5月1日、阪神競馬場で4歳以上馬によるGⅠ天皇賞・春(芝3200m)が行なわれる。 今年は昨年の2着馬ディープボンド、…

 5月1日、阪神競馬場で4歳以上馬によるGⅠ天皇賞・春(芝3200m)が行なわれる。

 今年は昨年の2着馬ディープボンド、昨年の菊花賞馬タイトルホルダーが人気を集めそうだが、GⅢダイヤモンドSなどを4連勝中のテーオーロイヤルといった上がり馬もおり、ハイレベルな争いが期待される。今回もこのレースを血統的視点から分析していこう。



2020年の七夕賞以来となる勝利を目指すクレッシェンドラヴ

 天皇賞・春の大きな血統的傾向として、「ミスタープロスペクターが未勝利」がある。日本ではサウスヴィグラスやスウェプトオーヴァーボードなどのフォーティナイナー系、キングカメハメハやエルコンドルパサーなどのキングマンボ系が発展しているこの父系。3000mの菊花賞ではソングオブウインド(父エルコンドルパサー)、キセキ(父ルーラーシップ)が勝っていて、3600mのGⅡステイヤーズSも昨年のディバインフォース(父ワークフォース)が勝利するなど長距離重賞でも実績を残しているが、なぜかこのレースだけはなかなか勝てないでいる。今回の有力馬の1頭であるタイトルホルダー(ドゥラメンテ産駒)もこの傾向に当てはまるが、血統から占う上では無視できないデータだ。

 一方、このレースに強い血統がステイゴールドだ。過去21戦して4勝、2着1回、3着2回で勝率19.0%、連対率23.8%という高い数字が残っている。勝利しているのは2013年2番人気、2014年4番人気のフェノーメノ、2015年2番人気のゴールドシップ、2018年2番人気のレインボーラインと人気どころが多かったが、2019年8番人気3着のパフォーマプロミス、2020年11番人気2着のスティッフェリオと、人気薄の馬も好走している。

 今回、ステイゴールド産駒の穴候補として挙げたいのがクレッシェンドラヴ(牡8歳、美浦・林徹厩舎)だ。

 同馬は2019年GⅢ福島記念(芝2000m)、2020年GⅢ七夕賞(芝2000m)の勝ち馬。前走はGⅡ日経賞(中山・芝2500m)で、道中は2番手追走といつもより積極的な競馬で、勝ったタイトルホルダーから0秒3差の4着と好走している。

 3000m以上のレースは初めてとなるが、2600m戦で勝利もあり、距離延長に不安はなさそうだ。8歳という馬齢も敬遠されそうなファクターだが、2016年には8歳馬カレンミロティックが、13番人気ながらキタサンブラックとハナ差の2着に入っており、気にする必要はないだろう。

 クレッシェンドラヴの母系の血を見ると、母の父は欧州の大種牡馬サドラーズウェルズで、牝系にも欧州の成功種牡馬ドバウィ、さらに英ダービー馬ハイライズ、BCターフのインザウイングスがいる世界的名門。今回が30戦目という豊富なキャリアを活かし、激走に期待したい。

 もう1頭はステイゴールドを父の父に持つマカオンドール(牡4歳、栗東・今野貞一厩舎)を挙げておく。同馬は今年の万葉S(中京・芝3000m)を勝利し、前走のGⅡ阪神大賞典(阪神・芝3000m)で4着となってここに臨む。阪神大賞典の内容はやや物足りなかったが、充実著しい4歳馬だけに、巻き返しに期待したい。

 母の父ダルシャーンは仏ダービー馬にして、種牡馬としてもBCターフのコタシャーン、仏ダービーのダラカニ、母の父としても英ダービーのハイシャパラル、凱旋門賞のマリエンバードなどを出している。さらにマカオンドールは、伯父に凱旋門賞馬バゴがいるという名血。良血馬というのは、時に大舞台で予想外の激走をしたり、短期間で目覚ましい成長を見せることがある。マカオンドールにも同様の激走に期待だ。

 以上、今年の天皇賞・春は、ステイゴールドの血を持つ世界的名血の2頭、クレッシェンドラヴとマカオンドールに期待する。