プレーはできなくても、優勝の立役者だ。明大は23日、東京六大学野球春季リーグの立大3回戦で延長11回の末にサヨナラ勝ち…
プレーはできなくても、優勝の立役者だ。明大は23日、東京六大学野球春季リーグの立大3回戦で延長11回の末にサヨナラ勝ち。2019年春以来となる6季ぶり41度目の優勝を決めた。怪我の影響もあり今季満足にプレーできなかった主将の村松開人内野手(4年)は喜びを噛みしめる。「出ているメンバー、出ていないメンバーも全員で優勝に向かって頑張っていた。いい結果になってうれしいです」。そう言うと、ベンチを外れたメンバーたちもいる一塁側のスタンドから大きな歓声が上がった。
春季リーグ前の2月に右膝を手術。開幕には間に合わず、ベンチからチームを鼓舞した。率先して声を出し、選手が守備位置についてボール回しを行っている間は、1人ベンチの前に出て声をかけた。まだ本調子ではないが、5月17日の明大3回戦で代打として復帰。この日も延長10回2死一塁の場面で代打として登場した。名前がアナウンスされると、一塁側スタンドからは大きな拍手が起きる。結果は敬遠となったが、主将の存在感は球場の雰囲気を変えた。

今季の明大は“粘りの野球”で戦い抜いた。法大、慶大戦では黒星スタートも、勝ち点は渡さなかった。負ければ勝ち点を献上する法大2回戦では、2点ビハインドの9回2死から同点とし、優勝をかけた立大1回戦でも9回に追いついて引き分けに持ち込んだ。この日も延長11回の末に犠飛で優勝を決める1点をもぎ取った。
村松は「明治は元気と粘り」だと語る。「野球以外の、私生活の行動も野球に繋がってくる。常日頃から選手間で声を掛け合って、指摘し合ってやっているのは明治の良い伝統だと思います。森下(暢仁・現広島)さんを中心に先輩方の姿を見てきているので、その印象は強いです」。島岡吉郎元監督が掲げた“人間力野球”という伝統は、現在の田中武宏監督をはじめとする指導者からはもちろん、先輩からも受け継がれてきた。

2019年春以来の優勝を掴むために、歴史あるチームの伝統にメスを入れたことも。昨秋に新チームが始動し、勝ちきれない試合が続いた。そんな中、村松を中心とした4年生が“改革”に着手。「野球の技術もそうですし、私生活も見直して、どうあるべきかというのを4年生を中心に考えました」。これまで伝統的に下級生がやってきた道具の準備を4年生が率先して請け負った。
「自分たちが普段の生活に一番慣れている。『下級生に余裕を持って野球をしてもらえるような環境を作ろう』と話して、4年生も協力してくれた」
その効果もあってか、今季は宗山塁内野手(2年)、上田希由翔内野手(3年)が打線を引っ張り、投げては蒔田稔投手(3年)が4勝、村田賢一投手(3年)が5勝を挙げるなど、“下級生”は神宮で伸び伸びとプレーした。
田中監督も「道具を出したり、しまったりするのを下級生がやるのを(4年生が)自分たちからやりたいと。非常にいい改革」。いい意味で伝統を破った4年生の行動に感服した。この日の試合を決めたのは最上級生の蓑尾海斗捕手。「最後は4年生がちゃんと決めてくれていい形で終われた」と喜んだ。
伝統と革新の共存で春を制した明大。主将は「リーグ戦はまだ通過点。全日本でも明治らしい野球ができればと思います」と先を見る。全国の舞台も、粘りの野球で駆け上がってみせる。
(Full-Count 上野明洸)