野球界は、しばしば「世代」でくくられ、語られます。
「松坂世代」に「ハンカチ世代」など、あるジェネレーションに好選手が集中することから、そんな名称がつきます。前者であれば、横浜高校のスーパーエース・松坂大輔が1998年の春夏甲子園で連覇を成し遂げ、ドラフト1位で西武ライオンズに入団。プロの強打者をきりきり舞いにさせたことが由来です。
打者なら「何とか松坂を打ってやる」、投手なら「どうすれば松坂に土をつけられるだろうか」と同学年の選手たちが切磋琢磨した結果、全体的なレベルも上がり、その世代が野球界を牽引する結果になった-。
そんな現象が、再び起きています。
「朗希世代」ともいえる、高卒プロ3年目を迎える選手たちが、各球団のプロスペクトとして期待されているのです。
スポーツ紙のデスクは言います。
「この世代では高校時代、大船渡の佐々木朗希が別格の実力を誇っていました。『令和の怪物』と呼ばれ、潜在能力は誰もが認めるところでしたが、心身も発展途上で甲子園にもたどり着けなかった。そんな中、甲子園でしっかりと結果を残し、対抗馬と目されていたのが星稜の奥川恭伸です」
一方、東邦のエースとして2019年のセンバツ優勝投手に輝きながら、強打者としてトップの評価を得たのが石川昂弥でした。
「ドラフトでは佐々木に4球団、奥川と石川には3球団の競合になった。佐々木がロッテ、奥川がヤクルト、石川が中日に行ったのは、みなさんご存じの通りです。この3人が抜きん出ていましたが、他の高卒組にも有望株がズラリいるんです」
DeNAが単独で1位指名した森敬斗内野手は左足首のけがなどで現在、ファームでリハビリ中ですが、近未来にはハマのショートを担う逸材と目されています。
昨年リーグ優勝したオリックスでは、宮城大弥が左のエースとして君臨し、昨季からショートには紅林弘太郎が定着。球団史上初の10代での2ケタ本塁打をマークしたことも記憶に新しいです。
前述のデスクは言います。
「巨人の堀田賢慎投手は入団まもなく右肘を痛め、翌春にはトミー・ジョン手術を受けるなど、同世代が華々しい活躍をする中で、悔しい育成落ちも経験しました。しかし今年のオープン戦では計10回を無失点と結果を残し、開幕ローテの座を射止めたのです。苦労した分、地に足がついており、野球への真摯な態度はあの桑田投手コーチもべた惚れだとか。菅野智之に続くエース候補として期待されています」
ライバル球団の阪神には、創志学園時代に甲子園でも活躍した西純矢投手がブレーク寸前で、虎番記者の熱視線を集めています。阪神担当記者は笑顔で言います。
「3月29日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦では5回を投げて2安打無失点と、ファームの打者では打てないレベルに進化している。今後1軍でローテーションの一角を担う可能性は、十分あるでしょう」
彼らのプロでの活躍に刺激を受けた大学3年生、あるいは今年ドラフト解禁年を迎える社会人3年目の選手たちが、さらに「負けてたまるか」と奮起して野球へと取り組む-。
その積み重ねによって、「朗希世代」は最強世代への真価を遂げていくことでしょう。
各球団、若き力の成長に、ぜひとも注目していきたいものです。
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