日、代打で中飛に終わり最後の打者となった打席を引き合いに「タイミングが合わないと、あんなに高いフライは上がらない。きょうはちょっと期待して杉谷君をグラウンドに立たせようかなと」と説明した。
いきなり追いかける試合展開になったのは想定外だっただろうが、この“帝京打線”はしっかり機能した。3回に先頭の中島が左前打、松本剛の犠打で1死二塁とし、石川亮が中前にゴロで抜けるしぶとい適時打を放った。4回には2死二塁から杉谷が中前打を放ち、二走の野村が本塁突入、高部からの好返球でアウトとなった。必死につないで点にしようとする、まさに高校野球のようなプレーが続いた。
2安打の石川亮「前田監督も喜んでくれているんじゃないか」
日本ハムは帝京高と縁の深いチームだ。古くは芝草宇宙投手を獲得。常総学院高(茨城)からやってきた島田直也投手との「SSコンビ」として人気を集めた後、息の長い中継ぎ投手となった。俊足強打とともに、数々のパフォーマンスでもスタンドを沸かせた森本稀哲外野手もいた。それでも、同じ高校の出身者が4人もスタメンに並ぶことは珍しい。
今季初の2安打を放った石川亮は「(松本)剛さんとか(杉谷)拳士さんは1軍の経験が長い。僕は浅い方だと思っていて、郡もまだまだこれから。4人とも違う立場の中で、試合が終わった時にスコアボードに4人というのなら可能性は高かったかもしれませんけど、スタメンで4人出るというのはすごく前田監督も喜んでくれているんじゃないかと思う」と、4人を育て上げた帝京高の前田三夫・名誉監督の心中を想像した。
就任会見で新庄監督は「優勝なんか狙いません」と発言し、様々な意味でメディアに取り上げられた。ただ実際に勝てないとなれば、あらゆる手を打とうとするのが指揮官だ。若手ばかりのチームはまさに転換期にある。様々な“勝ち方”を模索し、選手の体に染み込ませていくことが、未来の常勝軍団を築くためにも必要だ。
思いは、選手に届いている。石川亮は捕手には珍しい、2番打者で起用された意味を理解しようと務めた。「(前に出塁率の高い松本)剛さんがいて、僕がいて、長打力のある清宮がいるというのは、僕の仕事は必然的にわかっている」。自分の仕事を果たすため、バットも少し短く持った。「コンパクトに振っている結果、1打席目、2打席目といいところに飛んだ。続けてみようかなという材料にはなりました」。自分の役割を認識してのプレーを、できるようになってきている。
21日から秋田、盛岡と続く楽天戦に向け「ドーム球場から地方球場になるので、流れも変わるでしょう」と報道陣に伝言を残した新庄監督。何度も口にした「可愛い選手たち」に大暴れしてもらうべく、試行錯誤が続く。(羽鳥慶太 / Keita Hatori)