グランドスラム初優勝を果たした柴原瑛菜現地6月2日、「全仏オープン」混合ダブルス決勝、第2シードの柴原瑛菜(橋本総業HD/女子ダブルス世界ランク8位)/ウェズレイ・クールホフ(オランダ/男子同11位…

グランドスラム初優勝を果たした柴原瑛菜

現地6月2日、「全仏オープン」混合ダブルス決勝、第2シードの柴原瑛菜(橋本総業HD/女子ダブルス世界ランク8位)/ウェズレイ・クールホフ(オランダ/男子同11位)は、ウルリッケ・エイケリ(ノルウェー/女子同43位)/ヨラン・フリーゲン(ベルギー/男子同50位)を 7-6(4)、6-2で下してグランドスラム初優勝。優勝会見では「グランドスラムのタイトルを獲るなんて、夢のようです。だから、まだ実感がわきませんね(笑)」と語った。

【写真15点】“グランドスラム優勝の快挙” 柴原瑛菜/クールホフ決勝写真館

記者会見の中で、外国人記者に“今回の優勝がどれだけ特別なことなのか?”と聞かれた柴原は、「私は5人家族で育って、みんなでテニスをするようになって、いつもミックスダブルスをプレーして。そうやってテニスを始めたんです。だから、ミックスダブルスに優勝できたのは特別なことでした」とミックスダブルスは、家族としての思い出があるミックスダブルスの優勝は特別と回答。さらにマッチポイントでのサービスエースについて「すごい感動とうれしさを感じて、信じられない気分でした。今日のファーストサーブの成功率が低かったので、コースを決めて狙いました」と語っている。

おもしろいのは、今回、クールホフがインスタグラムのDMで柴原に組まないかと誘ったという点。柴原は、クールホフをフォローしていなかったため、DMがすぐ見つからずというトラブルがあったのだという。

クールホフは柴原を誘った理由として、「グランドスラムなどで何度かプレーを見ていたので、きっと合うだろうと思っていました。だからお願いしたんです」と柴原のプレーに惚れてオファーを出したと答えている。

※混合ダブルスでの日本勢のグランドスラム優勝は、1999年USオープンの杉山愛/マヘシュ・ブパシ以来。全仏オープンでは1997年の平木理化/ブパシ以来、25年ぶり

以下は、会見での一問一答である。


Q.グランドスラム初優勝、おめでとうございます。

柴原「今日の優勝はとてもうれしいです。グランドスラムのタイトルを獲るなんて、夢のようです。だから、まだ実感がわきませんね(笑) でも本当にうれしいです」

クールホフ「キャリア初のミックスダブルス決勝でした。グランドスラムの決勝は、数年前(2020年)のUSオープン男子ダブルスで負けて以来。だから初優勝、エナ(柴原)と戦ってやっとトロフィーを手にできました。この2週間、いい時間でした。我々は、とてもいいテニスができたと思う。セットを失ったのも1回戦だけだしね。その後はずっと好調なままで優勝できました」


チャンピオンシップ・ポイントは
「かなり楽しめました」(柴原)

Q. ウェズレイ、第1セットは難しい展開でしたね。

クールホフ「立ち上がりは調子良く、あっという間に5-2となり、気持ち良くリードしていました。しかし、その後、それを手放しました。5-4でひどいサービスゲームをやってしまって、勢いを少し失ったんです。タイブレークで2-5、4-5となって、ヨラン(フリーゲン)がサービス。決していい状態ではありませんでした。でも、何とか2ポイントを取って、第1セットを奪取できた。第2セットは、もっとよかったと思う。戦術的に少し調整したんだ。特にサーブが良くなっていましたね。5-2となったあと、エナ(柴原)がサーブはこう打つのよって教えてくれました(笑)」

Q.サービング・ザ・チャンピオンシップの時の緊張感や心境はどうでしたか?

柴原「かなり楽しめました。でも、最初はファーストサーブが入らなくて、デュース側でポイントを取るのが大変でした。ただ、30-30になってからは自信が持てて、マッチポイントにも臨めました」

Q.今大会で初めてペアとなりましたが、いかがでしたか?

クールホフ「さっきも言ったけど、1試合目はちょっと不安定でした。その後、私たちはとてもいいプレーをしてきました。2人とも、ベースラインからだけでなく、もっと下がってもプレーできるし、ネットプレーも得意。通常、女性のサーブはブレークされやすいですが、エナはサーブがうまいので良かったです。エナ、今日はブレークされたっけ?」

柴原「いいえ、ブレークされてませんよ」

クールホフ「されてない? 覚えていないや」

柴原「されてないと思います(笑)」

クールホフ「それが私たちのサービスゲームの強さの一部だと思うんです。リターンも非常にいい。キックサーブも効果的で助けになることもあります。だから、この14日間で、私たちは力を合わせて、とてもうまくいったと思います」

Q. 今回の優勝は特別なものでしょうか?

柴原「はい、とても特別なことです。私は5人家族で育って、みんなでテニスをするようになって、いつもミックスダブルスをプレーして。そうやってテニスを始めたんです。だから、ミックスダブルスに優勝できたのは特別なことでした」

クールホフ「私も特別です。これまでの最高の瞬間は、2020年のNitto ATPファイナルズでニコラ・メクティッチ(クロアチア/同ダブルス6位)と優勝したことでした。今回もとてもいい結果です。グランドスラム・タイトルなので、その優勝に匹敵するものです」

Q.この優勝は、どうお祝いしますか?

