6.12埼玉CyberFight Festival 2022でDDTプロレスのEruptionと対抗戦。7.10大田区総合体育館「WRESTLE SEKIGAHARA」でスターダム所属のウナギ・サヤカとシングル対決に臨むまなせゆうな。現在は…

6.12埼玉CyberFight Festival 2022でDDTプロレスのEruptionと対抗戦。7.10大田区総合体育館「WRESTLE SEKIGAHARA」でスターダム所属のウナギ・サヤカとシングル対決に臨むまなせゆうな。現在はガンバレ☆プロレスの女子レスラーのエースに君臨している。

<(2)はこちら>

■プリンセスカップ準優勝とシングル初戴冠

――自分を追い込んだ上でのプリンセスカップ出場だったのですね。

まなせ:それまでのプリンセスカップは全て1回戦敗退でした。いつも「誰かがのし上がるための踏み台でいい」と思っていた。でも今成さんやぽちゃ女を見てくれたファンの中に「まなせゆうな」を応援してくれる人がいた。その人たちに何も返せていない。だから「2019年のプリンセスカップで私を見せたい」と。結果的に準優勝でしたけど一つのキッカケになりました。

――その後、2019年9月に万喜なつみ(現:なつぽい)選手の持つインターナショナル・プリンセス王座に挑み勝利、王者になりましたね。

まなせ:それまでベルト戦線にほとんど絡んでこなかった。久々のタイトル戦がアクトレス・ガールズのデビュー戦の相⼿なっちゃんでした。ネック・スクリューという技は今も使ってますが、これは⾝体が⼩さい⼈でも⼤きい⼈に対して掛けることができる技で「⼩さいなっちゃんが⼤きな⼈に勝ってほしい」と思い、彼⼥に渡しました。その技を今でもなっちゃんは使ってくれている。⾃分の⼤切な技を渡すくらい、なっちゃんは私の中で特別な存在なんです。

そんな彼⼥にケガ(右内側側副靭帯の損傷)をさせてしまった。「チャンピオンに勝って獲得したベルト」というよりは「⼤切ななっちゃんにケガを負わせて獲得したベルト」と思っていたので、ベルトを腰に巻くことはできませんでしたね。

――故意でないにせよ、万喜なつみ選手を負傷させたことはショックでしたね。

まなせ:プロレスを続けるかどうか迷いました。でもここで辞めるのはチャンピオンとして許されることではない。この時に支えてくれたのが東京女子の選手でした。レスラーはみんなケガのリスクを理解しリングに立っています。

なっちゃんとのタイトルマッチから1週間後の大会が板橋グリーンホール。メインの6人タッグマッチに出場したけど、私はその試合の記憶がない。後日レッスル・ユニバースで確認したら必死の形相で戦っていました。そんな私をタッグパートナーの天満のどかちゃんと愛野ユキが支えてくれました。チャンピオンが支えてもらうのもどうかと(苦笑)。それが初めてのシングルチャンピオンになった時の印象ですね。チャンピオンは過去のことも現在のことも背負わないといけない。だからベルトって重いんです。

――その時期はリングに上がるのも辛かったのですね。

まなせ:試合だけじゃなく練習も辛かった。でもそれすらもプラスに変わるしストーリーにもなるところがプロレスのスゴさ。

インターナショナル・プリンセス王座は1度も腰に巻かなかったけど、今年5月に獲得したアイスリボンのインターナショナル・リボンタッグ王座のベルトは巻きました。だからデビューして8年目でやっとベルトを巻けましたね(苦笑)。

■東京女子参戦終了とガンプロ入団

――2020年7月23日に東京女子プロレスのレギュラー参戦を終了し7月26日にガンバレ☆プロレスに入団しましたね。

まなせ:本来の自分はガンプロで戦っている現在のまなせゆうなです。でもなっちゃんにケガをさせたことで「ぽちゃ女」以前の「東京女子にいても何もできないのではないか」という感情が蘇ってきました。

私は東京女子が大好きです。だからこそ「大好きな東京女子に溶け込もう」「東京女子の一員になろう」とした結果、なにも無くなっていた。年齢が30歳を過ぎたこともあり色々と思うこともありました。30歳って人生で一区切りじゃないですか(苦笑)。

