「6.7」井上尚弥VSドネア、再戦へ両者が会見 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、6月7日にさいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)と3団体王座統一戦(Amazon プ…

「6.7」井上尚弥VSドネア、再戦へ両者が会見

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、6月7日にさいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)と3団体王座統一戦(Amazon プライム・ビデオで独占生配信)を行う。3日は神奈川・横浜市内のホテルで会見。両雄が対面を果たした一方、ほとんど目を合わすことはなく、握手は一度もなかった。戦績は29歳の井上が22勝(19KO)、39歳のドネアが42勝(28KO)6敗。

 午後0時30分、目を合わせたのはファーストコンタクトだけだった。先に壇上で着席したのはドネア。マスクを外し、待機していたところに井上が現れた。ドネアは挨拶のタイミングを計るようにチラチラと対戦相手の方向を見る。目が合った瞬間、互いに軽く会釈した。しかし、ともに歩み寄ることはなく、井上も着席。コロナ禍の影響を懸念した可能性もあるが、握手も交わさなかった。

 2019年11月7日のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝以来の再戦。当時は井上が判定勝ちし、多くの海外メディアから「年間最高試合」に選ばれた。井上は昨年6月に米ラスベガスで防衛戦を行い、視察に訪れていたドネアと対面。固い握手を交わすなど、リスペクトし合う両者の関係性はファンにも大いに知られている。

 第1戦の3日前、ドネアはカメラを向けられると、映画監督のように「3、2、1、アクション!」と言いながら手を叩くなど、冗談めかしていた。井上の予備検診中には、背後でVサインを作ってフラッシュを浴び、余裕たっぷり。関係者と笑顔で握手を交わし、リラックスムードだった。

 しかし、この日は正反対。敬意があるとはいえ、直接殴り合う試合の直前期間に仲良しこよし交流するわけではない。緊張感が漂っていた。

ドネアが見せた不敵な笑み「1戦目の直後から私の心に火が付いた」

 2人が目標に掲げるのは、ボクシング界主要4団体の統一。井上が「その目標に向けて通過点にしかすぎない一戦だと思う」と言い切った一方、ドネアは「これこそが私のキャリア最大の一戦になる。これに勝って、まだ達成していない4団体統一王者に近づける」と位置づけた。

 5階級を制した39歳のレジェンド。質問に対し、終始眉間にシワを寄せた渋い表情で回答した。豊富な経験値は世界屈指のものだが、言葉がこの試合の重み、懸ける想いの大きさを示していた。

「今は興奮しています。彼(井上)がどれだけ素晴らしい選手か知っているのは、当日に向けて有利になる。互いに最強を目指しているので、(第1戦から)気持ちに変化はある。私はモチベーションと集中力、イノウエに勝つという目標があるので気持ちは変わる。

 あの1戦目の直後から私の中の心に火が付いた。負けたけど、ベストの状態ではなかったという気持ちが残ってしまったから付いた炎。この試合が決まったので1戦目よりモチベーションが高いし、自信も大きい」

 写真撮影では、互いに睨み合う恒例のフェイスオフもなし。会見を終えると、ドネアは報道陣に大きく手を振りながら退場した。わずかに見せた不敵な笑み。ピリピリしているのか、実は精神的な余裕を持ち合わせているのか。真意はリングで明らかになる。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)