クールホフ「いい質問ですね、まだ話し合っていないけど、お酒を飲むかどうかはわかりませんね(笑) いや、実は数時間後に自動車で帰るので飲めないんです。ガールフレンドが運転してくれるかもしれないけど。これから食事をして、少し話し合って、少しお祝いすると思います」

Q. 柴原さんに、インスタグラムのDMでペアを持ちかけたそうですが、今後もペアを続けるのか教えてください。

クールホフ「返事をもらうのに少し時間がかかりましたが、彼女は『イエス』と言ってくれました。グランドスラムなどで何度かプレーを見ていたので、きっと合うだろうと思っていました。だからお願いしたんです。今後については、話し合って決めたいと思います」

Q.なぜ柴原さんと組みたいと思ったのですか?

クールホフ「プレーをよく知っていたからです。とてもパワフルで、ベースラインからのプレーがとてもうまくて、ネットプレーも上手。そしてサーブも素晴らしい。サーブは、ミックスダブルスではとても大事です。何より、そのパワフルな感じが気に入りました。一緒にプレーして、とても良いなと思ったし、この14日間、すべてをうまく組み合わせて、最終的に良い結果を出せたんだと思います」

Q.タイブレーク4-5で、バックハンドのリターンエースを打ったことを憶えていますか?

クールホフ「とてもいい気分でした。サーブが少し遅くて、逆クロスを狙ったけど、ラインぎりぎりになりました。その前に、エナが素晴らしいショットを打ってくれたので、彼女に『よし、私もここで入れなきゃ』と言ったら、幸運にもいいリターンが打てました」


優勝が決まった瞬間は「すごい感動と
うれしさを感じて、信じられない気分でした」

Q.優勝が決まった瞬間の感情と今後のテニス人生にとって、今日の優勝の意味を教えてください。

柴原「マッチポイントでエースを取った時にはすごい感動とうれしさを感じて、信じられない気分でした。今日のファーストサーブの成功率が低かったので、コースを決めてエースを狙いました。今日の優勝は、私にとっては特別なことで、今後、ダブルスもシングルスもこの経験のおかげで自信が持てると思います」

Q.シングルスも挑戦を始めたことでサーブが良くなったということもありますか? それと、前衛の動きが良くなったということについて教えてください。

柴原「はい。あります。シングルスをやっていて、サーブを打つ回数が多くなったので、そのおかげで少し良くなったかなと思います。それと青山(修子/近藤乳業/ダブルス同9位)さんと組んでいた時は、青山さんがいっぱい前で動いてくれて、その時は私は後ろで頑張らないといけないと思っていましたが、あまり、青山さんみたいに動ける選手はいないので。今回、エイジア(ムハンマド/アメリカ/同38位)選手と組んでみて、彼女がストロークが強いので、私が前で青山さんみたいに頑張ろうと思ってやっていました」

Q.サーブを改善してきたと伺いましたが、どういうところを変えたんでしょうか。また、クールホフのDMの返事に2日かかった理由を教えてください。

柴原「(笑) サーブに関しては、もうちょっとトレーニングをやってきたし、シングルスをもう少し打たないといけないので、フィジカルを鍛えてきて、その結果でダブルスでも良いサーブを出せるようになったかなと思います。返事については、インスタグラムはフォローしていないと、すぐ見られない場所に入ってしまうし、あまりチェックしていないので(笑) 見つけてすぐ返事しました」

Q.第1セット、フリーゲン選手のサーブでポイントを取れてなかったけど、タイブレークで攻略できた理由はありますか?

柴原「良いサーブで、レフティーなのでワイドとセンターをケアしていたんですが、バウンドもけっこう高かったので、いろいろなポジションをトライしながら頑張って返すようにしました。少し慣れたら、タイミングも合ったかなと思って、苦しいところろかに、リターンを返せてポイントにつながったので、そこはよかったと思います」

Q.クールホフ選手のインスタグラムは、もうフォローしていますか?

柴原「はい(笑) フォローしました」

Q.ウィンブルドンはペアを組みますか?

柴原「組みたいんですけど、男子ダブルスは5セットなので、(体力的に)難しいかなと思います。去年も(マクラクラン)勉さんと組もうと思っていたけど、長い5セットになってしまって(不戦敗になった)。もし組んでくれたらすごくうれしいんですけど、USオープンもあるかなと思います(笑)」


■全仏オープン2022
日程/2022年5月22日(日)〜6月5日(日)
開催地/フランス・パリ:ローランギャロス
賞金総額/4,360万ユーロ(約59億円)
男女シングルス優勝賞金/220万ユーロ(約3億円)
サーフェス/クレーコート

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