そんな時、東京女子の現場にガンプロの翔太さんが来てくれました。私は翔太さんに技の相談をしていました。東京女子のプロレスの特徴の一つに素早さがあります。でも私にはできない。翔太さんは「身体が大きいなら大きいなりのプロレスもあるよ」とアドバイスしてくれました。彼は様々な団体に上がり、いろいろなプロレスを見ている。私は東京女子の枠にハマろうとしていた。遡ればデビューはスターダムだし、次はアクトレス・ガールズ。でもプロレスの枠はそれだけではない。

翔太さんは「もしレスラー『まなせゆうな』が終わりを迎えるのであれば、もっとすっきりとした形で終わらなければいけないのでないか。可能性があるのに今の状態で辞めてしまうのはもったいない」と言ってくれました。

そこで「ラストラン」を考えた時、東京女子を離れる決意をしました。「今の私は東京女子に『ただいるだけ』のレスラーになってしまう。レスラーとしての価値がない」と。

それと翔太さんの「プロレスは広いんだよ」という言葉を聞いて大好きな東京女子をでて、もうひとあがきしてみようと思いレギュラー参戦を終了しました。

その発表の後、1番最初に声を掛けてくれたのがガンプロ。2番目がスターダムでした。スターダムは東京女子参戦終了を発表した日に連絡をくれました。「こういう試合があるけどどう?」と。スターダム代表のロッシー小川さんは離れていても私を気にかけてくれる。結果的にガンプロを選んだけど、小川さんのことは大好きだし尊敬しています。

大家さんがシューズを貸してくれたことや、今成さんが私のことを考えて「ぽっちゃり女子」を開催してくれたこと。そしてプロレスの幅を教えてくれた翔太さんがガンプロにはいる。だから大家さんに「まなせさん、定期参戦してよ」と言われた時、「そんなんじゃ嫌だ、私はガンプロの一員で家族になりたい」という言葉がでました。

あとで聞いた話ですが会社の上の方々は大騒ぎだったらしいんですよ。だって定期参戦でオファー出しているのに、私が所属になりたいと言い出して、大家さんがOKって言っちゃうから(苦笑)。でも自分の選択に後悔はないです。

ガンプロにとって大家さんと今成さんという存在は大きい。あの2人は自己主張も激しいけど、相手の意見も全て受け入れるんですよ。ガンブロの団体の方針やカラーはキッチリしているけど、大家さんと今成さんは自分のやりたいことが大切。だからこそ私たちの意見ややりたいことも全て汲み取ってくれる。

私は「ガンプロの家族になりたい」と言ったけど、大家さんは地球上の全ての人が仲間だと思っている。生きている人間全てがガンプロだと思い込んでいます(笑)。

正直、ガンプロに入るまでガンプロのことは分かっていなかった。だからガンプロ参戦が決まったあと、ガンプロの試合を見たんです。石井慧介さんの地元埼玉での試合を見て泣きましたね。あの頃の私は病んでいたんだと思います。その試合、石井さんが大家さんに路上でDDTをしてアスファルトに頭を打ちつけたんですよ(笑)。でもそれを見て「プロレスってこんなに自由なんだ」って気づきました。

――アスファルトに頭を打ちつけるのは鍛え上げられたレスラーだからできることですね(苦笑)。

まなせ:私が「こうしなければいけない。東京女子プロレスらしい試合をしなければいけない」といった考えを超越しましたね。でもみんな幸せそうなんです。だから「私も幸せになるため、最後にプロレスを頑張ってみたい」と考えた時、一緒にいるのがガンプロの人がいいなって思いましたね。

まなせ:私が「こうしなければいけない。東京女子プロレスらしい試合をしなければいけない」といった考えを超越しましたね。でもみんな幸せそうなんです。だから「私も幸せになるため、最後にプロレスを頑張ってみたい」と考えた時、一緒にいるのがガンプロの人がいいなって思いましたね。

<(4)につづく>

<インフォメーション>
6.12さいたまスーパーアリーナ「CYBER FIGHT FESTIVAL 2022」にて坂口征夫・赤井沙希・岡谷秀樹vs大家健・まなせゆうな・渡瀬瑞基が行われます。
また7.10大田区総合体育館でガンバレ☆プロレス最大のイベント「WRESTLE SEKIGAHARA」にて、まなせゆうなvsウナギ・サヤカ(スターダム所属)が行われます。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください!
試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで配信されます。

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取材・文・編集/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング