2019年に日本国籍を取得、西地区2位の島根でいぶし銀の活躍 2021-22シーズンのバスケットボールB1リーグで“台風…
2019年に日本国籍を取得、西地区2位の島根でいぶし銀の活躍
2021-22シーズンのバスケットボールB1リーグで“台風の目”となっているチームが、島根スサノオマジックだ。昨シーズンは28勝32敗と負け越したチームが、ここまで西地区2位につけている。
もちろん安藤誓哉、金丸晃輔といった日本代表級選手の獲得は大きかった。ただし金丸、リード・トラビスを負傷で欠いたなかでも、3月12日には琉球の連勝を「19」で止める勝利を挙げ、そのまま6連勝中だ。浜松アリーナで行われた26日、27日の三遠ネオフェニックス戦も、連勝で終えている。
島根の33勝10敗という戦績は琉球ゴールデンキングスに次ぐ西地区2位で、B1全体でも4位。チーム初のチャンピオンシップ出場を射程に捉えている。
ウィリアムス・ニカはスタープレーヤーを迎えて躍進している島根の中で、地味な存在かもしれない。三遠の清水太志郎ヘッドコーチ代行は27日の試合後、ウィリアムスについてこう述べていた。
「もっと外から打ったり、いろいろやってくれれば、こちらもそう仕向けて、本人のリズムが崩れるところもあると思う。でも彼はしっかりインサイドポジションをパトロールして、オフェンスリバウンドに行く。ニック・ケイもそうですけど、フロアバランスを崩さない。ビュフォード、安藤誓哉の陰に隠れた縁の下の力持ちがいるので島根は安定している。年々我慢強く、スペシャリストになっている印象です」
ウィリアムスはカリブ海の小国、セントビンセントおよびグレナディーン諸島出身の34歳。今季はまだ1本も3ポイントシュートを放っていない、現代バスケにおいては珍しい“純インサイドプレーヤー”だ。
初来日は2011-12シーズンで、加入したクラブはbjリーグの高松ファイブアローズ(現・香川)だった。ちなみに同年の高松は2勝50敗でシーズンを終えている。
彼はそこからほぼすべてのキャリアを日本で積み、島根が国内8クラブ目。日本で家庭を持ち、2019年には日本国籍を取得している。外国籍選手枠から外れたことで、契約的にも有利となった。
プレータイムが少ないなかで続けた地道な努力
ただし今季のウィリアムスが順風満帆だったわけではない。有力プレーヤーの加入もあり、前半戦はプレータイムが大幅に減っていた。
ポール・ヘナレ・ヘッドコーチは、こう説明する。
「ローテーションから外れてプレータイムも少なくて、チャンスを得たばかりです。チームに追いつきながらステップアップしているし、私も彼を引き上げて強みを噛み合わせていく作業をしている。これは僕らにとってもいい経験でした。プレータイムが増えるなかで、時間を経るほどに存在意義を出してくれて、チームに対して良いインパクトを与えてくれている」
27日の三遠戦でウィリアムスは、34分5秒のプレータイムで15得点10リバウンドを記録している。何より得点以外の貢献が大きかった。
ウィリアムスはこう強調する。
「人の気づかないような、スタッツに出ないことをやり切るメンタリティが大事だと思っている。相手のスーパープレーヤーを止めようというのもあるけれど、それ以外にも4人いる。5人全員のリバウンドのリバウンドを防ぐ、ルーズボールを取るといったスタッツに見えないことの小さな積み重ねが常に大事だ。小さくてもいろんな要素をしっかり集めることが、最終的にはゲームやチームに大きなインパクトを与える」
プレータイムが少ないなかでも地道な努力を続けた姿勢について、彼はこう説明する。
「10年以上のキャリアがあるので、もっと厳しい状況もあったし、逆にいい状況も経験した。そんななかでも常に“チーム目線”を大切にしている。どんな状況に置かれても、今は何がチームにとって一番大切かを大事にして、チームの成功を自分の成功と受け止めている。タフな状況になればなるほど、チームに必要としていること、自分がするべきことを探して戦う作業をブレずに続けてきた。それがどんな状況でも乗り越えられる理由かなと思います」
日本のバスケに今ほど光が当たらない、タフな環境を強いられる時代から、彼はチームプレーに徹し、自らの“仕事”をやり切ってきた。そんな積み重ねがあるからこそ、今こうしてB1の上位クラブで必要とされ、数字に表れる結果も出している。ウィリアムスの“職人技”が、シーズン山場で島根を大きく後押ししている。(大島 和人 / Kazuto Oshima)